小さな本屋

なぜかyumi100930でログインできないので自分用まとめ
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打ち越 @miyu930100

大学に通うために使っている駅が改装のためにいつもの道を分断している。仕方なく迂回して改札に向かうと小さな本屋があった。ヒト一人が座ったら誰も入れないような、本屋というより小さな隙間にイスを置き、その三方を本棚で囲んだだけのそんな小さな本屋さん

2011-12-24 22:47:11
打ち越 @miyu930100

本屋を見かけた最初の頃から毎日五人程度のヒトが本屋の前で立ち読みをしており、中には本を受け取っていくヒトもいる。小さな本屋なのに不思議と流行っている様子だった。小さな隙間を利用した本屋さんのイスに座り、客に対応している女性。店員だろうか。

2011-12-24 22:50:05
打ち越 @miyu930100

毎日毎日見ていると、本屋さんのことが少しずつわかってきた。小さな本屋さんは本を売っていない。持ってきた本と、本棚に並んでいる本は物々交換でやりとりされている。この交換が面白いもので、200ページの本なら20ページの誤差までの本…181ページから220ページなら交換できる

2011-12-24 22:52:06
打ち越 @miyu930100

交換された本が本棚に納まる様にちゃんと考えられているようで、サイズは同じものしか交換できない。欲しい本があるヒトは狙った本を立ち読みし、次の日に同じサイズの近いページの本を持ってくる。なるほど、お金は掛からないし本は増えないから利用しやすい。

2011-12-24 22:54:14
打ち越 @miyu930100

次の日にはもう読みたかった本がなかったとしても、利用する人たちが交換して置いていった本が残るから品揃えが悪くなることはないし、利用する客同士で趣味が合えばずっと続いていく。中には目当ての本のために近いページ数の本を買って読んでから交換にすら来るらしい

2011-12-24 22:56:16
打ち越 @miyu930100

しばらく待てば読みたかった本が交換に出されることもあるし、客同士で小さな本屋さんの話もされているらしく常連客が離れない理由がわかってきた。ボクは早起きして電車に遅れないように本屋さんを利用するようになった。

2011-12-24 23:00:48
打ち越 @miyu930100

利用しはじめてわかったこと。小さな本屋さんで立ち読みできるのは最初と最後の数ページだけ。読みたいと思う本を探せるようにするためと、ページ数を確認するため。制限されているわけでもないのに、暗黙の了解として店を利用している人たちが自主的にそうするようになったようだ

2011-12-24 23:03:13
打ち越 @miyu930100

「両親が始めた本屋さんだったけれど、父が亡くなって小さくなり、母が亡くなって私だけになって。一度は閉めたんですけど、後に入った店舗の都合でこのスペースが余ったので改めてこういう形ではじめてみたんです」

2011-12-24 23:08:17
打ち越 @miyu930100

小さな本屋を経営している女性はそう言った。本と本の交換をしているこの小さな本屋さんを続けるのはきっと両親の思い出もあるんだろうな。そんな風に判った気になって、ボクはブログにこの小さな本屋さんのことを書いた。

2011-12-24 23:11:35
打ち越 @miyu930100

数日して小さな本屋さんを利用する客が少しずつ増え始めた。宣伝の効果があったと密かに喜んだけれど、その数日後に小さな本屋さんは閉まってしまった。丁度その頃、駅の改装が終わり迂回する必要がなくなりボクは小さな本屋さんのことをいつの間にか忘れていた

2011-12-24 23:15:44
打ち越 @miyu930100

しばらくして、迂回していた時の道を通ることがあり小さな本屋さんがしまった理由を常連の客から聞いた。「御客さんが増えて、通行の妨げてしまって苦情が出たから止めてしまったそうよ」。その日、ボクは布団の中で後悔に涙して眠った。

2011-12-24 23:18:30