分類研究の「動機づけ」と「理由づけ」

日本分類学会連合シンポジウム「種の記載の現場に迫る」に関する @leeswijzer さんのコメントとそれに対する反応をざっくりまとめました。日本分類学会ウェブサイト(新アドレス) http://www.ujssb.org/ と、その関連まとめ http://togetter.com/li/238941
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Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb 一昨日,駒場で開催された日本分類学会連合シンポジウム〈種の記載の現場に迫る〉 http://t.co/l60TGT0H について二点コメント.

2012-01-09 07:05:48
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb 1) 分類研究の「動機づけ」と「理由づけ」.多くの演者が分類学的な基礎研究(標本の収集や記載)を続けてこれた「動機づけ」は,きわめてパーソナルなコレクター的欲望あるいは偏愛的欲求であることをあからさまに公言していた

2012-01-09 07:08:54
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)研究活動の「動機づけ」に関するかぎり,極私的であってワルイことは何一つない.記載分類が分類学にとってしなければならないことは,この研究者コミュニティのなかではコンセンサスなのだから,むしろそういう「ヒソカな悦楽」をもっと公言してもいい.

2012-01-09 07:11:34
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)確かに,「私は第三腹節の刺毛が好きです」とか「ぼくは口吻がある線虫を愛しています」とか「実は蛾の valva に固執しています」と言われたら,「変人やなあ〜」とは思われるかもしれない.

2012-01-09 07:16:24
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)しかし,そういうオブセッションがあるからこそ,社会的には必ずしも恵まれていない「分類研究」を長年にわたって続けられてきたのであれば,それはちゃんと正当に認めるべきだろう.個人的にも,対外的にも.

2012-01-09 07:18:22
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)一方,分類研究の「理由づけ」はそうはいかない.黙っていてもシンパシーをもってくれる「中のひと」ではなく,まったく理解のない(あるいは批判的ですらある)「外のひと」に対して説明するわけだから丸腰で防戦するのはハイリスク.

2012-01-09 07:28:58
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)分類連合シンポジウムでは演者それぞれが,もっと大きな分類体系の構築を最終的な目標として,個々の群に関する現在進行中の分類研究の「定位」をしていた.

2012-01-09 07:32:38
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)それぞれの分類群から体系構築へ,さらには生物多様性の解明へというベクトルが,対外的に分類研究を「理由づけ」の基本となっている.標本のデータベースづくりという作業も“インベントリー”という「理由づけ」で何とかなるかもしれない.

2012-01-09 07:38:01
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)いずれにしても,対外的な「理由づけ」は,相手によってそのつど「口上」を変えるわけだから,上から降ってくる義務的な仕事ではある.職業的分類学者にとっては予算獲得とか業績報告のときには日常的なことだろうけど.

2012-01-09 07:44:25
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)「動機づけ」は「内からの声」なので切実にして神聖不可侵?なのだが,「理由づけ」は「外からの要請」なのでそこはかとなくいやいやな義務感が漂う.

2012-01-09 07:46:49
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)場合によっては,攻めの姿勢の「アウトリーチ」とか「サイエンス‥コミュニケーション」という手もあるのだろうが.

2012-01-09 07:53:59
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)「では,なぜその特定の分類群なのか?」と問われたら,多くの場合,「好きだから」とか「まだ調べられていないから」というパーソナルな「理由づけ」を口にするしかないだろう.

2012-01-09 07:56:11
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

誰も使ってないかな QT @haruyo_y: 職業的分類学者って言葉を使ったのは誰?RT @leeswijzer: #ujssb (承前)対外的な「理由づけ」は上から降ってくる義務的な仕事ではある.職業的分類学者にとっては予算獲得とか業績報告のときには日常的なことだろうけど.

2012-01-09 07:57:09
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)分類群に対する極私的オブセッションによる動機づけを対外的な理由づけに転用するからパブリックな理解が広まらないということ.戦略・戦術をどうにかできないか.

2012-01-09 08:17:06
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)Society for Systematic Biology や Hennig Society のように,分類学の「科学的理由づけ」を科学者相手に提示し続けてきた研究者コミュニティはすでにある.日本では,その基盤自体がなかったという足腰の弱さは否定できない.

2012-01-09 09:00:52
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)大きな理論的フレームワークが共有されていない状況では,極私的オブセッションをよりどころにするしかない.

2012-01-09 09:02:23
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)分類研究が基本的に「個人」でやれるからこそ,アマチュア分類学者が生存できるニッチがずっと保全されてきた.しかし,個人ごとのパーソナルな偏愛がパブリックに共有される枠組みであるとはかぎらない.

2012-01-09 09:19:11
Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 @leeswijzer

#ujssb (承前)分類に関わる「私的な論争」や「個人的ないがみあい」はいわば「個人店主」どうしのバトルみたいなもの.神棚の家訓を互いに掲げて戦うのだから収拾がつくはずがない.パーソナルとパブリックの混同の最たるもの.

2012-01-09 09:29:15

コメントに対する反応

ロプノールしのぶ @_Lopnor

いるいるw "@leeswijzer: #ujssb (承前)確かに,「私は第三腹節の刺毛が好きです」とか「ぼくは口吻がある線虫を愛しています」とか「実は蛾の valva に固執しています」と言われたら,「変人やなあ〜」とは思われるかもしれない."

2012-01-09 09:13:36
テレビなう @terebinau

(@_Lopnor)ラジオ番組にしましょう!「私が 愛した ○○」"@leeswijzer: #ujssb (承前)研究活動の「動機づけ」に関するかぎり,極私的であってワルイことは何一つない.~むしろそういう「ヒソカな悦楽」をもっと公言してもいい."

2012-01-09 09:18:05
ロプノールしのぶ @_Lopnor

ラジオ番組にしましょう!「私が 愛した ○○」"@leeswijzer: #ujssb (承前)研究活動の「動機づけ」に関するかぎり,極私的であってワルイことは何一つない.~むしろそういう「ヒソカな悦楽」をもっと公言してもいい."

2012-01-09 09:17:23
sakumad @sakumad2003

博物館防戦も同様。 RT @leeswijzer: #ujssb 分類研究の「理由づけ」はそうはいかない.黙っていてもシンパシーをもってくれる「中のひと」ではなく,まったく理解のない(あるいは批判的ですらある)「外のひと」に対して説明するわけだから丸腰で防戦するのはハイリスク.

2012-01-09 08:07:18
山口晴代(唎酒師) @haruyo_y

理由づけの部分はどんな議論が?RT @leeswijzer: #ujssb (承前)しかし,そういうオブセッションがあるからこそ,社会的には必ずしも恵まれていない「分類研究」を長年にわたって続けられてきたのであれば,それはちゃんと正当に認めるべきだろう.個人的にも,対外的にも.

2012-01-09 07:19:21
山口晴代(唎酒師) @haruyo_y

微妙 RT @leeswijzer: #ujssb (承前)それぞれの分類群から体系構築へ,さらには生物多様性の解明へというベクトルが,対外的に分類研究を「理由づけ」の基本となっている.標本のデータベースづくりという作業も“インベントリー”という「理由づけ」で何とかなるかも

2012-01-09 07:41:50
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