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@dojin_twさんによるエスピン・アンデルセン『平等と効率の福祉革命』コメント

※山形浩生さんの書評:   エスピン=アンデルセン『平等と効率の福祉革命』:   新しい福祉社会の見取り図を提案する希有な本。   ただ監訳者の我田引水解題はないほうがまし。   http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20120202/1328144396 続きを読む
経済 エスピン 社会学 アンデルセン 経済学
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安藤道人 @dojin_tw
すでに何回か取り上げた本だけど、山形浩生氏の書評がウェブでも公開>山形浩生書評:エスピン=アンデルセン『平等と効率の福祉革命』:新しい福祉社会の見取り図を提案する希有な本。ただ監訳者の我田引水解題はないほうがまし。http://t.co/VvMzo13H
安藤道人 @dojin_tw
承前:罵倒する必要があるかはともかく、大沢真理氏とそのお弟子さんの後書き解説が、「解説」ではなくて彼女たちの研究開陳であるというのはその通りだと思う。個人的には、日本の福祉国家論者がエスピンの福祉国家類型論に固執してグダグダしてる間にエスピンはさっさと次のステージに行ってること、
安藤道人 @dojin_tw
承前:および福祉国家類型論でも今回の訳書でもいいけど、訳したり紹介したりすることはできても、なぜ日本のアカデミズムからエスピン・アンデルセンと同じレベル及びそれに類する研究があまり(というかほとんど)でてこないのかを考えたいところ。これは他人事ではないし難しいのは分かってるけど。
安藤道人 @dojin_tw
(ちなみにこの本の巻末の訳者による用語解説の付け焼刃感は、「逆選択」の記述の微妙さにも感じられる。でも、訳者解説は、ないよりあったほうがいい、とは思う。確かに大沢氏らの研究紹介的な要素が強いけど、訳してくれたのでそのくらいはいいと思うが、プロ翻訳家の山形氏は看過できないのだろう)
安藤道人 @dojin_tw
あと褒めてばかりもなんなのでエスピン新訳本の弱点を挙げるとすれば、この本のストーリーは、(彼自身のものも含めて)多くの経済学・社会学・人口学の実証研究に基づいているが、その参照文献の質やレビュー具合にムラがあること。続
安藤道人 @dojin_tw
つまり、権威あるジャーナルの有名な論文とどこの馬の骨が書いたのかわからないワーキング・ペーパーが、彼の論の根拠付けの材料として平然と並んでいる。また、これは自分がやや詳しい分野しか分からないが、膨大な先行研究と論争がある仮説検証について、一部しか参照してないと思われる部分もある。
安藤道人 @dojin_tw
すなわち、彼が立論のために参照した膨大な研究群は、彼のストーリーに沿う実証研究結果を出したペーパーに偏っている可能性がある。ただ、彼の比較福祉レジーム論が、彼の実証分析の未熟さ・単純さを補って余りある見通しの良さを持つのと同様、それを補うストーリーの説得性と見通しのよさがある。
安藤道人 @dojin_tw
あと山形書評の「評者のような素人の驚く指摘も多い。高福祉とされる北欧諸国は、その分だけ税金で取られるので実は見た目ほど高福祉でないなど」は、マクロで私費公費合わせれば、どの国も福祉に使う金の総量は大して違わないが、北欧は公が大きい故に階層間福祉格差がないという当りか(うろ覚え)
安藤道人 @dojin_tw
経済学徒なのに社会学者の本を褒めてばかりいるとサボってると思われるので書くと、最近1990代のHeckman, Ichimura, Smith, Toddあたりの文献を貪るように読んでいる(誇張ありw)。これはこれで別世界。Ashenfelter1978にも遡る。
べーす @snake_base
Heckmanの邦訳サマリーがあったらなー。 RT @dojin_tw: 経済学徒なのに社会学者の本を褒めてばかりいるとサボってると思われるので書くと、最近1990代のHeckman, Ichimura, Smith, Toddあたりの文献を貪るように読んでいる(誇張ありw)。
安藤道人 @dojin_tw
@snake_base ヘックマンは一般的には労働経済系のバリバリの理論計量経済学者として知られています。二段階推定が有名ですが、その後もいろんな論文を書いており、私には高度過ぎて読めないものも多いです。一応、日本語wikiもありますw http://t.co/zsq1oWH0 
べーす @snake_base
@dojin_tw アンデルセンの訳本は(その業界で)人気なのに何故ヘックマンの近年の論文邦訳は見当たらないんだろうと思ってたんですが、やはり技術的な問題が大きいんですかね。
安藤道人 @dojin_tw
@snake_base ヘックマンは早期教育効果の研究でも有名ですが、ノーベル章の受賞理由や経済学内で有名なのは、(主に米の労働政策をネタにした)計量経済学での圧倒的な業績です。実は私も早期教育効果のほうはあまり知らないので、日本語で紹介してくれる文章があると助かりますよね。
安藤道人 @dojin_tw
@snake_base こんなのはありました。就学前教育の投資効果から見た幼児教育の意義http://t.co/YXHkgL4m
shikatamasato @shikatamasato
@dojin_tw @snake_base ヘックマンとクルーガーのその本については、書評がある。 http://t.co/PpdBTSSH
安藤道人 @dojin_tw
@shikatamasato しらなかったです。ありがとうございます!@snake_base
安藤道人 @dojin_tw
メモ:川口大司(2006)書評:ヘックマン&クルーガー「アメリカの不平等: 人的資本政策の役割は何か?」http://t.co/1N8fglfH 「私は、流動性制約の論点に関してはヘックマンらに、学校の質や訓練プログラムに関する論点に関してはクルーガーに軍配が上がると思う。」
松浦広明(MUPPY) @MuppyxMuppy
@dojin_tw この時点ではまだ早期教育の実証を彼がそこまでしてなかった事もあり、エビデンスが一般化ロイ・モデルに偏っていたので、ヘックマンはそう主張したけれど、コメンテーターからは両者大して変わらないと言われ、彼のフラストレーションが溜まってった本と言うのが僕の感想ですw
安藤道人 @dojin_tw
@MuppyxMuppy なるほどー。そこらへんも頭において、そのうちきちんと読んでみたいと思います。ありがとうございます!
安藤道人 @dojin_tw
Heckmanの早期教育の話が出たついでに→Heckman (2006)Skill Formation and the Economics of Investing in Disadvantaged Children, SCIENCE http://t.co/lA5rVt5u
Hiroo Yamagata @hiyori13
@dojin_tw E=Aの主張はこう、が、日本の現状はその水準にすら到達していない、それはE=Aの分析では捕らえきれない部分があるから, あるいはこの要因が特に大きいから、というような形で、E=Aの主な主張と関連づけた「解題」ならよかったんですが。ご説明、勉強になります。
安藤道人 @dojin_tw
@hiyori13 ご指摘おっしゃる通りと思います。エスピンは序論で「衡平だけでなく女性の役割の革命に対する福祉国家の適応に関連する効率の課題にも取り組む」と書いているのに、大沢氏の解題は「ついにエスピンも(私同様)男性稼ぎ主アプローチに到達した!」という喜びに覆われています。

コメント

安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
まとめて頂き、ありがとうございます。ただ最後のほうのタベリーニの話は関係ない気がw
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足1.本書の意図はあとがきの最後に端的に書かれている。「しかし、平等主義という動機のみにもとづいて福祉国家の改革を主張しても、得心するのはすでにそれに賛成している人だけだろう。反面で、政策の改革によって私たちがより優れたパレート・フロンティアに進めることを示せるなら、続」
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足2.「福祉国家改革の主張ははるかに多くの支持を得られるだろう。これは、衡平性が増すとともに、潜在的生産力がより有効に動因されるという、両得の成果を意味する。他のなんびとの利得を損なうこともなく、ある人びとの利得を増すことができるという意味で、パレート的に、続」
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足3.「女性の革命に対する福祉国家の適応という策を打ち出せることは、多くのさし迫った問題領域で十分に明白(略)。女性の革命に福祉国家が適応するという方法以外ではーそれは基本的に家族か市場に頼るという方法になるー全てのさし迫った問題領域において次善の解決策にしかならない(略」
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足4.そしてこの認識は、謝辞に書いているように、福祉国家研究から「世代間移動、機会平等、家族の人口動態、社会経済的不平等の輪郭の変化」の検討に軸足を移し、そこで「ヘックマンの足跡をたどって」「幼児期の諸条件がライフチャンスに及ぼす影響」を考え「福祉国家と再開」して到達したらしい。
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足5.一方、大沢真里の「解題」は、こういった経緯を追って本書の位置づけを説明するのではなく、自身の研究に引き寄せて「福祉国家3類型、福祉レジーム論を経て男性稼ぎ主アプローチに到達」という、相変わらず「類型論」的なものになっている。
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足6.無論、それで補足1-4のようなエスピンのエッセンスを「解題」できていれば問題ないが、重なりつつもずれている、ということだろう。大沢氏自身の「男性稼ぎ主アプローチ」の背景や成果やそれとエスピン本の比較は、大沢(2007)やOsawa(2011)など検討すればいいと思う。それはそれで重要。
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足7.またこのエスピン本は子供と女性だけでなく第5章は「高齢化と衡平」がテーマ。高齢者ケアで政府の関与を縮小しても家族の誰かが仕事を辞めざるを得なくなるという非効率性が生じることや、引退者のための社会的資源は、公共部門を縮小して市場部門を拡大しても公私合わせた「総量」はあまり変化しないが「分配」は左右されることなどが指摘されている(無論細かい注釈はある)。
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
補足8.さらに5章では、マスグレイブ(1986)に基づいた年金の衡平性についての議論、引退延長の議論、そして「明日の引退者のあいだにおける福祉分配は、何よりも、今日の子供たちの間のライフチャンスの不平等にかかっている」(p167)として、高齢者の議論と1-4章の女性・子供の議論と結びつけて議論し、締めくくっている。
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月6日
ながながと失礼しました。いずれにせよ、この本を訳してくれた大沢氏や他の訳者には感謝感謝です。「解題」の統計も重要と思いますし。
縮限 @contractio 2012年2月6日
遅ればせながら、ツイート3つを削除しました。>@dojin_tw
安藤道人 M. Ando @dojin_tw 2012年2月7日
タベリーニのソーシャルキャピタルのところでしょうかw わざわざお手数おかけしました。>@contractio
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