伊達市長:『セシウムがあることを前提にコメをつくり、検査して汚染米を市場に出さない』発言を巡る、法律家・農家・各専門家のクロストーク
@TAKASHIMA724 先生、この伊達市長の発言がもしこの通りであれば法的に問題ないでしょうか。☞仁志田昇司市長は「放射性セシウムがあることを前提にコメをつくり、検査して汚染米を市場に出さない仕組みが重要だ」と訴えている。http://t.co/mzANfKxz
2012-02-08 10:05:02@Todaidon Todaidonさん,初っぱなから難しい問題です。 私はいちおう民法,医事法,消費者法,法情報学を研究しておりますが,それ以外の分野には充分な知識がありません。従いまして,この問題にも適切にお答えできるか怪しいのですが,分かる範囲でコメントさせて下さい。
2012-02-08 16:31:37@Todaidon 伊達市長発言(http://t.co/nXFGsfwY)の法的位置づけを明らかにするには,前提として,食品放射能の暫定規制値問題を明らかにする必要があります。
2012-02-08 16:31:53@Todaidon そもそも,食品に大量の放射性物質が含まれる事態は従来の法制度では想定されていませんでしたので,現在のところ,直接にこれを規制する法律はありません。 関係する法律は,食品衛生法だと思われます。刑法や民法も関係しますが,長くなりますので食品衛生法に絞ります。
2012-02-08 16:33:15@Todaidon まず,全ての食品に適用される規制としては,食品衛生法があります。食品衛生法6条は,次のように定めています。
2012-02-08 16:33:32@Todaidon 「第6条 次に掲げる食品…は…販売し…又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。… 第2項 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。… 」
2012-02-08 16:33:47@Todaidon そして,これに違反した者は,同法71条によって「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」に処されます。 その意味で,食品衛生法は,刑法の特別法でもあります。
2012-02-08 16:34:18@Todaidon 2008年に,農薬の残留する汚染米が販売された事件では,食品衛生法違反で大阪府警などが捜査に入ったことは記憶に新しいところです。
2012-02-08 16:34:24@Todaidon 従って,今回の事件については,放射能汚染された食品が,食品衛生法6条2項にいう「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの」に該当するかどうかがポイントになります。
2012-02-08 16:35:07@Todaidon 私は放射性物質の摂取と健康との関係については素人なので,この点については明言を控えます。むしろ,Todaidonさんのご意見をうかがいたいところです。
2012-02-08 16:36:04@Todaidon 群馬大学の@HayakawaYukioさんが,放射性物質の検出された米の出荷は刑法に反すると縷々主張されておられますが,現行法上は,むしろ食品衛生法6条2項(これも罰則が規定されているので,広い意味での刑法)違反の可能性を検討するのが適切だと思います。
2012-02-08 16:37:56@Todaidon ただし,放射性物質は環境中にごく微量に存在しますので,同法6条2項の適用に当たっては,「どこまでの放射性物質が含まれあるいは付着されていれば,『有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着』していると言えるのか」が問題になります。
2012-02-08 16:38:16@Todaidon この点の判断材料として2011年3月17日に厚生労働省が知事等に送付した通達が,「放射能汚染された食品の取り扱いについて」です。この文書に添付された「飲食物摂取制限に関する指標」が,暫定規制値と言われているものです。→http://t.co/oHmUoywe
2012-02-08 16:38:59@Todaidon この文書の法的性質は,「通達」と呼ばれるものです。通達は,法令ではありません。通達とは,分かりやすく言えば,国や地方自治体内部の「社内規則」です。行政が活動する場合の内部基準に過ぎません。従って,国民も裁判所も,この暫定基準に何ら拘束されないのが原則です。
2012-02-08 16:39:17@Todaidon 従いまして,暫定規制値以下の放射性物質が含まれているに過ぎない食品でも,裁判所が,食品衛生法6条に違反していると判断することは当然可能です。
2012-02-08 16:40:58@Todaidon 以上の事を前提にして,伊達市長さんのご発言の法的意味を考えることになります。
2012-02-08 16:43:27@Todaidon まず,ニュース記事を読む限り,「国が検討している作付け制限の方針転換を求める」趣旨の発言ですから,このご発言自体は国に対する依頼であり,法的な意味はありません。また,先に述べたことからすれば,地方自治体が通達に沿って活動することも当然です。
2012-02-08 16:43:34@Todaidon しかしその前提となる,「放射性物質が含まれた食品と食品衛生法6条との関係」といういちばん重要な問題は,まったく解決されないままであるというのが現在の状況です。こんなもんでよろしいですか。
2012-02-08 16:45:00@TAKASHIMA724 さん、詳細なお答えをありがとうございます。例えば薬事法では、放射性物質(※人工放射性同位元素)が少しでも検出された生薬を含む漢方薬の販売を禁じているhttp://t.co/E8iCe6uY ので、有毒であることは社会通念と思いますが、福島原発事故後は
2012-02-08 21:49:25@TAKASHIMA724 (続1)『食品暫定規制値の500ベクレルや5ミリシーベルトは安全マージンを大きくとった値で安全安心です(某専門家)』、『自然放射性同位元素カリウム40の放射能に比べればはるかに低いレベルで安全安心です(某評論家、某専門家)』など、事故前の日本では、
2012-02-08 21:51:59@TAKASHIMA724 (続2)「珍説」に近い感じで受け止められていた説が、マスメディアで『東大話法』のような形で広く伝わっているようです。一般の方々はおそらく混乱しているのではないかと思います。典型的なのはこのような論です☞http://t.co/EpNePuJH
2012-02-08 21:54:48@TAKASHIMA724 (続3)『バナナ伝説』も有名になりましたね。確かに自然放射性同位元素も、人工放射性同位元素も放射線を放出することは変わらないのですが、人類誕生以前から自然界に存在するK40と、原爆が誕生して初めて人類が環境でCs137とでは、エネルギーも
2012-02-08 21:57:19@TAKASHIMA724 (続4)生体半減期も全く違います。放射能の影響に関して楽観論者(安全安心派)は、ICRPの実効線量換算で、1ミリシーベルトより小さいから大丈夫といっていますが、換算係数は新しい知見に従ってこれからも改訂されていくでしょう。チェルノブイリの人体病理報告
2012-02-08 22:00:04@TAKASHIMA724 (続5)で、セシウム137は細胞分裂が年間1~2%の心臓に蓄積した場合、心臓等価線量が50 ベクレル/キロ(※体全体の平均線量が5ベクレル/キロ) であれば病理組織変化を、心臓等価線量が10ベクレル以下なら機能変化を起こすという報告もあります。
2012-02-08 22:04:09