スリー・ダーティー・ニンジャボンド #5

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第二部「キョート殺伐都市」より:「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」#5

2011-12-19 13:33:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(これまでのあらすじ:オタカラ村を蹂躙したサヴァイヴァー・ドージョーは、人間を鬼めいて捻じ曲げた者どもからなる伝奇的集団であった。可憐な村娘ワタアメに請われて討伐に向かう無頼ニンジャのジェノサイドに、フォレスト・サワタリとニンジャスレイヤーが合流。三人のニンジャが一同に介す)

2011-12-19 13:37:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(だがしかし、数を頼りにしたサヴァイヴァー・ドージョーの執拗な襲撃を受け、彼らの力は分断されてしまう。ついには厄介な敵ニンジャ、カーバンクルのジツによって、ワタアメが敵の手に落ちてしまった。単独で集団から離れたフォレスト・サワタリは一体どこに!?)

2011-12-19 13:40:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フォレスト・サワタリは足を止めた。荒野には白い岩が散乱し、茶色の花を咲かせるヒースがまばらに生えている。彼は竹槍を構え、待った。「……やっぱりアンタか」岩の陰から姿を現したのは巨大なバイオカエルと、そこにまたがったニンジャである。「ドーモ、フロッグマン=サン」 1

2011-12-19 13:51:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ペッ」フロッグマンはメンポをオープンし、ツバを地面に吐いて、またメンポをクローズした。フォレストは背後を振り返り、オジギした。「ドーモ、ディスターブド=サン」そこには水銀のニンジャがいる。「ボ、ボ……」「そいつはボスじゃねェ!」フロッグマンが剣呑にディスターブドを遮った。 2

2011-12-19 13:57:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイドラはどうした」フォレストはフロッグマンに向き直った。フロッグマンは腕を組んだ。「てめェこそ、一人でおめおめと何しに来た。一緒の仲間はどうしたんだよ。ハイドラはそっちに行った。……殺しにな!」「そうか。他のあの、あの連中と?」「そうだよ!」 3

2011-12-19 14:12:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイドラか」フォレストはジェノサイドの言葉を思い浮かべた。ジェノサイドは容赦なくやるだろう。「俺はお前らに会いに来た」フォレストは言った。フロッグマンは声を荒げた。「今更何の用だ!放ったらかしにしやがって!だいたいアンタがシンカンセンで撤退だの、バカな事言わなきゃよ……!」 4

2011-12-19 14:18:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「うるさいッ!」フォレストはいきなり、地面に竹槍を突き刺した。そして拳を握り、フロッグマンに一歩踏み出した。「御託はいい!こういう時、俺のサヴァイヴァー・ドージョーはどうするんだ!言ってみろ!」「何ィ?今の首領はなァ、イヴォルヴァー……」「言ってみろッ!」「……カラテだ!」 5

2011-12-19 14:25:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうだ!」フォレストは叫び、素手カラテのファイティング・ポーズを取った。「ボス」ディスターブドが呻いた。フロッグマンはわなわなと震えた。「畜生……俺は絶対許さねえ!」バイオ蛙ジャンプ!巨大な蛙の舌が繰り出される!「イヤーッ!」フォレストが飛び来たる舌を殴る!「ゲコーッ!」 6

2011-12-19 14:29:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

蛙は目を白黒させて着地!そこへダッシュするサワタリ!だらしなく延びたままの舌を踏み台めいて蹴り、蛙の頭に飛び乗った。フロッグマンも慌てて立ち上がる。「偉そうに!」フロッグマンがフォレストを殴りつけた。「グワーッ!」「アンタの気まぐれのせいで俺達がどれだけ大変だったか!」 7

2011-12-19 14:35:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何をバカな!」フォレストが殴り返す!「グワーッ!」「ナパーム掃討の脅威を知らんのか!実際あれは全滅の危機だった!」「ふざけるな!」フロッグマンが殴り返す!「グワーッ!」「バイオ・インゴットがねぇと、俺たちはお終いなんだ!あんなクソ野郎に従う俺達の屈辱がわかるか!」 8

2011-12-19 14:41:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「わかるか!そんな戯言など!」フォレストが殴り返す! 「グワーッ!」「わかる気も無い!何がイヴォルヴァーだ!どうでもいい!甘えるな!」「畜生ーッ!」フロッグマンが殴り返す!「グワーッ!」「今更来やがって!」「黙れーッ!」「グワーッ!畜生ーッ!」「グワーッ!黙れーッ!」 …… 9

2011-12-19 14:48:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スゥーッ……ハァーッ……」崩れ去った廃墟の壁の跡と思われる物体の陰、ニンジャスレイヤーは致死的太陽光を避けてアグラ・メディテーションし、チャドー呼吸を繰り返していた。強行軍の中で彼が自身に許したこの休息は2分。「スゥーッ……」彼は目を開く。出発時間である。 11

2011-12-19 15:08:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は立ち上がり、地平を横切ってゆく砂塵を見た。彼のニンジャ視力は砂塵の主を見極めた。サイバー馬を駆るジェノサイドである。その移動に迷いは無い。サイバー馬にはオタカラ村の緯度経度情報が入っている。ニンジャスレイヤーは馬を追い、風めいてスプリントを開始した。12

2011-12-19 15:21:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

薄暗い会議場、タタミ上で後ろ手に縛られたワタアメと向かい合っていたイヴォルヴァーは、ツェペシュ公めいた蒼ざめた顔を上げた。「おお、来たな。ドーモ、ドーモ」「ワタアメ……!」力なく戸口の床に座り込んだのは、同様に縛られ、鬼人に牽かれてきた村長であった。 14

2011-12-19 15:35:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お爺様」「なんという事だ」イヴォルヴァーは満ち足りた目つきで両者を交互に見た。「無駄な努力であったな。どうかね、今の気分は」「ワタアメ……!」「気分を、訊いているんだ。まあよい。本題に入ろう」彼は立ち上がり、村長の元へ降りて行った。「これでようやく腹を割って話せるな」 15

2011-12-19 15:45:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエ……」村長はがっくりとうなだれる。傍のエリート鬼人が彼の白髪を掴み、顔を上げさせた。「アイエッ!」「見ての通り我々サヴァイヴァー・ドージョーはそこらの野党風情では無い」イヴォルヴァーは村長に顔を近づけた。「お前達のケチな迷信の拠り所が、私にとって大変重要なのだ!」 16

2011-12-19 15:59:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「神殿の扉を開けば災いが……」「トンネルの下にあるのは20世紀の研究施設だ!」イヴォルヴァーは言った。「全く、そう昔の事でもないぞ?だがお前らの愚昧さは十分理解している、黙れ」イヴォルヴァーはせせら笑った。彼の手には鋼鉄製の精巧な鍵があった。村長が震えた。「おお、ワタアメ」 17

2011-12-19 17:01:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン、この鍵は村からワタアメを逃がす際に村長が持たせた秘密トンネルの鍵だ。彼女はこの鍵を使ってトンネルを抜け、村の近くの荒地に逃れた。だがその短いトンネルは実際避難用に作られた物では無い。トンネルの中途には分かれ道があり、その先には閉ざされた鋼鉄製の巨大な扉があるのだ。 18

2011-12-19 17:08:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

鋼鉄の扉の先にある研究施設こそ、このイヴォルヴァーが……辺境の医師の成れの果てであるニンジャが、村々を蹂躙しながら探し求めていたものであった。20世紀、国家の諜報機関が秘密裏に進めていたニンジャ研究施設……常人をニンジャに作り替える禁断の研究! 19

2011-12-19 17:18:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは、イヴォルヴァーがニンジャとなったあのセキバハラ境界線上の古城廃墟、あの場所に残されていた研究成果を完全なものとする最後のピース!このパズルが完成すれば、イヴォルヴァーの進化したジツが作り出す軍勢は、辺境のみならずガイオンをも手中に収められよう!イクサである! 20

2011-12-19 17:25:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なぜ戻ってきたのだワタアメ!バカ!」村長は涙を流してなじった。「あのまま帰って来るなと言ったはずだ!」「お爺様……!」「ええい、くだらん事で騒ぐでない!それにしても、まさにブッダオハギとはこの事!あのような小娘に預けたのが間違いであったな!」イヴォルヴァーの哄笑! 21

2011-12-19 17:34:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「さあ、末期のアイサツも済ませた事だ。お前も私の子供にしてあげよう、ご老体」「アイ……アイエエエ……!」イヴォルヴァーが両手で村長の顔を掴み、そして、おお……ナムアミダブツ!イヴォルヴァーの両手が不気味な紫の光を発すると、村長が泡を噴いて痙攣!開かれた両目が紫の光を放つ! 22

2011-12-19 17:54:50