茂木健一郎チャス( 。>o<。) @kenichiromogi 「電柱のかげから紙芝居を見る子どもがいるような、そんな社会が住みやすい」の連続ツイート

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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-01-31 05:45:53

*茂木さんの朝の連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、昔なつかしい教訓!

2012-01-31 07:11:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(1)うちの母親は唐津生まれの小倉育ち。よく、九州の話をしてくれた。その中に、「水飴やさん」の話がある。おじさんが自転車に乗って、水飴を売りにくる。当時は甘味など珍しいし貴重だから、子どもたちがわーっと集まってくる。

2012-01-31 07:12:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(2)それで、おじさんから、割り箸の先につけた水飴を売ってもらう。それで、よーいドンで、割り箸を両手でぐるぐる回して、水飴をこねる競争をするのだという。最初は透明だった水飴が、気泡が入って次第に白濁してくる。やがて、水飴は真っ白になる。

2012-01-31 07:13:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(3)水飴がいちばん最初に白くなった子どもは、おまけでもう一個もらえたのだという。それで、子どもたちは必死だから、一生懸命ぐるぐる回して、「おじさん、見て! 見て!」とアピールしたのだという。そんな風に水飴を回している母の様子を想像すると、なんだかおかしい。

2012-01-31 07:14:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(4)実際、母親は水飴を回すのがとてもうまくて、子どもの頃、自分のなつかしさもあったのか、よく大きな瓶に入った水飴を買ってくれた。そして、家の居間で、ほら、こうやってやるんだよとぐるぐる回してくれた。その手の回転の速いこと! 間違いなく、母は免許皆伝だった。

2012-01-31 07:16:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(5)水飴やさんは、実は一つのメディアだった。子どもたちが水飴をぐるぐる回す騒ぎが一段落すると、おじさんは紙芝居を始めてくれる。なんでも、黄金バットだったか、他の話だったか、何しろテレビがない時代。子どもたちにとって、紙芝居は貴重な、興奮すべき娯楽だった。

2012-01-31 07:17:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(6)おじさんとしても商売だから、水飴を買った子どもしか紙芝居を見てはいけない。それでも、おじさんが紙芝居を始めようとすると、お金がなくって水飴を買えなかった子どもも、何しろ見たいから、わらわらと自転車の回りに集まってくる。おじさんは、「水飴を買ってない子はダメだよ」と言う。

2012-01-31 07:18:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(7)仕方がないから自転車から離れて、近くの電信柱のうしろか何かに隠れている。そこからでも、遠いけど、紙芝居を見ることができる。おじさんは、そんな子どもを見て見ないふりをして、紙芝居を始める。水飴を買った子どもたちは、堂々と近くでかぶりつくように見学している。

2012-01-31 07:19:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(8)そんな話を子どもの頃から母親に聞かされて、この頃思い出すのは、現代のさまざまな問題に関係すると感じるからだろう。おじさんが、「水飴を買わないと見ちゃいけないよ」というのもわかる。一方で、電柱の後ろから、ひっそりと紙芝居を見る子どもだって、大切にしたい。

2012-01-31 07:21:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

でか(9)ネットの上の著作権の問題とか、引用とか、あるいは大学の授業の「もぐり」のこととか、杓子定規にとらえると発展がとまるし、人間の活き活きとした精神が阻害される。一切ダメ、という無菌状態は恐ろしい。電柱のかげから紙芝居を見る子どもがいるような、そんな社会が住みやすい。

2012-01-31 07:26:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「電柱のかげから紙芝居を見る子どもがいるような、そんな社会が住みやすい」の連続ツイートでした。

2012-01-31 07:22:53

*クオリア・ケン(心脳問題アカウントでの投稿)
https://twitter.com/#!/qualiaken