【妖怪】玉藻前と九尾の狐について
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さて今日は「玉藻前(たまものまえ)」と「九尾の狐」について。参考文献は『日本妖怪散歩』(村上 健司著、株式会社角川書店、H.20)、『日本奇談逸話伝説大事典』(志村 有弘/松本 寧至編、(株)勉誠社、H.6)、『図説 日本未確認生物事典』(世間 良彦著、柏美術出版社、1994)、
2012-01-02 22:23:47『日本妖怪大事典』(水木 しげる絵、村上 健司著、株式会社角川書店、2005)、『日本架空伝承人名事典』(大隅 和雄ら編集、平凡社、1986)、『鳥山 石燕 画図百鬼夜行』(高田 衛監修、稲田 篤信 / 田中 直日編、株式会社国書刊行会、1992)、
2012-01-02 22:24:02『京都異界の旅』(志村 有弘著、 勉誠出版、2007)、『図説 地図とあらすじで読む 日本の妖怪伝説』(志村 有弘監修、青春出版社、2008)、
2012-01-02 22:24:27『日本妖怪博物館』(株式会社新紀元社 Truth In Fantasy編集部・弦巻 由美子編、戸部 民夫・草野 巧著、株式会社新紀元社、1994)、『中国神話伝説辞典』(袁珂著 ・鈴木 博訳、株式会社大修館、1999)、『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)より。
2012-01-02 22:24:29※玉藻前と九尾の狐について、メモ
まず最初に述べさせて頂きますと、「九尾の狐=玉藻前」ではありません。それぞれ独立して語られる要素をしっかりと持っていますし。
2012-01-02 22:25:15ただ、玉藻前の逸話を取り入れた物語が数多く描かれる中で、次第に「九尾の狐といったら玉藻前。玉藻前は九尾の狐の代名詞」という存在になってしまったので、イコールにして描かれることが多くなり、それが浸透していった結果、となります。
2012-01-02 22:25:24※九尾の狐について
「九尾の狐」は、その文字通り九本の尻尾を持つ狐です。中国では、前漢時代初期の『山海経』「南山経」には「青丘の国に、形は狐のようで尾が九本ある獣が要る」「鳴き声は赤子のようで、人を食う。逆に人がこの獣を食べれば邪気に当たらない」といった旨の記述がある(『中国神話伝説辞典』)。
2012-01-02 22:25:42さらに、西晋時代の郭璞(かくはく)が『山海経』「大荒東経」の「青丘の国に狐がおり、九尾を持つ」という記述に対して「天下太平のときに現れて瑞祥になる」という注を付している(『中国神話伝説辞典』)。
2012-01-02 22:26:24これに関し後漢時代の趙曄(ちょうよう)の『呉越春秋』「越王無余外伝」に例となる記述がある。また漢代には西王母の周りに白兎・蟾蜍(ひきがえる)・三足烏などと共に九尾の狐が描かれている石刻画像などが多く見えることからも、九尾の狐が瑞祥であったことを示している(『中国神話伝説辞典』)。
2012-01-02 22:26:48瑞祥というイメージは中国だけでなく日本にも流入しており、『延喜式』治部省式にも「九尾の狐は神獣なり」という記述がある(『日本妖怪博物館』、『図説 日本未確認生物事典』)。
2012-01-02 22:26:56しかしその一方で、南北朝時代の李邏(りら)は『千字文』の「周が殷の湯を伐った」に対する注で妲己(だっき)は九尾の狐であると指摘しているという。明代の『封神演義』が妲己を九尾の狐の精としているのは、この説に拠るものだという(『中国神話伝説辞典』、『日本妖怪散歩』)。
2012-01-02 22:27:03その他の仔細についてはWikipediaに投げ。参考: http://t.co/KxjLoNxb Wikipedia - 九尾の狐
2012-01-02 22:27:09ここで何が言ったかったかというと、「九尾の狐は玉藻前以外のものも存在する」ということが第一義。そこで必ずしも悪の権化ではなく、古くは瑞祥を表す聖なる獣であると考えられたこと、等の点を強調し、「九尾の狐=玉藻前」という認識を払拭させたかった、という狙いがあります。
2012-01-02 22:27:19※玉藻前について
その伝承・物語は室町時代から広まりだし、江戸時代には数多くの玉藻前にまつわる物語が作成されました。「九尾の狐」や「殺生石」が玉藻前に関連付けて語られだしたのも、室町時代以降だといい、玄翁による殺生石を砕く物語が挿入されたのはさらに時代が下ってからのことだとされる
2012-01-02 22:30:41そもそも、当初は玉藻前は九尾の狐ではなかった。室町時代の謡曲『殺生石』などでは尾に関する言及はないが、『玉藻前物語』では尾の数は二本、『源平盛衰記』巻六では三本だった。それが『玉藻前曦袂』になってようやく九本とされた(『日本奇談逸話伝説大事典』)。
2012-01-02 22:31:22さて、室町時代の物語としては『下学集』という辞書や『神明鏡』、瑞渓周鳳の日記『臥雲日件録』などに記述がある。これらの記事は妖狐の力を強調するだけではなく、武士たちがその妖狐を射殺した点に焦点が当てられている。
2012-01-03 18:30:44つまり、弓術の修練のための競技であった犬追物の起源を語るという性格が強いという(『日本妖怪散歩』、『日本奇談逸話伝説大事典』、『図説 日本未確認生物事典』)。
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