リブート、レイヴン #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
書籍 文学 ニンジャスレイヤー
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(第2部「キョート殺伐都市」より 「リブート、レイヴン」#2)
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「はいこちら、ガンドー探偵事務所」ガンドーが受話器を取る。シキベがいつものようにUNIXヘッドホンをかけ、IPの逆探知プログラムを走らせた。「……ガンドー=サンだね?伝説の探偵、クルゼ・ケン=サンの跡を継いだ……」フランジャーめいた電子音声が、受話器の向こうから聞こえてくる。 1
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合成音声か?いや違う。依頼人が単に、正体を明かしたくないのだろう。ヤバイ香りがする。それと同時に、大金の匂いも……「ああ、そうだ」ガンドーはオスモウ中継を切るようシキベにサインを送りながら、落ち着き払った笑い声で対応した「俺は紹介者無しの依頼は受けない主義だ。だが……」 2
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「クルゼ所長の事を知ってるってんなら、その辺の事情を考慮しなくも」KRASH!オスモウ中継を消そうと焦ったシキベが、枯れたサボテンの花瓶を倒したのだ。ガンドーは額に手を当て、言葉を繋ぐ「……考慮しなくもない」しばしの沈黙。「では率直に言おう。ある男を捕まえてほしい」と依頼人。 3
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「人探しかい?」とガンドー。彼が受ける依頼の9割は人探しだ。アンダーに逃げ込んだ裏切ヤクザや、女や、スモトリや、愛玩ミニバイオ動物などを見つけ出す。ガイオン・シティでは階層を下るほどマッポの影響力と市民の善意が衰えるため、アッパーの依頼者は私立探偵や殺し屋を雇わざるを得ない。 4
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「そうだ。だが、君が普段受ける依頼とは、少し性質が異なるだろう」と謎の依頼人「怪盗スズキ・キヨシを捕まえてほしいのだ」「ナムアミダブツ!スズキ・キヨシだと?」ガンドーは、推理机に置かれた今日の新聞に目をやる。『またしてもスズキ・キヨシだ』の力強いミンチョ体見出しが躍っていた。 5
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スズキ・キヨシは、キョートを騒がせる神出鬼没の犯罪者である。アッパーガイオンで主に活動し、数週間に一度、こうして紙面を賑わすのだ。「成功報酬は?」「一億円払おう」破格の報酬額を告げられたガンドーは、思わず受話器の口を抑えて息を呑む。UNIXヘッドホンで通話を聞くシキベも同様。 6
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「興味深いな。だが、紹介者も介さず、こんな荒唐無稽な依頼は受けにくい。わかるよな?」ガンドーは通話を続けたまま、LAN直結したUNIXでシキベにIRCを送る『逆探知はどうだ?』『固すぎデスよ。全然無理っス』シキベはUNIX画面に明滅する【無理な】の電子文字を見て肩をすくめた。 7
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「依頼を断るという意味で捉えて……いいのかね?」銀河の彼方から聞こえてくるようなスペイシー音声が、再び受話器の向こうから聞こえた。「オイオイオイ、早合点しないでくれよ。つまりはこういうことさ……あんたは、何者なんだい?顔の見えない奴のために働くのは、あまり気が進まないからな」 8
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ガンドーは首を傾けて受話器を固定したまま、ズバリをもう一発注射する。化学反応。ニューロンのスパーク。遥かに良い。「……その言い分はもっともだ。シツレイした。では、ガンドー=サン、そちらの納得できそうな理由を話そう。まず、私の正体は明かせない。非常に高い立場にいる人間だからだ」 9
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「私はスズキ・キヨシの怪盗行為によって名誉を傷つけられた。具体的に何を盗まれたかは言えない。私の正体に繋がる。私は何としてもスズキ・キヨシを捕まえ、法の裁きの下に引きずり出したい。要するに、これは私の個人的な……」「復讐か」「察しが良い。その通りだ。理由はこれで十分かね?」 10
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「もう少し頼むぜ」ガンドーは推理椅子に深く腰掛け、目を閉じる「何故俺を使う?確かにアッパーでの仕事もこなすが、俺の専門はアンダーだ」「……知っての通り、ガイオン市警は無能だ。加えて、アッパーの探偵会社は信用が置けない。ガンドー=サンのような、ノーマークの人間が必要なのだ」 11
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「大体解った」ガンドーはズバリ煙草を咥えて目を開き、ライターを鳴らす「依頼人=サン、つまりこうか?あんたはスズキ・キヨシの正体か、少なくとも人物像をおおよそ掴んでる。だが手が出せねえ。多分それは……スズキ・キヨシがあんたと同じくアッパーの人間で、地位かカネに守られてる……」 12
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「ご明察」と依頼人。その合成音から表情を読み取ることはできない「……そして君が、あのクルゼ・ケン所長の直弟子であるという事も理由の一つに加えたい」一連のやり取りからガンドーが知り得たのは、相手が実際大物であり、交渉慣れしていて、知能も高い……その程度の漠然とした情報だけだ。 13
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「依頼を受けてくれるだろうか?」「30秒待ってくれ」ガンドーは煙草を吹かしながら、シキベのほうを振り返る。シキベはかぶりを振って、逆探知不能を告げた。「…この依頼を受けるならば、スズキ・キヨシの人物像についての情報提供と、必要経費の前払いを行う。むろん、成功報酬とは別だ」 14
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「金額は幾らだ?」「幾ら必要だ?」「アッパーで立ち回る必要があるなら、最低でも百万は欲しいところだぜ」「5百万振り込もう」ナムアミダブツ!その金額に、再びガンドーは絶句した。5百万あれば、溜まりに溜まった借金をほぼ返済し、シキベの滞納給料も支払える。「……よし、受けよう」 15
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キャバァーン!キャバァーン!キャバァーン!突如、探偵事務所内の口座管理UNIXが鳴った。つい先程まで大型赤色LEDの表示は3千円だったが、一瞬で数字がロールし、5百万3千円に。スゴイ!「……オイオイオイオイ、もう振り込んだってのか?」「私が本気であることを示すためだ」 16
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ガンドーは、謎の依頼人と二言三言言葉を交わしてから、受話器をワータヌキの頭の上に戻した。しばしの静寂。そして手を叩き、ガッツポーズを作る。「ハッハー!いいぞ、遥かに良い!やっと俺にもツキが回ってきたな!よし、服を買いに行くか!」「エ?服デスか?」「助手らしい服が必要だろ?」 17
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ガンドーは、謎の依頼人と二言三言言葉を交わしてから、受話器をワータヌキの頭の上に戻した。しばしの静寂。そして手を叩き、ガッツポーズを作る。「ハッハー!いいぞ、遥かに良い!やっと俺にもツキが回ってきたな!よし、服を買いに行くか!」「エ?服デスか?」「助手らしい服が必要だろ?」 17
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シキベは急いでUNIXのデータを保存し身支度を整える。「アー……所長」「何だ?」白髪の偉丈夫ガンドーも、両胸のホルスターに49マグナムを収めると、茶色いダスターコートを引っ手繰り、冷たい殺人凶器と逞しい肉体を手早く覆い隠す。「サボテン、これ、割れちゃったけど、いいんスか?」 18
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「枯れてたしな、仕方ない。シキベ=サンは悪くないぜ」ガンドーは受信した依頼人からのデータを素子に移し、それを首後ろのLAN端子に差し込む。シキベはまだ眼鏡の角度を確かめている。「当たり前ッスよ、所長。だから2ヶ月前に、捨てますかって、聞いたじゃないデスか」「そうだったか?」 19
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ガンドーに続き、防塵ブルゾンを羽織ったシキベが事務所を出る。「私が掃除しても掃除しても、ガラクタ拾って来まスよね?なんでなんスか?」「いつか何かの役に立つかも知れんだろ?」とズバリガムを口に運びながらガンドー。ニューロンの回転に身体が取り残され、もどかしそうに足が速くなる。 20
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『天然に似た』『飛び回る』の薄汚れたノボリが立つ蜻蛉屋の横を、探偵と助手はリフトに向かって早足で歩く。「鴉みたいデスよね」「俺のラッキートーテムだ」「忘れっぽいところも」「タフな仕事だからな、忘れて次へ次へ行くのさ」「給料、忘れてないっスよね?」「ああ、だがその前に服だぜ」 21
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2012年2月9日
リブート、レイヴン #1 http://togetter.com/li/249170 リブート、レイヴン #3 http://togetter.com/li/254695
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