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『ケインジアンの経済学とケインズの経済学』・・なぜこんな凄い本を今の今まで読んでいなかったんだろうか。勉強不足に恥じ入るばかり。
2010-05-23 23:32:46以下、ある本から印象に残った部分をメモがわりに。ウザイと思う方は見ないで頂ければ幸いです(汗。
2010-05-24 10:27:07ケインズは自ら貨幣理論と「われわれの基本的な価値論」とを総合させるについて大きく貢献したと信じていた。
2010-05-24 10:28:57しかし、皮肉なことには、正統派ケインジアンと新古典派の人々との間の休戦協定は、ケインズの体系が特殊なものであり、その理論においては相対価格も貨幣的現象もともに「重要」でないという共通の理解に基づくものである。
2010-05-24 10:29:04正統派ケインジアンと新古典派の休戦協定は、以下のようになされる。つまり、①「ケインズが厚かましくも「一般理論」と呼んだモデルは古典は理論の一つの特殊ケースに過ぎないものであり、古典派理論におけるある限定的な仮定を押し付けることによって導き出されたものであること、・・
2010-05-24 10:33:34②ケインズの「特殊ケース」は理論的には当たり前のものであるが、それにも関わらず一般(均衡)理論よりもたまたま現実の世界を説明するのに適しているという理由により重要であること、がそれである。」
2010-05-24 10:34:45①は、いわゆる「新古典派総合」の簡単なスケッチを与えている。・・・新古典派総合の立場は、ケインズが偉大な理論上の革命家であるとする主張を最終的に拒否することを示しているからである。これが、長きに渡る「ケインズと古典派」論争を通じてもたらされた結果である。
2010-05-24 10:42:05しかし著者(レーヨンフーヴッド)は、この結果を最終結果とみなさるべきではないとの立場に立つものであり、この研究はその論争(ケインズと古典派論争)を再開させようとするものである。本書の主な主張は、ケインズの理論は「ケインジアン」の所得支出理論とは全く異なるものであるというものである
2010-05-24 10:45:20どの科学の分野においても、最も重要な仕事は実証的な内容を「理論の空箱に詰める」という作業の筈だ。この作業を効率的にこなすには、正統的学説というものがある程度、問題への指針を提供し、実証的検証のための十分な仮説を提供するための枠組みとして存在しなければならない。
2010-05-24 10:54:16時間の経過につれ、以下の2つのうちいずれかが生じる可能性がある。①研究が進むにつれて、変則的な事実の観測が累積して、結果、世界がどのように機能しているかについての正統派のビジョンを維持することが増々困難になる(クーン風)。
2010-05-24 10:55:51②空箱の積み込みが進むにつれて、新たな世代の研究者は、正統派のビジョンを一層具体的細部にわたり洗練された形で教え込まれる。実証的観測がより大量に蓄積されると、そのことはその「分野」の現状を学ぼうとする研究者に一層多くの努力を要求する。
2010-05-24 10:57:22さらにこれは、問題を解決する事以上により多くの問題を生み出し、従って、一層研究分野の専門化を進めることになる。こうした事態になると、個々の研究者にとって、科学的な近視眼から逃れるのは増々困難となり、全体を冷静に見通し続けることが困難となる。
2010-05-24 10:59:37同じ事実の集積を系統的に説明できるような他のビジョンが常に存在する筈ということを心に留めるのが困難となり、そのビジョンが何かに思いを致すことが困難となる。その分野の現状と先行きを検討しようとすれば、「脱出のための苦闘」を必要とすることになるのである・・・。
2010-05-24 11:01:31僕の問題意識とマッチしてるのは、例えばこんな箇所。『ケインズ理論は正統派理論を批判するというよりは、むしろそれを拡充し、完成させるものと考えられるのである。ケインズ理論の再評価はこうした視点で行われねばならないであろう。』
2010-05-25 11:40:43又こんな所も。「ケインズ理論の中に正統派理論を包摂することは、正統派理論をより豊かに完成させるという主張が成り立つためには、ケインズ理論の中に新しいパン種が含まれなければならない。新しいパン種とは、資本主義経済が、すぐれて貨幣経済的正確を持っているという認識である。」
2010-05-25 11:42:47拙著の問題意識の通りなのですが、世界金融危機や日本の長期停滞の状況や各種既存研究を見ていくと、下の貨幣経済的性格が薄まったことと、既存研究の大多数が実物的視点に基づくことには関係があるし、更に政策対応にも影響しているとしか思えないんだよなぁ・・。
2010-05-25 11:54:13で、深刻な経済危機に対していかなる政策が必要か?みたいな話も、ケインズの考えをもっと探った方が良いのではないかと思ったりもする。「一般理論」は実物面からの分析がメインだけど、「貨幣論」で提示された発想は十分な深堀はなされなかった・、確かに貨幣面と実物面は表裏一体だけど意識しずらい
2010-05-25 11:59:53確かに。健康的な見方RT @goushikataoka: 僕の問題意識とマッチしてるのは、例えばこんな箇所。『ケインズ理論は正統派理論を批判するというよりは、むしろそれを拡充し、完成させるものと考えられるのである。ケインズ理論の再評価はこうした視点で行われねばならないであろう。』
2010-05-25 11:57:06RT @kkakinuma 健康的かどうかは分かりませんが、ケインズ理論の持つ貨幣的要素を落としたケインジアンの経済学の成立、マネタリズムの批判、ルーカス批判から新しい古典派マクロで実物面への傾斜、更にNKはRBCピザの一種、と見るとケインズの手の平で踊っているようにも思えますw
2010-05-25 12:15:18訓詁学的なことにはあんまり興味はないワンから「ケインズは金融政策を無効と考えていた」としても別に全然構わないワンけどね。重要なのは、無効と考えていたかどうかではなくて、何で無効と考えていたか、という点ワンね。
2010-05-25 12:16:42そしてケインズが無効であるとの結論に達した理由が説得的かどうか、その理由が現在においても妥当するかどうか、を探ることが重要ワンね。
2010-05-25 12:17:21