茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの「落語は、落伍者に温かい」の連続ツイート

脳科学者・茂木健一郎さんの2月8日の連続ツイート。 本日は、きのう電車に乗りながらうつらうつらと考えていたことについて。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-02-08 07:04:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」第498回をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、きのう電車に乗りながらうつらうつらと考えていたことについて。

2012-02-08 07:09:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(1)体験というものは、種となって、育っていく。だから、幼少期から、なるべくいろいろなことを体験した方がいい。世の中を生きていると、いろいろな課題があり、壁があるけれども、そんなとき、案外自分の中にすでにそれを乗りこえるための種があることが多いのだ。

2012-02-08 07:10:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(2)全校集会などでしゃべることはよくあったと思うけど、記憶に残っているのは小学校5年生のとき。学生科学展の蝶の研究が良い賞に入り、まずは大人たちの前でプレゼンした。OHPを使って、生まれて初めての「学会発表」だった。

2012-02-08 07:11:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(3)それで、私がいたのは新設の小学校で、校歌ができたのというのでその制定発表会でみんなの前で蝶の研究の話をした。その時の写真も残っている。半ズボンで話しているけれども、実は、がちがちに緊張して、 声がうわずっていたのではないかと思う。

2012-02-08 07:14:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(4)今では人まえで話すのは簡単で、それこそ聴衆を見て、クオリアの難しい話をするのも、綾小路きみまろさんのように漫談をするのも自由自在、くらいに思っているけれども、最初に人前で話し始めたときは、上がっていた。そのことを振り返ると、緊張には意味があると思う。

2012-02-08 07:15:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(5)緊張するということは、つまり、自分の脳が何をするべきかわかっているということである。だから、「緊張するということは、才能があるということなんですよ、それを乗りこえればだいじょうぶですよ」と、緊張するんだと相談してくる方には言うことにしている。

2012-02-08 07:15:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(6)人前で喋るのが、フロー状態になったあとで、ある時ふとわかったことがある。幼少期、寄席好きの祖父や父に連れられて、数限りなく上野や浅草、新宿に通った。あの経験が、間違いなく自分の糧となり、支えになってくれているということを。高座での話の振り方や間の取り方。

2012-02-08 07:17:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(7)寄席の空気を、知らずしらずのうちに体得していたのだろう。ああ、そうか、と思った。そして、人生、ムダなことなど一つもなくて、思わぬ経験が、いざというときに役に立ってくれるんだな、と思った。だから、何でも経験しておかなくてはならない。寄席もその一つ。

2012-02-08 07:17:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(8)もう一つ。英語の世界で日本代表でがんばるというのが私のミッションだけど、時々疲れると落語を聞く。すると本当にいやされる。先日も柳家小さん(五代目)の「道具屋」を聞いて、深くいやされた。与太郎が出てくるのだけれど、向けられる視線が本当に温かいのだ。

2012-02-08 07:19:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

らら(9)与太郎は、ももひきを「しょんべんできませんよ」と言ったり、おじさんの商売は「ど」がつく、じゃあ「どろぼうだ」と言ったり、とにかく使えないし役に立たない。そんな人にも温かい目で居場所を与える落語。グローバルな競争で闘うことと、誰にでも温かい目を向けることの両立。

2012-02-08 07:21:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

幼少期から聞いていた落語は、講演のときに助けになるだけでなく、人に対する温かい目を育んでくれていたんだな。以上、「落語は、落伍者に温かい」の連続ツイートでした。

2012-02-08 07:21:49