いまさらながら、SPEEDIについて
なぜか最近また、SPEEDIの予測が公開されていれば云々、というお話が何件か流れてきました。
私は温暖化対策のシミュレーションが専門で、同じ研究室の同僚や学生には大気汚染のシミュレーションをしている人もいます。その立場からの想像と感想です。
続編もあります。「続・いまさらながら、SPEEDIについて」
http://t.co/borKt1Pr

予測のキモは「これからここが危ないかも」が分かる、なので、実測で単純に置き換えることは原理的に不可能です。事態が発生した瞬間からその時点で分かる情報で出来る予測をし、避難指示に活かしつつ速やかに実測で情報を集め(当然この時点でとるべき対処はとり)、その後の予測をさらにして、と。
2012-01-19 14:36:20
少なくともSPEEDIのオペレーターはそういう計算をしていたようですから、やはりこういう事態を想定した手順が整備、訓練されていなかったのでしょうね。
2012-01-19 14:37:41
予測と実測は時間軸があれこれするので、そのあたりうまく組み合わせて使わないとです。実測が出てから同じ場所の(過去時点の)計算はしなくてもいい。でも実測からモデルを修正(キャリブレートのこと)して予測精度を上げることは出来ます。
2012-01-19 14:34:01
シミュレーションには様々な仮定や方法による限界があります。専門家・関係者はその重要さを知っているので、どんなシミュレーションが出てきてもその仮定や方法をチェックして結果を解釈しますが、おそらくかなり多くの割合(例えば80%以上とか)の人は、そのような習慣がないでしょう。(続)
2012-01-19 16:47:27
(承前) また報道に当たる人に、少なくとも当初は、それだけの分析力・知識を期待することも出来ません。シミュレーションの結果を解釈し、意味合いを日常語に翻訳し、指針をまとめる作業が必要です。それらを根拠となった元データとともに公表する、という方法が良いだろうと今は考えています。
2012-01-19 16:51:30
SPEEDIがあのとき実際にどう使われ、関係者の間でどのようなやりとり・判断があったのかなどはそれに強い関心をもつ方が詮索して下さるでしょうから、私は事実究明よりも改善案を考えたくてそうしています。
2012-01-19 16:54:41