第4話 「 雪と円盤 」
- Hika_Rarala
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※第3話は91まででしたが、今回から100までになりました。
自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の1】 「ママの声だ」未咲は、階段の手すりに手をついて、居間を見ました。ママは、真新しい電話の子機で、朗らかにお礼を言っています。「そっか。電話、買い換えたんだっけ」(だれだろう? 相手の人) #HQ_hikarino_youko
2012-02-10 13:29:31自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の2】 「すてきな時間をいただいた上に、抱っこして送っていただいちゃって、本当に‥」「秋本くんだ! きゃ///」思わず叫んでから、未咲はパシッと口を押えました。(だれも、聞いてないよね? ///) #HQ_hikarino_youko
2012-02-10 13:34:50自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の3】 と、おそるおそる ふり返るって見ると、大きめの出窓から、夢まぼろしのような淡い光が射しこんでいました。その月あかりの中に‥「すっごいきれいな女の人!」未咲は、驚きながら、言いました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-10 13:38:56自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の4】 「ありがとう‥」そう言って、女の人はふり返り、未咲を見ました。肩にかかる、しっとりとした黒髪。儚げな美人だと思いました。「パパのガール・フレンド?」「いいえ」くすっ「え?」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-10 13:50:25自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の5】 電話を終えたママが、笑いをこらえながら立っていました。「なんで?」「その人は、モデルさんよ。ほら、油絵の」「そうなの?」「はい」そこへ、パパに案内されて、マネージャーさんが迎えに来ました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-10 13:58:18自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の6】 その頃、秋本くんは、自宅の居間で、大助と話していました。子機を戻そうとした瞬間、かかってきたのです。「さっき、未咲とも話したんだけど、」大助は、本題に入りました。「実際、‥集中できたか?」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 16:43:35自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の7】 秋本くんは、やっぱり。と思って言いました。「ごめん。集中しにくかった?」「いや。ただ、『明日』って思ってたら、『今日』‥『この瞬間』が後回しっつうか」続きは明日、学校で。ということになりました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 16:50:31自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の8】 「いっけない! 夕飯たべたか思い出すの、わすれてたっ!」未咲は、出窓の前で、ハッと我に帰りました。そして、メールを閉じ、携帯をパタンと閉じて、パジャマのポケットにねじ込みました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 16:56:54自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の9】 ラファエルの横顔を月明かりが照らし――未咲は、その麗しさに息を呑みました。その視線の先には―(カレンダーだ! 去年かけたヤツ!)そのカレンダーは、大みそかから、ここに掛けられ、使われていました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 17:02:52自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の10】 未咲が まばたきして目を開けると、もうラファエルはいませんでした。(秋本くんが言ってた『去年の明日』‥大変なことがあったっていう‥じゃなくて、今、なん日??)。首の後ろを、冷や汗が伝います。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 17:07:22自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の11】 「平成19年」「1月」と印刷されています。ふいに、頭上から、人ならざる声がしました――。「2007年1月16日。沙雪の君が、入院なさった日ですね」「さゆきのきみ? あの雪女のかたですか?」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 17:53:42自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の12】 未咲がくるりと見上げると、ゆらりと金色の雲が浮かんでいて、≪雲のような存在≫と、思案顔の ささのみことが並んで腰かけておりました。「わたくしは、4年後の新学期から参りました」 「4年後ですか」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 17:58:44自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の13】 ささのみことは、ますます困惑顔になりました。≪雲のような存在≫は、未咲に言いました。「人間さんを操る『使い魔』―覚えていますね?」「―なんとなく」ささのみことは、一瞬、頭痛がいたしました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 18:03:43自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の14】 それには気づかぬフリをして、≪雲のような存在≫は、天女をバッと出現させ、未咲の両手に渡させました。「未来のお友達からです」「え?」「明日、夜の学校で、ラファエルに渡してください」「!?」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 18:09:25自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の15】 そう言い終えるや否や、天女はマントをひるがえすようにバッと消え、雲と2人もすうっと消え、パパとママがやって来ました。「ご飯よ」「やったぁ!」「お友達?」「う~んと」遠ざかる3人の後ろ姿を #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 18:15:38自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の16】 ささのみこととラファエルだけが、もう一度ゆっくりと現れながら、音も気配もなく、見守っていたのです。‥「でも、なんでかな?」夕食後、未咲は部屋で考え込んでいました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 18:20:27自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の17】 「なんだろう? これ‥」シミのようなものがあるのが、気になりました。「土かしら?」未咲は、小さい頃に読んだ絵本を思い出しました。ある日、陛下が大切にしていたチョコレートがとけてしまい、 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 23:17:10自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の18】 街中が茶色くなって、さあ大変!――というお話。ハッピー・エンドでしたが、結末は覚えていません。未咲はハッとして、口と鼻を近づけました。ささのみことが宙に現れ、止めようとした、次の瞬間です。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 23:28:05自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の19】 シュンッと金の光の輪が現れました。驚いて見ると、それは、フラフープのような大きさで、材質はビームのようでした。光の輪は、瞬くより速く腰から頭上へあがり、鏡が現れ、変身した自分が座っています。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 23:33:40自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の20】 未咲は、考え込んだ表情のまま、腰かけていたベッドから立ち、ささのみことと目が合いました。「一応、ご注意ください」やんわりと忠告され頷くと、「危険な場合に限ってですね、自動的に変身が可能です」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 23:38:37自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の21】 ゆっくりと言われ、聞き取りやすいなと安心したところで、冷や汗が伝いました。「え?」「たしかに茶色いですが、しょっぱいかもしれません。塩と似ていますね」「――すごい! 全然、わかんなかった」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 23:42:15自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の22】 未咲はもう一度、きりりと鏡を見ました。正義の戦士に変身して、イリュージョン・ルビーになった自分。ルビーは、自覚に満ちて、言いました。「秋本くんにも話していいかな? これ、いっしょに渡したいの」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-11 23:49:04自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の23】 「もちろんです」「わかった。ありがとう!」そう言い終わるより先に、ぽんっと金の輪が頭上に現れました。そして、フラ・フープが落ちるように頭から、胴体、足を照らし、じゅうたんへと消えました。 #HQ_hikarino_youko
2012-02-12 14:37:39自作冒険小説『ハート・クエスト』【第4話の24】 「あ」目に入った鏡の自分は、制服を着た、元の未咲にもどっています。2つに分けてあった髪はほどかれ、洗って乾かしたばかりの状態でした。「あれれ? 体もさっぱりしてる」「今度、説明しますからっ」 #HQ_hikarino_youko
2012-02-12 14:51:59