高関健さんのマーラー交響曲第7番についての考察

演奏にあたって、高関さんがつぶやいたこと、それに対する反応のつぶやきをまとめました。
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高関 健 @KenTakaseki

GMは第7番を書き進めるに従って、表現方法の革新に挑戦していると考える。これがのちに続くSchoenbergら新ヴィーン派に影響を与えている。例として、Schoenberg/Serenade, Webern/op. 6, 10, Berg/op. 6, Wozzeck。

2010-07-17 12:39:44
高関 健 @KenTakaseki

第7番の存在は高校時代に認識、その後折に触れて私の音楽観の形成に影響を与えてきた。表現意欲の源泉となっている作品だけに、思い込みも烈しいのだろう。明日の本番を直前に俄かに重い気持だが、願わくばオケの協力を戴いて納得のいく演奏となることを望む。終わった瞬間の大爆笑を夢見て…。

2010-07-17 09:37:11
高関 健 @KenTakaseki

以上の要求は、全体で協和するオケ本来の特性から大きく逸脱して、楽員各人、指揮者にも多くのストレスを発生する。そして技術的にも実現が難しい。すべての因子を読み取り、演奏によって実現し、聴衆に交響曲の「パロディ」を説得して理解してもらい、最後には一同爆笑でお開きとしなければならない。

2010-07-17 09:20:53
高関 健 @KenTakaseki

速度法においても、①急激なテンポの変化②増減(riten. accel.)③異なる2種類のテンポの並置④テンポの不安定化(第2楽章のFl. solo)⑤テンポの流動化(第1楽章第2主題‐高声部と低声部がずれる)⑥コンマ(’)による流れの寸断などあらゆる方法が試みられている。

2010-07-17 09:07:59
高関 健 @KenTakaseki

表現においても①対旋律や伴奏形(!)を強調、旋律を弱々しく演奏②鐘やカウベルの強奏で金管のファンファーレを覆ってしまう③旋律のAuftaktのみ強く、本体はpに落とす④フルート4人に低音域の旋律を空気一杯に吹かせるなど、聴き手にもストレスが溜まるような操作が散りばめられている。

2010-07-17 08:51:31
高関 健 @KenTakaseki

GM7で使われるいわゆる特殊奏法。特にホルンのgestopft, Schaltrichter auf(ベルを高く掲げる)の指定は綿密。C-BのBartok Pizzicato, 弦全体のcol legno、Timpaniへのスティックの指定も厳密。音色の多彩さには目を見張る。

2010-07-17 08:15:47
高関 健 @KenTakaseki

JSB『管弦楽組曲』フランス序曲と舞曲、『幻想交響曲』野の風景、RWのPos.コラール(Wotan?)、Meistersinger前奏曲、Liszt(Mazeppa?)、Don Giovannniのマンドリン(+『理髪師』のギター)など。第7で使われる素材の多さには驚かされる。

2010-07-17 07:44:50
高関 健 @KenTakaseki

第5でポリフォニーの複雑さに挑み、第6で交響曲というスタイルを極限まで拡大したGMにとって、反動として「お楽しみの」もう1曲を作らないでは居られなかった?実際に第6の終楽章と第7の2つの「夜曲」が1904年、同時に作曲される。それにしても随分と大規模な『お楽しみ』ができたものだ。

2010-07-17 07:17:28
高関 健 @KenTakaseki

GM7=Parodie?例えば漱石の『猫』、M. Brucksの映画、Hoffnungの冗談音楽。細部の嘲りだけでなく、その細部が構成する作品全体で、交響曲という完成したスタイルそのものに対するパロディが成立しているのではないか?明日の演奏を考えると、突然気が重くなってきた。

2010-07-17 07:05:25
高関 健 @KenTakaseki

GM7:今年2回目の演奏を目前に控え、一日かけてスコアを再確認する予定。自筆ファクシミリと演奏用スコアを見比べて点検する。単調な作業の繰り返しだが、その度に新しい発見がある。裏を返せば、迂闊にもこれまで気づかなかっただけのこと。自分の散漫な注意力を少しでも鍛えたいと願う。

2010-07-16 09:40:12
高関 健 @KenTakaseki

そこで「大地の歌」と第9について、私はRatz博士の勧めに従い、上下の食い違いや響きの濁りを揃えるための最小限の変更を施した楽譜を作り、演奏に使っています。あくまでも作曲家の真意から逸脱しないように注意を払っているつもりです。以上が私のGMに対する演奏の姿勢です。

2010-07-14 10:22:52
高関 健 @KenTakaseki

「大地の歌」と第9を読んでいくと、第9の完成度が少し足りないことが解ります。最初の協会版(1970)の編集者Ratz博士は、第3楽章までの自筆のスコアの下書き(Particell)をファクシミリで出版しています。演奏者はこの不足を良く認識して、演奏に取り組むように勧めています。

2010-07-14 10:14:37
高関 健 @KenTakaseki

「大地の歌」と第9は、共に自作自演の機会には恵まれないままGMが亡くなったので、生存中にスコアとパート譜が印刷されていません。しかし写譜師による印刷原稿のための版下は完成して、GMはすでにその上に多くの変更を加えています。その変更はすべて現行の協会版に取り入れられました。

2010-07-14 10:06:53
高関 健 @KenTakaseki

第2についても、NYPでの演奏を計画していたようですが、1910年4月にパリでの演奏があり、その折にGMはかなりの改訂を行いました。GMが最後まで持っていたスコアは現在Kaplan氏が保管して、これを基に新改訂版が編集され、間もなく出版されます。私もその試刷版を演奏しています。

2010-07-14 09:58:49
高関 健 @KenTakaseki

今回出版された第6はもちろんですが、第5(2002)においても1911-12年にNYで演奏するつもりで改訂を進めていたパート譜(スコアは紛失)、1909年にヴィーンでLoeweが演奏した際の改訂版(これが1919年Goehler版の基になった)が参照され、現状では最善の出版です。

2010-07-14 09:46:17
高関 健 @KenTakaseki

現行の協会版では、自作自演での変更は当時のパート譜、GMが使ったスコア(紛失の場合はMengelberg, WalterなどがGMの変更をメモしたスコア)など、できる限り多くの資料を参照、編集している模様です。演奏に不可欠なGMによる変更はほとんど網羅されていると私も考えます。

2010-07-14 09:39:03
高関 健 @KenTakaseki

練習中のarticulationや音符自体の変更などは、書き留めておかないと、次の演奏で齟齬が生じます。オケの楽員もその辺りは熟知しているので、重大な変更は必ずメモします。GMは非常に几帳面な性格で、練習終了の度にパート譜を集めて持ち帰り、パートとスコアをチェックしていました。

2010-07-14 09:25:17
高関 健 @KenTakaseki

GM7:サーヴィス精神過剰な演出…パロディーや皮肉も含め、広範にわたる表現(少し雑然としているが)をまとめて提示できる能力。普通の音楽表現を大きく超えている事を聴衆に理解してもらう難しさ。今後の大きな課題と認識。それでも全曲が終わると同時に会場が爆笑に包まれる、という願望は持つ。

2010-07-05 10:03:20
高関 健 @KenTakaseki

前述の通りGMは1910~11年にImagesを含むCDの4作品をNYPで指揮している。共に新しい響きを求める同志としてCDに対し親近感を抱いたものと想像する。来月18日新響定期で、IberiaとGM7を並べて演奏するので、聴き比べるのも一興と考える。それではW杯を見よう。

2010-06-29 22:40:18
高関 健 @KenTakaseki

昨晩は新響とIberia+GM7の練習。Iberiaの書法は「海」と比較しても緻密で繊細。GM自身が1911年1月NYPで指揮している(Pierneによる初演からわずか11カ月後)が、特殊奏法を含めGM後期の書法に通じるところ多し。GMがCDに同志的な共感を寄せていたと思う。

2010-06-27 08:55:04
高関 健 @KenTakaseki

今日は3日目の練習。Twitterを通じご意見や激励のお言葉を戴き、十分にお応えできるよう、感謝を以って最善を尽くす所存です。今回の演奏で、第7交響曲が奇怪で難解な失敗作のような先入観を何としても打ち払いたい。第7は20世紀最大のDivertimento、瞬間芸も続出しますよっ!

2010-06-17 09:02:14
高関 健 @KenTakaseki

第6でGMは作曲家としての能力と、交響曲形式の可能性を極限まで追求。対照的に第7では、表現の多様性への欲求が明らかで、第1楽章でも、第6のような確固とした形式感は求めず、むしろフランス序曲のような簡素な構成。第7はGMにとってDivertimentoとして作曲されたと想像する。

2010-06-17 08:52:12
高関 健 @KenTakaseki

今朝から京都市響とGM第7交響曲:時間いっぱいをかけて全楽章練習。開始前なんとViola首席にSgnm先生が座っていらっしゃる。びっくりと感激。群響からお借りした書き込み済パート譜はおおむね好評で、少し胸をなでおろす。明日はさらに細かいところまで検討する練習になるだろう。

2010-06-15 22:12:12
高関 健 @KenTakaseki

分奏が続きオケの士気が下がりかけた時期もあった。MahlerもAlmaに宛てて不平不満の手紙を書き送る。2週目に入り、分奏の効果がようやく表れる。初めて全楽章を通した際に状況が一変、新しい音楽の面白さにオケ全体が巻き込まれ、演奏が俄然輝き始める。その後はすべて順調に捗った。(終)

2010-06-14 18:49:07
高関 健 @KenTakaseki

練習終了後にMahler自身がパート譜を全部招集してホテルに持ち帰り、夜遅くまでひとり改訂を繰り返した。書き足したり斜線で削除したり、決して読みやすいとはいえない状況に。楽員は、翌日の練習でパート譜の状況が変わり果てているのを見て驚く。かえって練習が混乱することも…。

2010-06-14 18:48:35
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