ライスのアニメ感想.Ex #2:「忘却の旋律」雑感。

2004年製作のアニメ「忘却の旋律」(全24話)を見終わった際のTL。 「STARDRIVER 輝きのタクト」や「輪るピングドラム」と絡めて、 思ったことをつらつらと。
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テリー・ライス @terry_rice88

そういえば忘却の旋律全話見終わった。

2012-01-25 18:42:56
テリー・ライス @terry_rice88

忘却の旋律はJ.C.STAFFで監督はウテナの演出やってた錦織博、キャラデも同じくウテナをやっていた長谷川眞也、背景も小林七郎、そして脚本、榎戸洋司とウテナスタッフで塗りたくたれた作品ではあるんだけどウテナとは全く似て非なるもの、なんだよなあ・・・。

2012-01-25 18:52:25
テリー・ライス @terry_rice88

ちなみに製作協力にガイナックスが関わっていて、ガイナックス20周年作品の一つでもある。ちなみに榎戸さんは同じく20周年作品の本丸であろう「トップをねらえ2!」の脚本もやっておられた事にも注目、かな。

2012-01-25 18:53:58
テリー・ライス @terry_rice88

忘却の旋律は結論から言うと、榎戸さん版の「輪るピングドラム」であり、プロト版の「STARDRIVER-輝きのタクト-」でもあるというのが見方としては正しいような気がする。

2012-01-25 18:57:15
テリー・ライス @terry_rice88

そもそも舞台設定が20世紀戦争でモンスターに負けた人間社会であり、そのモンスターに支配された世界である。20世紀戦争もモンスターも作中での設定はかなり曖昧に仄めかされるだけだけど、過去の大きな傷跡を引き摺っているという世界観なんですよね。

2012-01-25 19:04:42
テリー・ライス @terry_rice88

忘却の旋律自体もかなり曖昧だ。この作品の重苦しさの起因するものって、過去の傷跡が清算されず、総括されないまま、ただモンスターに支配されるって言う呪縛の中でメロスの戦士がドン・キホーテのような戦いを続ける話で爽快感が全くもってないですよね。戦いは普通に辛いものでしかない。

2012-01-25 19:08:44
テリー・ライス @terry_rice88

そもそも「多少の犠牲があってもモンスターに支配される事で平穏な暮らしがあるから問題ないだろ、なんでモンスターに戦おうとする?」というのが物語の基本概念。だから何のために「戦う」のか。そこに理由を見出さないと、戦う意味などない。その堂々巡りをしている作品であると。

2012-01-25 19:12:50
テリー・ライス @terry_rice88

ここら辺はエヴァの碇シンジ個人の問題にも繋がるんだろうなあ。自己言及として「戦う意味とは何か?」というのをボッカに投げかけている。それは社会に対してなのか、自分に対してなのか、はたまた小夜子と共に寄り添うためなのか。

2012-01-25 19:16:53
テリー・ライス @terry_rice88

結果的にボッカは小夜子と「今」を戦う事を選んだ。遠音もココも実際問題、モンスターに抗った時点で戦う理由は完結してて、その戦いに殉じていってしまった。黒船やツナギ爺さんはずっと過去を負い続けて、「今」が息苦しくなってしまったんだろうかと。

2012-01-25 20:22:04
テリー・ライス @terry_rice88

ボッカも旅出したはいいけど、何のために戦うか、という事は全然考えてなかった。目的がないのに戦っている。いや、モンスターと戦わなければいけないがそこにボッカが見出す意義がない。じゃあ、それはなに?という感じだ。結論の出ない問いをずっと繰り返している。

2012-01-25 20:28:22
テリー・ライス @terry_rice88

そもそも世界観がモンスターに屈した平和な世界なのでその回答が見出しにくい状態になっているのが忘却の旋律の美点でもあり短所でもあるんだなあ。青春の裏返しを描いてるといっていいのかもしれないけど、やっぱりちょっと言葉足らずではある。

2012-01-25 20:31:16
テリー・ライス @terry_rice88

そのボッカがようやく答えを掴むのが迷宮島編(12~14話)、確信するのが幸運河編最終話(17話)、物語のクライマックスが東京編最終話(20話)で本編の最終24話に至ると言う流れかな。お話的には「純愛」と言うテーマに行きついたと思うんだけど、そこまでが苦行でもある。

2012-01-25 20:35:10
テリー・ライス @terry_rice88

小夜子からいるから戦う。物凄くシンプルな答えだとは思うんだけど、「守るべき存在のために戦う」と言うのはスタドラに置いても、ピンドラに置いても、同質の事を描いているんじゃないのかなあと言う機がするなあ。

2012-01-25 20:37:38
テリー・ライス @terry_rice88

スタドラは「忘却の旋律」発展型であり、終盤の圏外圏編を上手く学園ドラマに詰め込んだ印象だなあ。個人的にタクトはモノケロス4号が原型なんじゃないかなあと思ってます。イマイチ消化不足でしたし。

2012-01-25 20:41:52
テリー・ライス @terry_rice88

ココや遠音にもちゃんと役割を上げて、話に生かしたのが恐らくはミズノだったりミセス・ワタナベだったりしたんじゃなかろうかと。髪の色的に。キャラのバッググラウンドは先の二人と逆転してるようにも思うけど。

2012-01-25 20:44:03
テリー・ライス @terry_rice88

その分、小夜子的存在であるワコのキャラをもてあましちゃったのがスタドラの終盤の中だるみになってるんじゃないのかなあ。ソロや黒船的な存在もちゃんと消化してるんですけどねえ。

2012-01-25 20:49:36
テリー・ライス @terry_rice88

ピンドラとの比較から言えば、おそらく話の構造とテーマが似ているんだろうと思う。そもそも「負けた」地点からの出発で社会からすれば罪深き存在である者たちがどう社会と戦い、生きていくのかが焦点となっている感じかな。

2012-01-25 20:54:49
テリー・ライス @terry_rice88

忘却の旋律の惜しむらむ点といえば、その「戦う理由」を男性側のほうからしか描けなかったってことでしょうね。モンスター=理不尽を内包する社会だとすると女性にだって闘う理由があるはず。そこら辺はピンドラのほうが鋭かったと言わざるを得ないでしょう。

2012-01-25 20:57:47
テリー・ライス @terry_rice88

スタドラに関しても、最後の最後で女性キャラを持て余してしまった感じはあるかなと。その分、「青春」と言うテーマを押し出して、口当たり良くさせて、勝ち負け云々以上の価値観を提示させたり、過去から脱却を描いたのは良かったと思う。

2012-01-25 21:00:26
テリー・ライス @terry_rice88

ただピンドラの問題点は忘却の旋律の問題と符合していて、作品テーマを視聴者に気付かせるまでの時間を掛けすぎたっていう事かな。ピンドラはそれでも見返すと一話にテーマが全て集約されているからいいんだけども。忘却の旋律はコンパスすらない所からの船出だった感じ。

2012-01-25 21:04:38
テリー・ライス @terry_rice88

それと演出に関して言えば、テーマに即して抽象的なメタファーを連発してたピンドラに対して、抽象的なものを、そのまま抽象的モチーフとして描いていた忘却の旋律。ワケの分からなさで言えば、後者の方に軍配が上がる。そのおかげで話のテンポを殺いでいたようにも思うし。

2012-01-25 21:08:35
テリー・ライス @terry_rice88

正直、「忘却の旋律」は「名作」とは言いがたい作品であるけど、このように比較対象として語られるべき「種」のような要素は含んでいる気がするなあ。榎戸さん的には発展系としてスタドラが作られたけど、幾原監督がピンドラの後にどんな手を打つのかが、非常に楽しみな所。

2012-01-25 21:14:10
テリー・ライス @terry_rice88

と言った所で「忘却の旋律」を見て思ったことをつらつらと呟いてみました。お目汚し失礼を。

2012-01-25 21:16:45