- doooomster
- 4484
- 0
- 0
- 0
第一巻「ネオサイタマ炎上」 最終エピソード「ネオサイタマ・イン・フレイム」#3
「アンド・ユー・ウィル・ノウ・ヒム・バイ・ザ・トレイル・オブ・ニンジャ」-2
「……」ツバ広の帽子を被ったもうひとりの男は、無精髭の男の知り合いと言う事では無いようだ。帽子を目深にかぶっているため、ほとんど顔はわからない。神職めいた黒いカソック衣装が異様である。彼もまたショチューをちびりちびりと飲んでいる。
2011-05-17 14:51:20第二話「キョート殺伐都市」より:「ウェルカム・トゥ・ネオサイタマ」#2
「おい」サーベラスに呼びかけた声がある。「あん?」サーベラスはそちらを見やった。先ほど火だるまヤクザが最初に倒れこんだ立ち飲みテーブルだ。聖職者が着るようなカソックを着て、鍔広の帽子で顔を隠している。極めて酒臭い息がその歪んだ口から煙めいて立ち昇る。
2011-06-03 23:50:38ガチャリ。カソックの中から無骨な鉄の塊が床へと落下した。バズソーだ。鎖がついている。ドルルルル、ドルルルル、バズソーはジツめいた謎の機構によってひとりでに起動し、刃を回転させ始めた。サーベラスは目を見開いた。なにかまずい!両腕をクロスし開く!「spittttt!」放射される火線!
2011-06-04 00:21:02「アイエエエエ!」泥酔者たちが先を争って出口へ殺到する。ジェノサイドのカソックは左肩口が焼け崩れ、荒っぽく包帯を巻きつけた体が露出した。漂う強烈な酒の匂い、微かに交じる腐臭!だがジェノサイドは意に介さず、サーベラスへ突き進む!「俺は!」腕を振り上げる!跳ねるバズソー!チュン!
2011-06-04 00:35:56鎖つきバズソーを引きずり、カソックも帽子も失ってそのズンビー身体をあらわにしたジェノサイドは路外へ飛び出した。「アイエエエ!」偶然それを目にした酔漢が失禁しつつ倒れ気絶!ドオン!遠方で別の爆発音!ザイバツ!「アイエエエ!」角を曲がってきた別の酔漢がジェノサイドを見て失禁し気絶!
2011-06-04 01:44:30第2部「キョート殺伐都市」より 「ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル」#1
カソックコートを纏い、ウェスタンハットで顔に影を落とした男が、暗い奥の席に独り。ブラウン管テレビに映る相撲映像を眺めながら、バンザイ・テキーラを呷る。スモトリの爪弾く曲が、伝説のヨコヅナ「オオキイウミ」の勇ましい入場テーマに変わった。男は自然と、ブーツの踵と木床でリズムを取る。
2011-08-10 00:25:56二人は、しばらく静かに会話を楽しんだ。男はテキーラを浴びるように呑んだが、シツレイな酔い方は決してしなかった。ゲイシャは、男の全身から漂う猛烈なアルコール臭に気付きはしたが、カソックコートの奥から密かに発せられる腐臭や、肋骨を伝って床に垂れるテキーラには気付かなかった。
2011-08-10 00:49:42男の名と静かな日常は失われて久しい。彼の現在の名はジェノサイド。腐り行く肉体を持つ、呪わしきゾンビーニンジャだ。相撲バーの暗いアトモスフィアと、ウェスタンハットの影に隠された彼の顔は、包帯めいた黒ニンジャ頭巾で覆われている。彼の目に瞼は無く、歯列を隠す肉さえも腐り落ちているのだ。
2011-08-10 00:55:39ゲイシャは横を向き直った。男が立ち上がって臨戦態勢を取り、ウェスタンハットを投げ捨てていた。ニンジャ達に向かって何か呪いを言葉を吐き捨てているようで、唇のない口が裂けんばかりに大きく広がっていた。じゃらじゃらと鎖の鳴る音が聞こえ、男の袖口から不吉なバズソーの回転音が聞こえた。
2011-08-10 01:33:41第2部「キョート殺伐都市」より 「ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル」#4
「ノー!ユリコ=サン!ノー!」ジェノサイドは叫んだ「蓋に手を触れるな!俺を放っておいてくれ!」彼はユリコの声を覚えていた。もし彼女がこの蓋を開ければ何を見るか知っていた。ウエスタンハットにもスカーフ頭巾にも隠されていない、鼻と片耳のパーツが実際欠落した、醜いフクワライめいた顔だ。
2011-09-14 00:17:43第2部「キョート殺伐都市」より 「ゲイシャ・カラテ・シンカンセン・アンド・ヘル」#7
PVCビキニ姿でマシンガンとガンベルトを構えるユリコは、破壊されたフスマ枠から身を乗り出し、後方車両に銃口を向けた。ウェスタンバンダナで口元を隠したカソックコート姿のジェノサイドが、2人のニンジャと激しい戦闘を続けている。
2011-10-09 22:06:40ニンジャ動体視力を持つサイクロプスには、車両内を乱れ飛ぶ弾丸の軌跡が、忌々しいほど正確に見えていた。そしてジェノサイドの頬と左目に弾丸が突き刺さり、バンダナを持っていくのが見えた。ジェノサイドは首を傾げたまま、ハットの下で片目を緑に輝かせ、歯を剥き出してとびきり邪悪に笑っていた。
2011-10-09 22:50:23第二部「キョート殺伐都市」より:「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」#1
「ワンダラス町」とポップ体でショドーされたゲートをくぐったところで一度立ち止まり、長身の男は乾いた町並みを見渡した。その顔を影の中に隠すつば広帽子も、くたびれたカソック(しかも、どう見てもこの男は聖職者ではない)も泥と埃でひどく汚れており、その身体の周囲にハエがたかっている。24
2011-12-12 14:30:25「な……え?」「え……」「ボス?」「え……」手下ヤクザ達が異変に気づき、下手人とおぼしきカソック男を凝視した。カソックの下から二本の長い鎖が伸び、床には円形のギザギザ刃を生やしたバズソーが二つ、ゴトリと転がった。刃は血塗れだ。「え……」「ザ……?」「ザッケンナコラー!」 43
2011-12-12 17:16:17「ダ……ダッテメッコラー!?」残る手下ヤクザの一人が誰何するヤクザスラングを吐いた。カソック男はそちらを睨んだ。帽子が傾き、包帯が乱雑に巻きつけられた異相がわずかに覗く!「俺は!」打ち振る二つの鎖!「ジェノサイドだ!」襲いかかる回転刃!「イヤーッ!」「アバババ、アババーッ!」46
2011-12-12 17:45:41第二部「キョート殺伐都市」より:「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」#2
「……ハッハー、ハハー、ハッハ!」「ハーッハーッ!」声は近づいてくる。こちらの野営地へ、間違いなく接近して来ている。「来る」ニンジャスレイヤーが呟く。「退屈してたところだぜ」ジェノサイドがズブロッカ瓶を呷った。バズソーがカソックの中から零れ落ち、ゴトリゴトリと地面に落下する。31
2011-12-13 17:37:10第二部「キョート殺伐都市」より:「スリー・ダーティー・ニンジャボンド」#4
「ハァー……」肩で息するジェノサイドのカソックはズタズタに傷つき、破れた箇所からおぞましく崩れかかった腐肉がのぞく!ゾンビーの肉体が!彼は背中に手を回し、突き刺さったままのサスマタを引き抜いた。「あとはテメェ一匹か」銃創まみれのウエスタンハットが傾き、射殺すような視線が飛ぶ!12
2011-12-16 21:42:46