【妖怪】牛鬼について

主に西日本、近畿地方~九州にかけて語られる妖怪・牛鬼について文献を基にして、おおよそ各地域ごとにまとめたリスト。 妖怪・牛鬼は伝承ごとに姿形や性質などが著しく異なるため、整理整頓の参考になれば幸いです。 ※デコレーションについて 赤…パターンの大別   青…パターン大別の中の小分け 続きを読む
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参考文献

アルム=バンド @Bredtn_1et

さて、今回は「牛鬼」で。参考文献は『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)、『日本伝奇伝説大事典』(乾 真己ら編集、角川書店、S.61)、『図説 地図とあらすじで読む 日本の妖怪伝説』(志村 有弘監修、青春出版社、2008)、

2012-01-01 01:03:43
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『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』(谷川 健一編纂、三一書房、1988)、『幻想動物事典』(草野 巧著、新紀元社、1974)、『図説 日本未確認生物事典』(世間 良彦著、柏美術出版社、1994)、『随筆辞典 4奇談異聞編』(柴田 宵曲編、株式会社東京堂、S.36)、

2012-01-01 01:04:02
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『鳥山 石燕 画図百鬼夜行』(高田 衛監修、稲田 篤信 / 田中 直日編、株式会社国書刊行会、1992)、『日本民俗大辞典 下』(福田 アジオら編集、株式会社吉川弘文館、2000)より。

2012-01-01 01:04:25

四国や山口県(人里に現れ人畜を害し、弓の名手に退治されたタイプ)

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[パターン1]最初に紹介するのは…やはり http://t.co/pMlStKFw 根香寺 - 牛鬼(うしおに)伝説のタイプであろうか。姿形・伝承共にお寺のページに書いてある通りなのだが…。

2012-01-01 01:05:39
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姿はページにあるように、妖怪というよりは特撮ヒーローものに出てくる怪獣のような姿。二手二足、悪魔のような顔で皿のような丸い目に大きな牙と角を持つ怪物。手は三本指でいずれも鋭い爪を持ち、肘から脇下にかけて膜がある、といった風貌(上記サイト)。

2012-01-01 01:05:49
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伝承は、今から400年ほど前に牛鬼が人里に現れ人畜を害していた。そこで、現在の香川県塩江町の辺りに住んでいたという弓の名手・山田蔵人高清に退治を依頼した。高清は山中を隈なく捜索したが牛鬼は見付からず、21日間に及ぶ祈祷を行いやっと遭遇することができた。

2012-01-01 01:06:09
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そして戦い、三本の矢を以てようやく仕留めることができたという(同サイト)。

2012-01-01 01:06:13
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牛鬼は寺のある山に弔い、角は寺宝とされた。そしていつしか牛鬼の姿を描いた絵は魔除けの力があるとされるようになったという(同サイト)。

2012-01-01 01:06:21
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この「人畜を害したために弓の名手に退治される」というパターンは上のお寺、つまり香川県だけでなく、徳島県や山口県にも類話がある。

2012-01-01 01:06:32
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例えば、(1)周防国(現在の山口県)で「頭は鬼で体は牛」という姿の牛鬼が人々をさらっていったため、伊予国(おおよそ現在の愛媛県)の藤原図書が弓の名手である蔵喜兵ノ尉と共にこの牛鬼を退治した、という話が山口県に伝わっている

2012-01-01 01:06:42

↑※"藤原図書"ではなく、"藤内図書"でした。

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(『妖怪事典』、『日本伝奇伝説大事典』、『図説 地図とあらすじで読む 日本の妖怪伝説』、『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』)。

2012-01-01 01:06:47
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他には、(2)「徳島県海部郡牟岐町を昔は牛鬼村といっており、そこの古池に住む牛鬼を伊予の人が退治した」という話もある(『妖怪事典』、『日本伝奇伝説大事典』)。

2012-01-01 01:07:20
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徳島県のバリエーションとしては、(3)「海部郡の白木山に住み、里に出てきては人畜を食う牛鬼が、猟師・平四郎によって助平という場所に誘き寄せられ、京都の吉田家の三社の銘を刻んだ鉄砲(弓矢で射られたとも)で退治された」という話もある

2012-01-01 01:07:27
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(『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』、『図説 日本未確認生物事典』、『日本伝奇伝説大事典』)。

2012-01-01 01:07:29
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(4)愛媛県宇和島地方では牛鬼が人畜を害するため、喜多郡河辺村に住む山伏に胎児を依頼した。山伏は法螺貝を吹き、調伏の真言を唱えたところ牛鬼は後退したので、佩いていた剣を牛鬼の眉間に刺して、倒れた後にその体をバラバラに切断した、という話(『図説 日本未確認生物事典』)。

2012-01-01 01:08:28

↑(×胎児 ○退治)↑

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※この伝説では、山伏が牛鬼の体をバラバラに切断したときに大量の血が流れて高知県土佐山・徳島県白木山・香川県根香山それぞれの「牛鬼淵」になった(三箇所はいずれも牛鬼伝説を持つ)という地名由来譚も説いている。

2012-01-01 01:09:26
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(5)豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に加藤清正が朝鮮の虎ないし敵を脅すために作り物を作った、という話(『妖怪事典』、『日本伝奇伝説大事典』)。

2012-01-01 01:10:04
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これらの説話のうち、(1、2、4、5)は、愛媛県宇和島一帯で行われる牛鬼(ウショウニン、ブーヤレ等とも)の練物(例えば、丸い胴体に長い首、その先に大きな角&大きく口を開けた顔のある作り物(『日本民俗大辞典 下』))の起源として語られる(『妖怪事典』、『日本伝奇伝説大事典』)。

2012-01-01 01:11:33
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特に有名なのは和霊大社の大祭のものだそうだ(『妖怪事典』)。

2012-01-01 01:11:36
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この牛鬼の練物(ねりもの)は、魔除けの力があるとされる(『日本民俗大辞典 下』より)。魔除けの力があるという点では、香川県の根香寺に伝わる牛鬼の絵と共通しているのは興味深い。

2012-01-01 01:11:54
アルム=バンド @Bredtn_1et

なお、牛鬼の練物については(6)「この作り物で大洲太郎が猛獣の襲来を防いだ」という話も存在するようだ(『日本伝奇伝説大事典』)。

2012-01-01 01:12:00
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