茂木健一郎さんの連続ツイートのまとめ 2011年1月分

脳科学者・茂木健一郎さんの連続ツイートのバックナンバーです。 1・2・3・5・7・8・10日は連続ツイートはなしでした。
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1月4日 「餅の人生」についての連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(1)お正月と言えば餅である。子どもの頃、家では年の暮れに餅つきをしていて、気が付くと近所の子どもたちが集まって一緒に食べていた。つきたての餅にきな粉をまぶしたり、海苔を巻いたり、辛みダイコンで食べたり、味の七変化を楽しんだのである。

2011-01-04 08:47:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(2)つきたてが硬くなった時から、餅の第二の人生が始まる。切り餅にしておいて、焼いて食べる。できるだけ焦がすのがコツで、特に焦げたやつを汁粉に入れて食べると、何とも言えない香ばしい味わいがした。

2011-01-04 08:48:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(3)切り餅を置いておくと、次第にカビが生えてくる。子どもながらに、イヤだな、と思うけれども、おばあちゃんが「大丈夫」と良いながらカビを払って焼いてくれると、ついついつられて食べてしまう。

2011-01-04 08:49:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(4)カビを払って焼いた餅は、それでもカビの香りがして、最初はイヤだなと思うのだけれども、そのうちに、それが一種の風味のような気がしてくるから不思議である。

2011-01-04 08:50:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(5)カビが生え始めると、大人たちは「そろそろ水餅にするか」と言って、餅を水の中につけてしまった。これは、餅の人生の最終段階であって、ここから味わいは微妙なものになる。子ども心にも、「ああ、今年のお餅は、もうお終いに近いんだ」と思ったものだった。

2011-01-04 08:53:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(6)水餅になると、焼いてやわらかくなっても、「こいつは最初からやわらかかったからな」と、子ども心に、どこかなめた気持ちで餅に対して接してしまう。粘りも腰も何となく弱い気がして、餅の価値が下がっているような感じがして哀しかった。

2011-01-04 08:54:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(7)水餅になったころに、餅の人生を振り返ってみる。思えば、こいつは最初はもち米で、せいろで勢いよく蒸されていたんだな。ぺったんぺったんと大人たちが大騒ぎしてついて、ほかほかの餅になった。あの頃は肌も綺麗だったし、粘りもあって若々しかった。

2011-01-04 08:55:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(8)それが、切り餅になると、だんだん表面がひび割れたりして、年をとってくる。風格があると言えばそうだが、若々しさがなくなる。ところが、焼き餅にすると、中は昔のようにやわらかくて粘り腰で、おっ、こいつもなかなかやるじゃないかと思わせたのだった。

2011-01-04 08:57:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

餅(9)水餅になると、もうダメだ。水の中で、カビを表面にまとってぐでっとしている。餅は最後はこうなってしまうんだな、とそれを見届ける気持ちで、焼いて食べた。餅よ、今年もありがとう。来年もヨロシクね。

2011-01-04 08:57:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

今の真空パックにはない、めくるめく七変化。思えば良い時代だった。「餅の人生」についての連続ツイートでした。

2011-01-04 08:58:41

1月6日 「好み」についての連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(1)小学校に上がる前、町内の子供会に出ると、「ファンタ」がもらえた。最初はグレープが大好きだったのに、そのうちオレンジも良いと思い始めた。ファンタグレープか、オレンジか。「好み」の悩みの始まりである。

2011-01-06 06:27:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(2)「きのこの山」と「たけのこの里」はどっちがいいかとツイッターで議論したことがある。どちらも譲らず、それぞれ言い分があるのが面白かった。「きのこの山」が好きな人はポッキーも好きで、「たけのこの里」が好きな人はカントリーマアムが好きなのだそうだ。

2011-01-06 06:29:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(3)間接キスは、自分が先に口をつけるのがいいか、相手が先がいいか、という議論も面白かった。自分が先がいい、という人は「S」で、相手が先がいい、という人は「M」なのだと誰かが言った。

2011-01-06 06:29:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(4)好みは人それぞれだが、面白いのは、ちょうど二分されるような時である。両方のクオリアに、魅力があるのだろう。人類全体から言えば多様性が確保され、うまく「棲み分け」できる。

2011-01-06 06:30:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(5)NHK出版の大場旦と話していて、原節子よりも杉村春子の方がいいというので、ビックリした。『東京物語』の中で、杉村春子が「いやんなっちゃうなあ」という台詞がある。大場旦は、「いやんなっちゃうなあ」とモノマネしながら、いかに魅力的かを語った。未だに理解できぬ。

2011-01-06 06:32:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(6)お好み焼ともんじゃ焼では、圧倒的にお好み焼がいいと思うのだが、それならばどうして世の中にはもんじゃ焼が存在するのか。あの、ぐでっとした、「土手」が作りにくい食べ物の方がいい、という人もきっといるに違いない。

2011-01-06 06:34:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(7)ぼくはTシャツが圧倒的に好きで、ポロシャツは苦手だが、私の「一番弟子」の田谷文彦は、ポロシャツは着るけれども、絶対にTシャツは着ない。服装の好みも、実に不思議だ。

2011-01-06 06:35:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(8)絹ごし豆腐と、木綿豆腐のどっちがいいか、というのも大問題だ。ぼくは絹ごしの方がいいが、木綿の方が高級なのだ、と誰かが言っていたような気もする。赤味噌と白味噌では赤がいいが、それは田舎風だ、と誰かに言われたこともある。

2011-01-06 06:36:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

好み(9)好みというのは、正解は一つでない、という意味において、きわめて興味深い人間の脳の働きである。どれくらい速く問題が解けるか、というようなことよりも、人間の評価にかかわると思う。あなたの好みはどんな感じですか?

2011-01-06 06:37:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「好み」に関する連続ツイートでした。

2011-01-06 06:37:43

1月9日 「銃規制」についての連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

銃(1)アメリカで、また乱射事件があった。銃規制についての議論が行われるだろう。日本人の感覚から言えば、銃が社会に蔓延しているからだ、と思うが、アメリカの精神風土を考えると、解決は難しい。

2011-01-09 07:58:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

銃(2)銃規制反対派は、人を殺すのは人であって、銃ではないという。しかし、一定の数の銃があれば、ある確率で精神的に不調な人との結びつきが起こる。倫理や自由意志の問題ではなく、統計の問題である。

2011-01-09 08:00:05
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