仏教における「性」の問題とフェミニズム
- triona_klee
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知人に男性の法名が「釋」で、女性が「釋尼」というのは性差別ではないか、という方がおられるが、ちょっと異論がある。
2012-01-26 10:00:13サンスクリット語の名詞には男性名詞、中性名詞、女性名詞がある。もちろん、男性に関わる名詞は男性名詞、女性は女性名詞になる。当然、男性の出家者は「比丘」(ビク・男性名詞)、女性出家者は「比丘尼」(ビクニー・女性名詞)になるわけです。
2012-01-26 10:01:19もし、これに倣って「釋」や「釋尼」があるのなら、「尼」をとったら男女平等になるわけではなく、女性がすべて男性になるわけです。つまり、変成男子。それは汗臭い男しかいない浄土。7年前に往生した祖母がヒゲをはやして待っているという(笑)
2012-01-26 10:02:27まぁ、さっき冗談で「男だらけの安楽浄土は勘弁」などと言いましたが、実際には安楽浄土は苦悩や悪や障りのない世界ということなので、「男だらけだからムサくて嫌だー!?」とか、「つい女性に視線を……」とかいう悩みはないのでしょうが。うん。
2012-01-26 20:44:40「男は男として・女は女として浄土に行く」と「天の御国では男も女もない」、仏教とキリスト教の浄土・天国観もはっきり違ってるなあ。
2012-01-26 21:13:01仏教は経典の記述一字一句が真実だとは理解せず、方便は方便として行間を読む思考があるので、その来世観が絶対ではないかと QT @crape_myrtle_: 「男は男として・女は女として浄土に行く」と「天の御国では男も女もない」、仏教とキリスト教の浄土・天国観もはっきり違ってるなあ
2012-01-26 21:25:31ちなみに何かと取り沙汰される浄土教の変成男子(へんじょうなんし)の思想ですが、これは大無量寿経といいう経典が出典で、「安楽浄土に往生するもののうち、女性が女人の身を厭うならば男にして往生させてやる(大意)」という阿弥陀仏の本願が典拠となっています。
2012-01-26 21:15:24法華経なんかにも竜の童女に××××が生えて男になって仏となる、というようなシーンがあるそうですが、まぁ、「仏になるには男とならなければならない」というような思想が大乗仏教には見られます。どこからこの思想は生まれたのでしょうか。
2012-01-26 21:17:22@bun_history インドのバラモン教が男性優位だったので、そこで反発を最小限にして女性救済思想を広めるにはそのような方便を採らざるを得なかった…と理解してます。インドではなく西域で発達したとされている経典には男尊女卑的思考が希薄…という説もどこかで聞きました。
2012-01-26 21:21:19初期仏教における最終到達点は「阿羅漢(あらかん)」でして、これは男も女もともに到達できるものであるとされました。この時点では悟りに達するのに男女の別がある、という思想はありません。ここ、釈尊の革新的な部分とされます。(ただし教団運営上、男女の別はあり、少々問題のある戒律も幾つか)
2012-01-26 21:19:03で、そのうち徐々に「阿羅漢=仏の悟り」であったのが、「阿羅漢≠仏の悟り」となり、しまいに「阿羅漢<(越えられない壁)<仏の悟り」となっていきます。釈尊というものの神格化、仏の悟りというものの理想化が始まるわけですね。
2012-01-26 21:20:59で、今生の生を輪廻転生の中で六波羅密という修行しながら、仏の悟りを目指して生きていく生であると位置づける所が、大乗仏教運動の興起なんですが、ここで同時に一つ問いが生まれます。「女性は阿羅漢になれるとして、仏の悟りは得られるのか?」――さて、どうでしょう。
2012-01-26 21:24:00「できる」という人もいたことでしょうし、「できない」という人もいたことでしょう。ですが当時の時代的背景もありまして、どうも「できない」方向で経典に記されていく。それを更に後付で覆すために、「男に生まれ変わる!」というような記述が盛り込まれる。これが変成男子思想の始まり――
2012-01-26 21:25:42「という説があります」(強調) 佐々木閑氏の、『出家とは何か』だったかな? そこにそんな話が書いてありまして、私個人としては納得したのですが、学問的にどの程度信頼できるかはちょっと不明確です。佐々木閑氏は信頼できる学者さんですから、そう見当ハズレな話ではないかとは思いますが。
2012-01-26 21:27:24まぁ、こんな具合で「変成男子」というような思想が生まれたわけで、「義に依りて語に依らざれ」(←これも大乗仏教のことば。当流開祖の親鸞も教行信証で引用)という精神で見ていけば、あくまで志向した方向性は全体として「平等」であったということができるでしょう。
2012-01-26 21:30:47まぁ変にジェンダーだー、セックスだー、性差別だー、みたいな話をgdgdやっても得る所は無いわけで、「歴史的にそういう変遷があった。文章の目指すところを見るかぎりこの方向性なのだから、その方向性を敷衍して現在ではこう見ます」という対応が妥当であると思われますね。
2012-01-26 21:32:20まぁ、そのためにも最低限の知識は要るのですが……うん。きちんと日頃から、知識を身に備える努力というのは大切ですよね。宗門や、ひいては仏教そのものの信頼を、自分一人のうっかりで落とさないためにも。
2012-01-26 21:33:13@hibohiboo たまに恐ろしく未来に生きてる経文がありますねー。特に戒律関係の経典を見てると、「比丘が欲心にかられて迂遠な方法を使って戒律を破ろうとする→発覚→裁かれる」みたいな話が山盛りで、経典読んでるのに笑いが止まらなかったことが。
2012-01-26 21:37:54@hibohiboo 「性交を禁ずる」→「死体、動物、家族、男、全部ダメ!」→「骨を組み合わせてもダメだし、木像に擦りつけるのも前者ほどじゃないけどアウト!」→「まして自分の肛門に入れて楽しむとかなおさらダメじゃー!!」みたいな。(実際書いてある
2012-01-26 21:39:04@bun_history うおおおw その辺の裏話色々聞いてみたいですねw けっこう人気のある記事になるんじゃないかな。きっと私以外にも興味そそられるひとが
2012-01-26 21:42:20@hibohiboo あー、スレの方では時々やってるんですが、戒律絡みはおもしろ話が多いですね。「故出精戒(=マスターベーションの禁止)」とかの戒律は、普通にシモの話以外の何者でもないのに、経典だから格調高く訳してあって、パーリ大蔵経を読んでて笑いが止まらなかったとか……
2012-01-26 21:47:15ちょっと文章細かく覚えてないんですが、「汝、何ゆえ手にて不浄を泄せるや」とかそんな感じの格調高い文章で、延々とシモの話がどこまでアウトでどこまでセーフなんだみたいに続いておりまして……これがシリアスな笑いか!
2012-01-26 21:49:12