大学研究家 山内太地さん( @yamauchitaiji )による愛知県の大学受験生の分析

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

平成22年度の政府統計の学校基本調査によると、私立大学に進学した愛知県の高校生２万７５６１名のうち、実に81・4％の２万２４２３名が愛知県内の私立大学を選んでいる。名古屋の高校生にとって、大学進学とは、家から通える地元の大学に行くことなのだ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

ただし、愛知県内に残留する８割の高校生は、学力の中堅～下位層であるという認識が、愛知県内の私立大学の間では共有されている。上位２割は県外流出するのだ。学校基本調査の数字通りである。偏差値60の層の進学に耐える私立大学が、名古屋には南山大学だけなのだ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

しかも南山大学は、キリスト教のオシャレな校風で女子学生が多く、東京なら上智大学ポジション。早慶、同立に匹敵する大学が、歴史的経緯から名古屋には生まれず、上位層のニーズに応えていないのだ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

上位層の流出に拍車をかけるのが、名古屋人の国立大学至上主義である。なんと愛知県の国立大学進学者数（６５８８名）は東京都（５１６９名）よりも多い全国１位。そのうち愛知県内進学者は38.4％（２５３２名）と少なく、名古屋大学などだけでは受け皿になっていないことがわかる。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

なぜ愛知県の受験生の国公立大学志向が強いかと言うと、学費が安いという経済的観念に加え、愛知県は高校も名門は公立に多く、国公立が偉いという「親方日の丸」を信じる気持が強いためだ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

ただし、トップ層以外の大多数の受験生にとっては、愛知県内の大学で十分である。その証拠に、日東駒専や産近甲龍に進学する愛知県の高校生は極めて少ない。家からクルマで通え、高校時代の友人も多い地元大学は居心地がいい。就職も地元志向だ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

理系においても上位流出は顕著で、名古屋人の認識では、国立の名古屋工業大学の次は名城大学の理工学部か愛知工業大学だが、この間に落差がありすぎる。そこで立命館大学の理工系学部などが選択肢として食い込んでくる。立命館は名古屋を重要な商圏と考えて、名古屋駅前に事務所を構えている。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

逆に、首都圏や関西圏の中堅私大が、名古屋の受験生を集めるのは至難の業だ。そもそも名古屋は、テレビなどマスコミの情報も名古屋発、名古屋中心の世界なので、東京に対する憧れは少ない。「情報が入ってこないので、出る意味がない」というのが名古屋の高校生の認識だ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

彼／彼女らは地元就職の意識も強いので、下手に日大あたりに進学すると、就活のために帰省するのが大変だし、どうせ就職希望企業は名古屋の地元の会社なので、わざわざ出ていく理由はない。同志社や早慶に出ていく学生も、「名古屋が好きだが、やむを得ず」というタイプも多いのだ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

ただし、名古屋に残っても、地元有名企業に入れる学生はごくわずかである。JR東海、中部電力、東邦ガス、名古屋銀行、中京テレビ、トヨタ自動車などには、地元中堅私大からはほとんど入れない。こうした会社から内定を得る学生は、名古屋を出ていった国立大、有名私大出身者で占められがちだ。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

名古屋の私立大学生には「どうせ大手企業は無理」と、始めから地元中小企業だけを狙って就活をする例も多く見受けられる。大学側としては、始めから身の丈にあった中小企業ばかりを就職先に選んでくる学生に対し、もう少しチャレンジ精神を発揮してほしいという気持ちがなくもないと聞く。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

名古屋の高校現場からの声として聞こえるのが、「子ども以上に親が地元志向」というものだ。経済的な理由のほかに、「子どもを手元に置いておきたい」という溺愛タイプの親が多く、近年では驚くことに男子生徒の親のほうが子どもを外に出したがらない傾向が感じられるという。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

国公立大学が偉く、私立大学では南山だけが突出しているという長年の状況に変化を加えたのが、中京と愛知淑徳だ。中京大学は活発な改組転換や設備の改善、カリキュラム変更、難関資格取得や就職実績の向上に努めて近年評価が急上昇し、名古屋の私大ではナンバー２になりつつある。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

愛知淑徳大学は、御三家といわれる名門女子大群の中で唯一共学化したことが功を奏した。受験生の中には現在、少しずつではあるが共学志向が強まっており、女子大ブランドは以前ほどの威光がなくなってきている。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

中堅私大の受験生の中には、推薦入試で早く合格できるからという理由で大学選びをする層も多いが、推薦入試を増やしすぎると入学後の学力に課題のある学生を多く入れることになる。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

中堅大学を目指す高校生は、高校にも推薦で入ってくる場合が多く、競争を経験していない。一方で、名門公立高校に落ちて私立高校に来たという挫折を経験している高校生は、さらなる失敗を恐れ、安全志向が非常に強い。地元志向にはこうした側面もある。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

岐阜聖徳学園大学は、学生数約２６００人の、小規模な私立大学だ。全国的な知名度は決して高くないが、この大学は教員採用で極めて高い実績を誇る。平成22年3月卒業生の教員就職率は、全国48の国立大学教員養成学部と比較して第２位、教員正規採用率は第７位である。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

[岐阜聖徳学園大学]就職課長のもとで、３年生全員が模擬面接をする。しかも全員それをビデオに撮り、自分の姿を見て面接の対応を直す、厳しい指導を行う。

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

内部告発大歓迎です。RT　@miminashi 中京大、ブランディングはうまくいったかもしれないけど中身は空っぽですよ

山内太地『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』１１月 @yamauchitaiji

そりゃあ、無いですよ。だって名古屋だもん。RT　@miminashi いわゆる学生団体や起業厨、課外での研究会などは皆無で、学生に早慶のような元気さは微塵も無いです