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リブート、レイヴン #1

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 22:02:52
第2部「キョート殺伐都市」より 「リブート、レイヴン」#1
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 22:11:46
私立探偵タカギ・ガンドーは、悪夢を見ていた。冷たい水のフートンにかき抱かれ、静かに沈降しながら、リプル模様に歪むガイオンの月を見上げていた。冗談を飛ばす気にもならなかった。……オイオイ、ブッダ、こいつは笑えねえジョークだぜ。サムライ探偵サイゴなら、こんな時、なんて言うだろな? 1
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 22:31:58
海馬が痒い。闇と月光だけのモノクローム的世界。いけすかん場所だ、と彼は思った。色彩も、音楽も、暖かな灯もない。落ち着かぬ鴉のように、左右を見る。右上にスマキの人影。……思い出した。女を助けないと。だが横殴りのガウス的ノイズが視界に混じる。奥歯で白砂を噛んだような感触が襲った。 2
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 22:41:22
俺は歓迎されているのか、その逆か?なあ、帰っていいか。今日はリキシ・リーグの中継日なんだぜ。……彼の体は沈降を続ける。冷たい水の底に向かって、ゆっくりと。ガンドーの網膜ディスプレイ内で、LEDミンチョ体の「REBOOT」がめいっぱいに映し出され、左右に揺れながら赤く明滅した。 3
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 23:07:06
「……!ハァーッ!ハァーッ……」彼は使い古した医療用ベッドの上で悪夢から覚め、上半身を起こす。数年前に拾ってきたその武骨なパイプベッドは、クリーム色の塗装が所々剥がれ、錆びた鉄を晒している。微かな軋み。拍子抜けするほど穏やかなレトロテクノのレコード音が、事務所内に流れていた。 5
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 23:19:45
ガンドー探偵事務所には、まるでカラスの巣のように、ガラクタ同然のジャンク品が並んでいる。リキシの手形色紙。書類の上に乗ったワータヌキの置物。色褪せたカトゥーンのリーフ。古いUNIX基盤や筐体の山。2ヶ月前までは、事務所全体がそんな有様だった。今はエントロピーが減少している。 6 
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 23:27:37
本棚の向こうに女の気配がする。オスモウTVの音も。助手のシキベ・タカコがいるのだろう。コーヒーを淹れる音と、アンコトーストを焼く香ばしい臭い。ガンドーはズバリ切れの頭痛と格闘しながらベッドを下り、ワイシャツの一枚に袖を通すと、くたびれた濃紺スラックスをサスペンダーで吊った。 7
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 23:42:47
クルゼ・ケン所長から引き継いだその事務所は、壁の無いだだっ広い灰色の空間だったため、本棚やUNIXの山を仕切りに使っている。ゆえに防音効果は乏しい。低俗なオスモウTVの音が洩れ聞こえる「……スゴイ!ここでオオキイウミがハシゴに登ってしまう!……揺らせるか!揺らせるのか!……」 8
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-25 23:57:08
悪貨が良貨を駆逐する、だ。ガンドーは偽物のオスモウ中継を聞き、溜息をつく。「……ヤッタ!掴んだ!掴みました!……オオキイウミの右手に万札束!左手にはバット!……反撃の狼煙だ!さあどうだ!……」しかしガンドーの関心はもう、シキベが推理机の上に置いておいた最新の新聞に移っていた。 9
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-26 00:09:58
「ハローハロー、俺のズバリはどこだ?」新聞を開いた彼は、視神経のストを感じながら、応接室側へ歩く。傾いた黒いセル眼鏡のシキベは、露悪的に眉根を寄せ、呆れた様子で言った「所長、折角私がコーヒー淹れて、トースト焼いてンのに、また先にズバリなんスか?私の作ったメシ、嫌いデスか?」 10
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-26 21:29:07
■鮭■アイキャッチ的な終了でしたが本日の更新はお休みです■鮭■
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 20:56:17
「ハローハロー、俺のズバリはどこだ?」新聞を開いた彼は、視神経のストを感じながら、応接室側へ歩く。傾いた黒いセル眼鏡のシキベは、露悪的に眉根を寄せ、呆れた様子で言った「所長、折角私がコーヒー淹れて、トースト焼いてンのに、また先にズバリなんスか?私の作ったメシ、嫌いデスか?」 10
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 21:03:19
「ブッダ!待てよ!ほら、見てろよ、喰うぜ!」ガンドーは一口でトーストを頬張る。「つまり、味わう気がゼロなんスよね」シキベはティーンネイジャー男子めいた日本語で言った。外見だけでなく、その発音や奥ゆかしさの欠如した言い回しからも、彼女がアッパーの育ちでないことは実際明らかだ。 11
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 21:10:24
「オイオイ、禅問答か?俺のズバリはどこだ?」ガンドーはヤスイ社のコーヒーでトーストを押し流す「あれがなきゃ今日は閉店だ。つまり、助手の給料も払えねえ」「アー…」シキベは愚鈍そうに口を開き、何か異星人に通じる言葉を探すようにUNIXキーを叩いた「既に2ヶ月、滞ってるんスけど」 12
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 21:19:56
(((そうだ、俺は満足に払っていない。クソッタレめ、2ヶ月分の給料をだ。3ヶ月雇う約束で、1ヶ月目から失敗だ。よし、思い出してきた、少し頭が回り出してきたぜ……あとはズバリだ、ズバリさえあれば)))ガンドーの錆付いた重量級ニューロンが助走を開始し、現在の状況を把握し始めた。 13
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 21:29:02
目の前にいるのはシキベ・タカコ。彼女の外見は、キョート的奥ゆかしさも、探偵助手的な美学も備えていない。体のラインが全く見えないボーダーニットに、薄汚いジーンズ、青色のワークブーツ。黒い髪の毛は何の面白みもなく真中で分けられ、下膨れ気味の頬にはそばかす。育ちが悪く歯列も汚い。 14
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 21:36:13
ちぐはぐな外見に幾ばくかの知性と秩序をもたらすように、シキベは黒いセルフレームのレトロ調眼鏡を掛けている。少なくとも一般的な美人ではないし、物心ついた頃からカワイイだと言われたこともない。何よりも彼女自身がそれを一番よく知っており、一般的な何かといったものを敵対視していた。 15
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 21:45:49
職業柄、ガンドーは外見や仕草から様々な情報を読み取れる。もっとも、彼はクルゼほどのタツジンの域には至っていないし、女性の心理を読むのは未だ苦手だ。特に、このシキベという風変わりな助手の心を読むのは難易度が高い。「……さあ、教えてくれよ!俺は昨日、どこにズバリを置いたんだ?」 16
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 21:59:43
「昨日っていうか、一昨日なんスけどね」シキベは欠伸をしながら、引き出しに締まっておいたズバリアンプルと使い棄て注射器を取り出した。「一昨日?」ガンドーは泥酔し痣だらけで帰ってきた夜の不確かなメモリーを掘り出す「それでこの体たらくか。もう少しでニューロンがブッダ並に永眠だぜ」 17
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 22:12:25
「給料払ってからにして欲しいスね」シキベは食卓のショーユか何かを扱うように、ズバリを寄越した。ガンドーは手早く注射し、ニューロンの加速を感じる。遥かに良い。TV音がよりクリアに聞こえる「……これは大変だ!……オオキイウミから万札束を受け取りました!……軍団を裏切るのか!?」 18
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 22:28:25
ガンドーは体を推理椅子に預け、ズバリが回り切るのを待ちながら、輝かしい栄光の時代を回想する。10年近く前……クルゼとガンドーは、少女シキベをカラテ殺人鬼の手から救い出した。その後シキベは成人し、そこそこの就職先を見つけたが、2年ほどで解雇されて、この階層に戻ってきたのだ。 19
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2012-01-28 22:46:44
「アー、ところで所長、私も1個開けようかなと思って、金貯めてるんスけどね、ドンブリ屋でバイトとかして」シキベはUNIXキーを叩き、探偵事務所の事務仕事を再開する。「何社のだ?」ガンドーは立ち上がり、壁の木人と向かい合う。「あー、何でもイイっスよ、別に。こだわり無いデスし」 20
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