アウェイクニング・イン・ジ・アビス #5

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第二部「キョート殺伐都市」より:「アウェイクニング・イン・ジ・アビス」 #5

2012-02-03 13:08:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヘヘヘヘハハハッハハハハァー!」デスドレインが哄笑して仰け反ると、その足元から3メートルの高さまで、粘つく暗黒物質が噴き上がった。ジルコニアを呑み込まんとする!「イヤーッ!」ジルコニアは素早く側転!彼がいた場所にヘドロのスライムがのしかかり、うねる。アブナイ! 1

2012-02-03 13:11:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そっちにもあるッてンだよ!」デスドレインが叫ぶ。然り、彼の後ろから大蛇めいて滑るように這い出してきた別の暗黒物質塊がジルコニアの側転先に回り込み、絡め取ろうとする!「イヤーッ!」だがジルコニアは側転から高く回転ジャンプしてこれをも回避!そして壁を蹴った!「イヤーッ!」 2

2012-02-03 13:14:57
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三角飛びを行ったジルコニアは斜めに滑空、デスドレインの横面を殴りつける!「イヤーッ!」「グワーッ!?」ハヤイ!デスドレインは防御をしくじり、たたらを踏んだ。「……あン?」彼は己の頬を撫でた。油じみて虹色にきらめく細かい結晶が、殴られた場所に寄生している。3

2012-02-03 13:18:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「てめェ何だこれ……汚ねェ物くっつけやがッ」「イヤーッ!」「グワーッ!?」ジルコニアがさらに踏み込み、左脇腹にショートフックを叩き込む!すかさず暗黒物質がジルコニアを後ろから呑み込みにかかるが、すでにそこに彼の姿は無し!横へ転がって回避!タツジン的ヒット・アンド・アウェイだ! 4

2012-02-03 13:24:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤァァーッ!」そこへ殴りかかるのはランペイジ!ジルコニアは身体を捻って致命パンチをくぐると、横からその鉄塊を抱え、投げつけた!「イヤーッ!」イポン背負い!「グワーッ!?」 5

2012-02-03 13:26:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ランペイジが床に叩きつけられると蜘蛛の巣状のヒビが床に広がった。すでにジルコニアはランペイジのマウントを取っている。「ランペイジ!……グワーッ!」デスドレインが苦悶する。顔の右半分と左脇腹に無数の結晶が育っている。コワイ!「痛てェ畜生ッ!」 6

2012-02-03 13:32:36
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一体これはいかなるジツか?デスドレインの動きはぎこちなかった。身体の表面に育った結晶は、装束を破って体内に根を張りつつあるのだ。これぞジルコニアの恐るべきジツ、ヒカリ・ジツ!ジルコニアはランペイジを馬乗りでパウンド!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」 7

2012-02-03 13:36:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ランペイジのフルメンポに、細かい結晶が生え始める!ジルコニアは殴り続ける!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」さらに!空気中に拡散していた白い輝きの粒が、今、デスドレインの周囲に急速に収束しつつあった。コロナの火球が具現化しつつある!メイガス! 8

2012-02-03 13:39:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオオオーッ!戻れ!戻れテメェら!」デスドレインは錯乱めいて叫んだ。周囲の暗黒物質が螺旋状に渦巻きながら、デスドレインを包み込む。それらはデスドレインの目、鼻、耳、口へズルズルと滑り込んでゆく。恐るべき速度だ!1秒後、デスドレインの身体を中心にコロナが爆発!カブーン! 9

2012-02-03 13:44:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

閃光が去ると、そこには仁王立ちする真っ黒の人影が残された。そのすぐそばにメイガスが膝まづき、再実体化した。ドォン!割れ鐘のような音と激しい地響き。組み伏せられたランペイジだ。しゃにむに、床に腕を叩きつけたのだ。ドォン!……ドォン! 10

2012-02-03 14:04:37
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デスドレインであった黒い人体に、ゆらめく炎が灯る。メイガスは万が一の警戒のためバック転で間合いを取った。身体を光と熱に還元する脅威のコロナ・ジツであるが、使用の度に大量消費される己の血中カラテを再充填する必要があり、決して万能無敵のジツでは無い。 11

2012-02-03 14:12:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドォン!ランペイジが再度、鉄塊めいた腕で床を打った。深く穿たれた床の裂け目から黒いタール噴水が噴き出す!「何!?」ジルコニアは咄嗟にマウントを解き、飛び下がった。その足に暗黒物質が絡みつく!彼のバランスが崩されたのは恐らくほんの1秒足らず。だがランペイジは身を起こしていた。 12

2012-02-03 14:20:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドウ!ランペイジの肘が蒸気を噴いた。信じられぬ速度のフックだった。ジルコニアは咄嗟にそれをガードしようとした。その両腕がひしゃげた。身体がひしゃげた。次の瞬間、ジルコニアは壁になかば埋め込まれるように叩きつけられていた。 13

2012-02-03 14:24:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ジルコニア=サン」メイガスは驚愕した。だがそれだけではない。黒い人体の頭部が剥がれ、中のデスドレインの顔が露わになる。白目が無い。よくよくみればそれは黒目でもない。眼球のあるべき場所はタール物質で覆われている。「アー……」呻き声。開いた口からドボドボと暗黒物質が流れ出る。 14

2012-02-03 14:30:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼の身体の暗黒物質は急速に流れ落ち、足元の小さな穴に吸い込まれてゆく。彼がその物質で掘った穴であろうか。「アー……だりィ」デスドレインは膝から崩れ落ち、両手をついた。「だりィよ」今度はランペイジの亀裂から、さらなる暗黒物質が噴き出す。下でつながっているのだ! 15

2012-02-03 14:37:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

噴き出した暗黒物質は鎌首をもたげ、壁から這い出そうともがくジルコニアに襲いかかった。「グワーッ!」ジルコニアは完全に黒い粘液体に飲み込まれた。助かるまい。ランペイジはメイガスに向かってゆく。その頭部はグロテスクな結晶の塊だ。彼は難儀しながら己のフルメンポを掴み、剥がし取った。16

2012-02-03 14:40:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あーあ……オボッ……オボッ」デスドレインは四つん這いのまま、口から暗黒物質を吐き出し続ける。黒い粘体に覆われたジルコニアのいる地点から、ミシミシと嫌な音が聴こえる。メイガスが後ずさる。ランペイジは無表情だ。ツカツカと近づく。サイバネアームがシュウシュウと蒸気を噴く。17

2012-02-03 14:46:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メイガスの後ろから、もう一人のニンジャが進み出る。オジギし、ランペイジを睨んだ。「ドーモ。シャドウウィーヴです」「ランペイジ」歩きながらランペイジは応じた。「俺はもう少しかかる」メイガスは低く言った。シャドウウィーヴは頷いた。そしてカラテを構えた。 18

2012-02-03 14:50:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メイガスは片膝をつき、カラテを充填しながら、デスドレインとシャドウウィーヴを交互に見やる。この広間の灯りは探索用の浮動ボンボリと、各自のマグライトだけだ。シャドウウィーヴの影は他者のそれより色濃い。彼の何らかのジツに由来するのは間違いない。……と、その影がランペイジへ伸びた。19

2012-02-03 15:02:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ランペイジは立ち止まった。彼とシャドウウィーヴの間に、遮るように、その影が立ち上がった。立体化したのだ。メイガスは目を見開いた。「……バカな?あれは……」影はシャドウウィーヴとは違う姿形を取った。影はランペイジにオジギした。そして言った!『ドーモ。ブラックドラゴンです』 20

2012-02-03 15:05:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブラックドラゴン=サンだと?」メイガスは凍りついた。確かにその立ち姿……彼もよく知る、あの死んだシテンノ、ブラックドラゴンそのものだ。生き返った?バカな。そんな事はあり得ぬ。(つまりあれは……)メイガスはカラテを構えるアプレンティスを見やる……(シャドウウィーヴの……!) 21

2012-02-03 15:10:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

実際、ブラックドラゴンはその装束、身体、何もかも墨で塗りつぶしたように黒く、真っ当な存在では無い事が伺える。だがそれは確かに質量を備え、呼吸し、紫に光る目は敵対者ランペイジを見据えていた。そう、漆黒の全身の中で瞳だけは紫に光っているのだ! 22

2012-02-03 15:18:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ランペイジがブラックドラゴンに殴りかかる!『イヤーッ!』ブラックドラゴンは超自然的なスライド動作でパンチを回避!「イヤーッ!」シャドウウィーヴはベルトからクナイ・ダートを引き抜き、ランペイジの足元へ投擲!「グワーッ!」ランペイジは呻いた。足が床から離れぬのだ! 23

2012-02-03 15:23:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウウーッ!」極度の集中状態にあるシャドウウィーヴの眉間に血管が浮き上がった。ブラックドラゴンがランペイジの背後へ回り込み、チョップで首を折りにいく!『イヤーッ!』「!」止まった!止めたのは、ランペイジの足元から跳ね上がった暗黒物質だ!デスドレイン! 24

2012-02-03 15:34:45