幻想の現象学的還元④ 『卯酉東海道 Retrospective 53 minutes』
- L_O_Nihilum
- 1334
- 0
- 0
- 0
Tr.1:のぞみのような最新の新幹線。中を覗くと木でできた小屋をイメージさせる落ち着いた色合いの車内。
2012-01-18 00:43:09ところどころデザインで装飾として描かれた不死鳥の絵。炎の鳥の美しさが目立つ。ていうかこれ、セレブ用の新幹線?
2012-01-18 00:43:51電車の鼻の先には線路がカーブを描き、消失点を逸れている。遠く遠くの風景への穴が開いている。「ドアが閉まります 御注意ください」 がたんがたん・・・・がたがたん。・・・・がたんがたんがたんん・・・・・。
2012-01-18 00:45:44Tr.2:海辺。てか浜辺。海浜。誰もいない海浜に、少女が一人、貝を拾って遊んでいる。
2012-01-18 00:46:41…・列車の窓から見える、広く広がる海。トンネルを抜けると、山の緑が幕を開き、顔を見せるのは、音が聞こえてきそうな、透き通った海と、雲一つない大空。高速で疾走する新幹線が導く家屋や細かい建物が手前をうごめくのをながめるかのように、大海原が空とともにこちらを見ている。
2012-01-18 00:48:53建物が増えていき、だんだんと海は手前側にあった風景に呑みこまれてゆく。しまいには線路に並置してある巨大な壁に、風景総てが呑みこまれていく。 …新幹線は奔る。いまだなお。
2012-01-18 00:50:18Tr.3:…どう聞いても輝夜なんですけど…エポケーしろ、エポケーするんだ、俺・・・・!!
2012-01-18 00:51:05月がおぞましいほどの輝度を持って輝きながらも、夜空の暗度は保たれている。造作もない竹の雑林を、音を超えて疾る。次々に避けていく竹たち。向こうの星空が見えるほどに竹が避けている。(どこの猫バスだ)
2012-01-18 00:52:53竹林を抜けた。カタチなく、色とりどりに輝る光の球がふうわりういている。宇宙でも飛んでいるのだろうか。体が妙に軽い。
2012-01-18 00:53:44星空の様な異空間が終わると、夜は再び暗くなって、星々は早々に退散する。そして見下ろすと、美しい星を並べ立てた大都会が。「わあ!空を飛んでる!」(ジブリ風)
2012-01-18 00:54:52嬉しくなって、宙返り。ひとりブルーインパルス。そのまま高揚して高く上空へ舞い上がっていく。こらこらイカロス、あんまり調子に乗ってはいけませんよ――――――
2012-01-18 00:55:49Tr.4:水平線。太陽も星々も、月も浮かばず、暁でもなく夕方でもなく、薄暗い蒼い空の様な空間と、その色を写す巨大な海。ここは彼岸なのか。色が無い。
2012-01-18 00:57:23町。江戸中期あたりのような、どこか懐かしく、でも、昔だけど、古くない、町。しかし、人はいない。所謂「昔の風景」的な場所を、水平に飛んでいく。
2012-01-18 00:58:37下の方から、何か花が浮いてくる。赤い、細い花々。舞い上がっていく。空の色は未だ乾燥した蒼さに包まれており、人は一人もいない。ラッパが聞える。だれかが何かを召しているのか。
2012-01-18 00:59:39天の行進隊がやってきた。こんな日本的な風景に?妙な感じになってきた。空の色の乾燥味が抜けて、だんだん色が薄くなっていく。しまいには、曇りか霧かわからぬような白い空になった。だんだん体が高くなっていく。町が薄れて消えていく。儚い世界を空飛んでいるようだった。
2012-01-18 01:01:30Tr.5:さっきの木製風デザインの新幹線の中。テーブルがあり、お食事可能になっています。こんなサービスのぞみ0系以来ではないですかねぇ。いや、そこまで鉄道詳しくないけれど。でも昔は時間があったからこういうサービスがあったって言うじゃない?なんて懐かしい。
2012-01-18 01:03:36美味しい食事がやってきました。サラダにハンバーグ、梅干しつきのごはんに焼き鳥、しょうゆがついていて、そいでもってお漬物がちょっぴし。食べている間に新幹線の中でのテロップは流れ、腕時計の秒針は進む。時間が静止したような、不思議な空間のひととき。
2012-01-18 01:05:58Tr.6指定座席に座っていると名物の兎饅頭を乗務員さんが持ってきてくれる。おいしそうなので買ってたべることにした。この兎饅頭は次の駅あたりで売っている有名なお菓子だそうで、其処の町で有名になった兎の言い伝えにちなんでいるらしい。
2012-01-18 01:07:52この饅頭には兎の絵だけが描かれているわけじゃない。「丸に互い鷹の羽」と呼ばれる家紋があしらわれた饅頭も兎饅頭のヴァリエーションである。この家紋は、その兎とどうやら強くかかわっている家系の人々(その土地では有名な歴史人物たちらしい)の縁起なんだとか。
2012-01-18 01:09:21なんでも、因幡の白うさぎまがいの兎奉公をして、それいらい大儲けした家系なんだそうな。その家系をたたえて、この饅頭には鷹の羽の家紋が記されるのだそうだ。
2012-01-18 01:10:20Tr.7:除夜の鐘が一つ鳴る。突然空は雲に包まれ、鉛色に暗くなる。雷が鳴り響き、鳥たちはいっせいに逃げ出す。飼われていた鶏が一斉に小屋を破り、一定の方向にテケテケと逃げ去っていく。
2012-01-18 01:11:58!! 大妖怪が顕れた。 妖怪は名前は知らぬが、全身が炎に包まれており、額には巨大なお札が張り付けられている。しかし誰に操られている様子もなく、自律しているようである。恐ろしい姿をしている此の妖怪に、街中総てはひれ伏してしまう。
2012-01-18 01:13:30呪いの時。逢魔が時。こんな時間まで何やってるの、オオソラ様―――――――――――――――――
2012-01-18 01:14:41