いまさらながら、SPEEDIについて
おおまかな所感。

SPEEDIはほんとは正しく予測できてたのに隠してたからあーだこーだ、みたいなお話が最近またよく流れてきます。私の知る範囲では、計算に必要な放出量が分からなくて仕方なく色んな仮定(=想像)でシミュレートして、事後的には実際の分布に近いものもあった、ということだと認識しています。
2012-01-18 18:49:34
放出量が分からないという理由で避難指示に活かせなかったのは問題だとは思いますし、また「こういう可能性がありえます」という幅を示すことが出来たのではと思いますが(公表によるリスク低下のほどはともかく)、「SPEEDIはほんとは正しく予測していた」というのは事実ではありません。
2012-01-18 18:54:33
なお、事故直後には分からなかった情報がその後の測定や事態の進展で徐々に判明していることから、SPEEDI放射性物質の拡散・被曝量のシミュレーションは行われ国に報告されています。現在ではそれらをひっくるめて公表されています。文科省 http://t.co/UpiTz0m3
2012-01-18 18:57:16では実際に、
どんな使い方がありえただろうか考えてみます。

@HIROHIRO1000000 ええ、私もそう思います。シミュレーション屋としては、こういう状況ならどういう使い方があっただろうかと考えますね。
2012-01-18 19:00:13
SPEEDIは平たく言えば天気予報シミュレーションの放射性物質の拡散に特化したもの。放出量と風向き等から、どこにどれだけ飛んでいくかをシミュレートします。気象条件は時々刻々変わるので、放出時間・量によってその後の拡散状況は変わります。最もキモになる入力情報が不明だったので、(続)
2012-01-18 19:07:00
(承前)担当者は様々な値を仮定してシミュレートした。その結果が「5000枚」ですね。でもどれが本当にそうなりそうなものなのかは、この時点では分からなかった。これが活かされなかった直接の技術的な理由。私はこの5000枚を分析したわけではないので自信はありませんが、(続)
2012-01-18 19:11:10
(承前) そのような状況でも、気象条件や全体の傾向から、例えば「北西方向に特に多く拡散する可能性が高い」という程度のことは言えたのではないだろうかと想像しています。それが先のツイートで活かされなかったことが問題だ、としている理由です。(続)
2012-01-18 19:14:27
一方で、事態が進行中のまさにそのときに、5000枚の、相互に矛盾している図をいきなりぽんと出されても困ります。仮定・想像にもとづいたシミュレーションをせざるを得なかったのならば、その結果を解釈し、「使える」情報にするところまでは、シミュレーションのグループでするべきです。(続)
2012-01-18 19:18:13
そのため、私は予測結果の図そのものが迅速に公表されなかったことはあまり問題だと思っていません。先ほど書いたように、5000枚の想像図を公表しても役立ちません。しかし、それでも、気象条件から傾向を計り避難指示と被曝リスクの低減に役立つ情報は出せたのではないかとも考えています。(続)
2012-01-18 19:20:21
以上、同じ研究室に大気汚染シミュレーションをしている同僚・学生もいる、温暖化対策シミュレーション屋の私からみた昨年の事故におけるSPEEDI運用への評価です。(了)
2012-01-18 19:21:30シナリオ研究のためのモデル開発をしている私としては。

放出量が分からないのに拡散を予測しろというのは、モデル屋としては本当に無理がある話なのですが、一方でシナリオ屋としては未知で不確実な変数が絡むのはよくある話です。こういう事態に対応した手順がそもそも整備されていなかったことが最も問題ですかね。
2012-01-18 19:24:35SPEEDIのデータは、
早い段階で外務省を通じて米軍に渡されていた、とあります。
では米国側はこれをどう評価しただろうか、を、
もしも私なら、で想像します。

SPEEDIの予測データは米軍に渡されていたとWikipediaにはあります。私が米国側担当者であれば「つまりよく分からんってことだな」と解釈し「日本政府は正確な予測をするだけの情報を持っていない」「ということはリスクは大きめに見たほうがよい」と意思決定者に伝えるでしょうね。
2012-01-18 19:44:34
この場合の意思決定は割と簡単です。なぜなら同発電所近くに滞在・在住する米国人の数は日本人と比べて圧倒的に少なく、広い範囲から避難させることに伴うリスクとコストは日本人のそれと比べて圧倒的に小さいからです。
2012-01-18 19:46:48
@NatsukiKozai 実際のところ米国がどのような情報を得たのか分かりませんが、そもそもの情報源(である日本政府のシミュレーション)の精度を超えることは出来ませんから、避難コストが十分に低ければ、意思決定者には危険寄りの状況判断を下すよう進言するだろうと思います。
2012-01-18 19:53:24<追記>
以前から詳しくSPEEDIのことを調べてらっしゃった、
arcsecondさんから記事をご紹介いただきました。

仮定を置いて本格放出前に計算したものは、例えば保安院の45種、文科の40種です。安全委は主に事後に事故評価の為に使用です。他の膨大な数は、「単位量放出1時間-3時間拡散」です。@keigomi29 担当者は様々な値を仮定してシミュレートした。その結果が「5000枚」ですね。...
2012-01-19 12:23:04
大分昔ですが、よろしければ、まとめhttp://t.co/itFxyK08、保安院試算http://t.co/uPyEhM8q、単位量仮定の話http://t.co/ZPE1n0HE。@keigomi29 担当者は様々な値を仮定してシミュレート。その結果が「5000枚」..
2012-01-19 12:28:24
本当のルートページはよくわからないのですが、ここが一番良いと思います。http://t.co/IWrZoAfY @keigomi29 情報ありがとうございます。その内訳はどこで見ることが出来ますでしょうか。
2012-01-19 12:30:32
あと、毎時更新の動画も一応予測性ありとして仕立てました。今では見る人が何を読み取る(べき)かはあえて考えない方が良いかと思っています。http://t.co/DicYE9KB @keigomi29 ありがとうございます。精力的にまとめを作成されていたのですね!RTしておきました。
2012-01-19 12:47:19その後につらつら考えたことを追加。