放射線防護の豆知識(原発からの廃棄物によって公衆が受ける線量当量の努力目標、など)

これまであまりTw上で議論されなかった話題を中心に、少しずつ更新していきます。第一話は、年間1mSvよりも低い指標(努力目標)が、1975年から日本にはあるという話です。
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森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

(重要)放射線防護の豆知識① 以下、これまであまりTw上で議論されていなかった話題を提供します。公衆被曝限度が1mSvになったのは1985年ですが、それ以前の5mSv時代(1975年)に「施設周辺の公衆の受ける線量当量」の努力目標(年間50μSv=0.05mSv)が定められました

2012-02-14 05:09:32
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識② これは、「線量当量の評価においては、気体廃棄物については放射性希ガスからのガンマ線による外部被ばく及び放射性よう素の体内摂取による内部被ばくを、また、液体廃棄物中の放射性物質については、海産物を摂取することによる内部被ばくを実効線量当量で評価するものとする」

2012-02-14 05:11:11
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識③ と定められています。出典は当時の原子力委員会指針☞http://t.co/6mZ64Ljl です。これはあくまで「as low as reasonably achievableの考え方に立って周辺公衆の受ける線量当量を低く保つための努力目標値」であり、

2012-02-14 05:15:05
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識④ 原発が通常運転時の施設周辺の公衆の受ける線量当量の『努力目標』にすぎません。1975年は、スリーマイルもチェルノブイリ事故も起こっていなかった時代ということも考慮しなくてはなりません。ただ当時においても、原発から常時排出されるトリチウムなどの放射性同位元素

2012-02-14 05:17:18
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑤ を考えた時、できるだけ周辺公衆に対する空気と海産物(希ガスやヨウ素の記載もあり)からの被曝を避けようとした配慮が伺われます。しかし、奇しくもというか偶然にも、新暫定基準値100ベクレル/キロぎりぎりのお米を年間60キロ食べたとして、

2012-02-14 05:26:39
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑥ 大人で年間0.09ミリシーベルト、仮に100ベクレル/キロが玄米の段階で白米に精製したら3分の1になっても0.03ミリシーベルトになるので、1975年に定められた努力目標の0.05ミリシーベルトというのは割といい線をいっていたのかもしれません。

2012-02-14 05:30:18
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑦ただし、食品からの内部被曝でもっとも深刻な影響を報告している人体病理報告からは、心臓線量50Bq/kg で病理変化、10Bq/kg で機能変化が示唆されるということで、体平均の線量を10分の1とすれば、食品で健康に影響を与えないセシウム量は0.5~0.1Bq

2012-02-14 05:37:26
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑧ つまり、福島原発事故前の日本の食品に含まれる平均線量が望ましい、ということになります。http://t.co/znbnsa91

2012-02-14 05:40:35
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森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑨ ところで、なぜ1975年の古いガイドライン(原発周辺の廃棄物からの公衆への線量の努力目標:0.05mSv)を照会したかというと、内部被曝の影響に関して、安全を標榜する論の多くがICRPの換算係数で1mSv以下をもってOKと書かれているからです。

2012-02-14 11:53:07
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑩ もしかしたら、1mSvより低い値のメルクマール(指標、目印)は頭の中にないのではないかと思い、紹介しました。私の頭の中には、1mSvより低い値では、0.3mSv、0.1mSv、そしてこの0.05mSvがあります。0.3mSvとはドイツの法令での原発周辺からの

2012-02-14 11:56:13
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑪ 廃棄物からの被曝許容量であり、今回紹介した日本のガイドラインの努力目標である0.05mSvに相当する値です。この0.3mSvからドイツ放射線防護協会という組織が日本に向けた勧告から、食品は子供4Bq、大人8Bq を目安にという推奨をしたことが知られています。

2012-02-14 12:00:09
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑫ この勧告について、私はドイツの民間組織の『親切な助言』と理解しています。4ベクレルがくしくも日本人が1960年代に経験した最大値であることは偶然ですが、面白いですね。なおドイツの一般の公衆被曝の許容線量は日本と同じ1mSvです。

2012-02-14 12:21:01
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑬ さて、最後の0.1mSvという指標はECRR(欧州放射線リスク委員会)がICRPとは異なる換算係数を用いて、計算した線量での公衆被曝の許容量です。具体的には大人でのセシウム137の経口の内部被曝の換算係数がICRPに比べてECRRは約5倍大きいです。

2012-02-14 12:32:21
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑭ 実際には福島原発事故ではセシウム134も多いので、セシウム合算でECRRの立場で計算すると、あら不思議、今回紹介した日本の1975年の原発周辺の住民が廃棄物から受ける被曝線量の努力目標である0.05mSvに近くなります。これが今回、古いガイドラインを紹介した

2012-02-14 12:36:34
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑮ 理由のひとつです。もちろん、ECRRはICRPと同じNPO法人といっても、規模や発言力が雲泥の差であることは御存じのとおりです。私はECRRの意見をすべて信頼しているわけではありません。ただICRPの知識だけだと、1mSv以下、特に食品の内部被曝の考察が

2012-02-14 12:40:09
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑯ ラフになることも悩みの種です。個人的には、食品の内部被曝の影響は、今回の福島事故で初めて明らかになり、そのときには公衆被曝の1mSvを下げるか、換算係数を上げることになる可能性が強いのではと直感的に思っています。なぜなら、日本ほど事故前のセシウムの食品や

2012-02-14 12:42:54
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑰ 体内の濃度のデータを蓄積している国はスウェーデンなどを除いてほとんど世界にも例がないからです。1960年代に4ベクレルで最大、2010年には0.1ベクレルまで低下していた食品中のセシウムが上昇することは確実ですので、もし今後疾病率の上昇が認められて相関関係が

2012-02-14 12:46:51
森本卓哉 Takuya MORIMOTO @Todaidon

放射線防護の豆知識⑱ 認められれば換算係数か公衆被曝許容量のいずれか、または両方が改訂されることになるでしょう。話が長くなりましたが^^; 、この話はこのへんで。。。それでは。

2012-02-14 12:49:35