茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの「素晴らしき将棋の世界」の連続ツイート

脳科学者・茂木健一郎さんの1月8日の連続ツイート。 本日は、今朝、新聞を読んでいて目にしたこと(女流三冠・里見香奈さんが奨励会初段になったニュース)に触発されて!
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-01-08 07:30:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、今朝、新聞を読んでいて目にしたことに触発されて!

2012-01-08 07:51:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(1)女流3冠の里見香奈さんが、男性棋士と同じ条件で闘う「奨励会」において、現規定で女性としては初めて昇進条件(12勝4敗)を満たし、初段になった。この先、4段まで昇進すれば、奨励会経由の、初めての女性のプロ棋士ということになる。おめでとうございます!

2012-01-08 07:54:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(2)将棋は男女別にも行われているが、必ずしも男女の脳差を反映しているわけではない。男性と女性、どちらが将棋が得意かということが、そう簡単に科学的にわかるわけではない。挑戦してみなければ、どこまでいけるかわからない。里見香奈さんの今後のご活躍に期待したい。

2012-01-08 07:56:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(3)将棋は、すばらしい文化である。まずは、その集中と持続。インターネットや携帯が普及した現代においては、時間は断片化しがち。プロ棋士のように、一日8時間も同じことについてずっと考えるのが日常というような職業はなかなかない。それだけでも価値がある。

2012-01-08 07:57:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(4)羽生善治さんとお話したとき、いろいろ面白かった。羽生さんは、将棋のことを考えると、将棋盤が目の前に出てしまうので、車の運転をするのをやめたのだという。本当は、対局するのに将棋盤は要らない。将棋盤を置いているのは、他人にわかりやすくするためである。

2012-01-08 07:59:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(5)将棋に強くなるためには、感想戦が大切である。一局を指し終わったあと、もう一度振り返って並べて見て、どこがどのように適切な手だったか、あるいは不適切だったかを検討する。そうすることで、だんだん将棋が強くなっていく。奨励会では、対局と同じくらいの時間を感想戦に費やすらしい。

2012-01-08 08:00:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(6)そこが、素人将棋との違いである。素人将棋は、ぱっぱっぱっと指して、勝負がつくと、あっという間に崩してしまって、「もう一丁!」となる。感想戦をして、自分の指し手を振り返ることがないから、なかなか強くなれない。人生も同じことであろう。

2012-01-08 08:02:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(7)前頭葉の眼窩前頭皮質(orbitofrontal cortex)は、「後悔」(regret)にかかわる。自分が実際に行ったこと(現実)と、行うことができたこと(反現実)を比較する。さらには、その前提となった判断基準をも再検討する。感想戦は、眼窩前頭皮質の鍛錬でもある。

2012-01-08 08:03:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(8)感想戦では、自分や相手の指し手を覚えていることが前提となる。プロ棋士の方に伺うと、素人の指し手はかえって覚えにくいのだという。指し手の後ろに、ロジックがないからである。ランダムな配列を記憶するのではない。背景には、緻密なロジックと読みがある。

2012-01-08 08:06:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

すし(9)一つのことで鍛えた脳回路は、他のことにも応用できる。脳内の資源の管理に関係する前頭葉の背外側前頭前皮質(Dorsolateral Prefrontal Cortex)。子どもの頃から、将棋を指して、一つのことに集中する回路を鍛えるといいね。素晴らしき将棋の世界。

2012-01-08 08:08:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「素晴らしき将棋の世界」の連続ツイートでした。

2012-01-08 08:08:23