2012年1月6日

【改】まどかマギカから芸術に関する数学的見解

漫画家で芸術家の田村さんのまどかマギカを見終えた感想から展開する哲学や数学に関する考えをまとめました。※時系列順に並べ直しました!
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田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

激しく今更ですが、やっと「魔法少女まどか・マギカ」を全話見終わりました。

2012-01-06 16:04:00
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

私はあまりアニメには詳しくなくて、宮崎駿監督作品と、エヴァンゲリヲンくらいしか見たことがなかったのですが、まどかマギカも本当に凄い作品ですね。感動しました。今のテレビアニメって、みんなこんなにレベルが高いのでしょうか?

2012-01-06 16:04:24
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

私はジャンプでずっと、「まずキャラクターを作り、その魅力を引き出すエピソードと設定を作る」という、手塚治虫先生以来定番のストーリーテリング法を学んできましたが、まどかマギカは小池一夫先生の仰っていた通り、それとは全く逆の作り方をしていて驚きました。

2012-01-06 16:04:53
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

すなわち、まず世界観を綿密に構築し、伏線を張り巡らせた上で、「魔法少女モノ」というお約束の形式を逆手に取り、類型化したキャラクターを配置する、という作り方です。想像もしていなかった、メタ的なストーリー構成法に驚きました。

2012-01-06 16:05:22
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

ところで、「マギカ」MAGICAは、ラテン語で「魔法」を意味する形容詞「magicus」の女性形ですが、その語源「MAGI」は、もともとアラビア・ペルシア系文化圏で宗教儀礼を司っていた祭司の階級の呼称でした。

2012-01-06 16:05:55
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

宗教儀礼を司る祭祀MAGIの重要なお仕事の一つは、かつての日本の陰陽師などと同じく、星を読み、暦と時を司り、ひいては数学を司ることでした。

2012-01-06 16:06:20
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

古代エジプト文明とギリシャ文明で発達した古典数学(ユークリッド幾何学)は、アラビア世界で、アラビア数字によってさらに発達し(だから私たちは、今でもアラビア数字を使っています)、それが後にヨーロッパのキリスト教文化圏に逆輸入され、さらに発達しました。

2012-01-06 16:06:45
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

ですから、キリストが生まれた時に、星に導かれて礼拝した三博士を「MAGI」と呼ぶのは、キリスト生誕時点前後で、アラビアの数学がキリスト教文化圏に伝わったことを意味しています。

2012-01-06 16:07:18
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

(ちなみに、三博士MAGIのそれぞれの名前は、バルタザール、メルキオール、カスパールといって、これはエヴァンゲリヲンでもメインコンピュータの名前に使われていました)

2012-01-06 16:07:38
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

その後、数学や天文学など、キリスト教典外の知識を持つものをMAGIと呼ぶようになりましたが、英語の魔法「MAGIC」の語源になったように、次第にMAGIは異端としてキリスト教世界から弾圧されるようになりました。なかでも中世の魔女狩りは熾烈を極め、多くの「魔女」が火炙りになりました

2012-01-06 16:08:04
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

キリスト教文化圏では、今でも土葬が主流ですが、これはキリスト教が古代エジプト文明の影響を受け、「死後の復活」のために身体を保存する必要があるという考えを持っていたためです。

2012-01-06 16:08:30
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

エジプトは乾燥していたため、ミイラづくりが盛んでしたが、ヨーロッパではミイラづくりは不可能で、そのためにペストの流行など、土葬ゆえの疫病の流行を抑えられなかった歴史もあります。

2012-01-06 16:08:55
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

しかし、そうまでして死後の復活のため、土葬にこだわっていたのに、「魔女」に限ってはわざわざ火あぶりにしたのは、もちろん死後の復活を防ぐため、そして「存在自体を無かったことにするため」でした。

2012-01-06 16:09:21
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

願いを叶えるため、悪魔と魂の契約を結んだものは魔女となり、それゆえいずれその存在は「無かったこと」にされてしまう・・・という歴史的な文脈を、まどかマギカは忠実になぞっているのだと思います。

2012-01-06 16:09:45
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

ちなみに、キリスト教によって迫害されていた魔女(マギカ)も、年に一度、春先に集まり、新春を祝う祭りを開いていました。それが「ヴァルプルギスの夜」、全ての魔力が集結する日です。今でも北欧や中欧で、その風習は残っています。

2012-01-06 16:10:05
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

ところで、ヨーロッパの歴史ではその後も、「それでも地球は動く」といったガリレオ・ガリレイの例を出すまでもなく、キリスト教にはない知識や数学・天文学的真理を唱えた者は、激しい異端審問に晒され、運が悪ければ処刑されてしまいました。

2012-01-06 16:10:36
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

しかし、十字軍の遠征や印刷術、航海術の発達により、イスラム文化やかつてのギリシャ文明、その他の知識が流入してきたおかげで、閉鎖的だった中世キリスト教社会にもルネサンスが訪れました。

2012-01-06 16:11:11
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

数学や科学はますます発達し、ヨーロッパ文明内でも、次第に多様な考え方が許されるようになっていきました。しかし、19世紀の啓蒙主義や、マルクス主義、そしてサルトルの実存主義までは、古来のキリスト教的歴史観、

2012-01-06 16:12:23
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

つまり、「人間は未開の、未熟な状態から、次第に高度な、文明的な段階へと発達する」「混沌から秩序へ、無知から知へ、悪から善へ」という、直線的な歴史観に支配されていたように思えます。

2012-01-06 16:12:59
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

デカルトの「方法序説」の有名な一節、「われ思う故に我あり(ego cogito, ergo sum)」は、ヨーロッパ文明を支える「理性」への信奉を最もよく表した一文であり、

2012-01-06 16:14:13
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

それは元をたどれば、ユークリッド幾何学などの数学が「絶対真理」であると信じて疑わなかった、当時のヨーロッパの人々の一般的な認識だったと思います。

2012-01-06 16:14:28
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

こうした認識は、ヨーロッパ文明以外の文明への蔑視を産み、アメリカ大陸での先住民の虐殺や、その後の各地への植民地支配、奴隷制度などの、歴史の闇を生みました。

2012-01-06 16:14:48
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

しかし、そんな「ヨーロッパ文明こそ最も発達した文明」という幻想も、20世紀に入って完璧に否定されることになります。その予兆は、フランス革命の頃や、それ以前から有りました。

2012-01-06 16:15:23
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

有名な「ガロア理論」に始まる、群、環、体など、メタ数学の発達が、古来より唯一の真理とされていたユークリッド幾何学の唯一性を否定し、球面幾何学、双曲線幾何学など、それぞれ矛盾のない、様々な「真理の」幾何学を生み出してしまったのです。

2012-01-06 16:15:41
田村吉康 TAMURA Yoshiyasu @FUDEGAMI

数学の世界では、「無矛盾性は存在の礎」ですから、ユークリッド幾何学以外の、全ての幾何学も確実に「存在する」ことになり、ユークリッド幾何学こそ唯一の真理という前提にしていたそれまでのヨーロッパ文明の夢想は破壊されました。

2012-01-06 16:16:06
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コメント

岡一輝 @okaikki 2012年1月7日
より広い視点を持ち、多くの事実をその基板とし、論理の段階を高く複雑に組み上げるようになっていく、人類の思考の発展。それが文化や社会を大きく変えていく。思考を記述する文法であるところの数学が、それを尤も明確に顕し、また次の変化の原動力ともなってゆくと、そういうことかしら。
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