道垣内「特許については、国際裁判管轄についての民事訴訟法改正案に入っている(3条の5)。登録により発生する権利のうち一部のものについて専属管轄とする考え方は、1999年のハーグ国際私法条約案にもあった。その条約では、著作権については専属管轄としないという規定もあった。」
2010-05-22 10:06:20道垣内「そうすると、著作権侵害ついては、合意管轄や不法行為地管轄でやる。不法行為地管轄についても民訴法改正案3条の3第8項カッコ書きが問題となる」
2010-05-22 10:07:398号:不法行為があった地が日本国内にあるとき(外国で行われた加害行為の結果が日本国内で発生した場合において、日本国内におけるその結果の発生が通常予見することのできないものであったときを除く。)
2010-05-22 10:08:34道垣内「不法行為地=加害行為地・結果発生地。最判H13.6.8参照。改正案では予見可能性要件を書き込んでいる。どういう場合に予見可能性がないとなるのかが問題となる。」
2010-05-22 10:11:32道垣内「インターネットだと、世界中からアクセス可能だということは予見可能とされるだろう。ただ、特段の事情論(改正法3条の9)で調整されうる。」
2010-05-22 10:13:57道垣内「想定のケースについて。A国には管轄あるだろう。B国にはサーバがあるが、サーバは通過地点に過ぎず、これだけをもって管轄を肯定することはできない。C国(公衆送信権がある地)は結果発生地管轄となりうる。」
2010-05-22 10:18:27道垣内「Xの著作物がほとんど知られていないD国については、損害額は少ないとしても、管轄はあるだろう。例外的に特段の事情ありとされるかもしれない。最も被害が大きいE国で他の外国の全損害も争えるという特別ルールには反対。」
2010-05-22 10:19:57道垣内「それぞれの国ごとで争うべきで、損害が大きいからといってそこに集中させるべきではない。なお、日本では、他の国の損害についての請求を客観的併合して事実上全損害について争いうる。」
2010-05-22 10:21:48道垣内「公衆送信権侵害訴訟について、不法行為地をどう考えるか。加害行為地とはアップロードした地、結果発生地とは損害発生地。公衆送信権についてどういう法制になっているかということは、国際民訴の段階では無関係だろう。」
2010-05-22 10:24:52道垣内「準拠法について。特許権の存否、有効性、効力については登録国法とするのが判例(カードリーダー事件)。ただ、私見は反対。保護国法でやるべき。」
2010-05-22 10:29:12道垣内「著作権について。ベルヌ条約に準拠法決定ルールがあるかどうかは議論があるが、枠組みとして、国際私法の方法論(連結点を介して決める)を採用することは議論が一致している。」
2010-05-22 10:30:34道垣内「ベルヌ条約5条2項をどう読むか(なお、英文のセミコロンを「。」にしてるので、日本語と英語では第二文、三文が違ってる)。その1。保護国法によるという準拠法を決めたという理解。国内法がバラバラなので、セカンドベストとして準拠法を定めたと考える。」
2010-05-22 10:33:22道垣内「その2。法廷地の法を適用するという理解。批判:フォーラムショッピングができてしまい、結論が不当。そんなことを条約で書いたと考えるのは不合理。」
2010-05-22 10:36:23道垣内「その4。外人法のルールだと理解。外人法とは、外国人の権利義務を内国でどう保護するかに関するルール。セミコロンがキーで、条文の「したがって」以下は同語反復で、方式を要求しないよと述べているに過ぎない。」 ※あまりよく理解できませんでした。
2010-05-22 10:39:36道垣内「第4の見解だと、準拠法は、条約とは無関係に各国の国際私法で決まることになる。私はそれよりも、第1の見解で、全世界で保護国法を採用するというほうがいいと考えている。」
2010-05-22 10:41:27道垣内「第1と第4との違い。第1だと、条約遵守義務があるから、条約が書いてる事項については保護国法によらなければならない。第4だと、全部、法の適用に関する通則法(+条理)で決まることになる。具体的には、不法行為に基づく損害賠償請求の場合に違ってくる。」
2010-05-22 10:43:14