先日のロダンの鋳造作品についての連続ツイートを受けて、今回は一般的なブロンズ作品の制作プロセスを解説しています。
「ブロンズ鋳造彫刻について」(その1):今日は基本的なブロンズ鋳造彫刻の制作過程を呟きます。まず、彫刻家は、粘土を用いて元になる作品を作ります。これを仮に「粘土作品」と呼ぶことにします。粘土作品からそのままブロンズ鋳造は出来ませんので、まず、これを石膏に移しかえます。
2012-02-21 21:09:13「ブロンズ鋳造彫刻について」(その2):粘土作品に溶いた石膏を掛けていき、それが固まると、まだ柔らかい粘土をかきとってしまいます。石膏には粘土作品とは凹凸逆のかたちが残ります。これを「雌型」と呼びます。この段階で彫刻家が最初に作った「粘土作品」は無くなっています。
2012-02-21 21:14:30「ブロンズ鋳造彫刻について」(その3):今度は、その凹凸逆の石膏雌型に、また溶いた石膏を流し込みます。そして石膏が硬化した後で、雌型を外します(実際は壊してしまう)。そうすると元の「粘土作品」のかたちが石膏に移しかわります。これがブロンズ鋳造の元となる「石膏原型」です。
2012-02-21 21:18:19「ブロンズ鋳造彫刻について」(その4):従って「石膏原型」は、彫刻家が最初に作った「粘土作品」の子どもということになります。いよいよブロンズ鋳造を行うとなると、この石膏原型を用い、それを型取りして、鋳造のために再び凹凸逆の「雌型(外型)」を作ります。
2012-02-21 21:25:27「ブロンズ鋳造彫刻について」(その4):今度は、その「雌型(外型)」の内側に、一定の隙間ができるように「中型(中子)」を作ります。そして「雌型」と「中子」を組み合わせて、その隙間に高温で溶けた銅合金を流し込み、硬化した後、雌型も中子を崩し去ると、そこにブロンズ像ができます。
2012-02-21 21:30:56「ブロンズ鋳造彫刻について」(その5):「ブロンズ像」は、はみ出た金属など細部を調整し、これに「パティナ」と呼ばれる着色が施されて、ようやく「ブロンズ鋳造作品」が出来あがります。それは「粘土作品」→「石膏原型」→「ブロンズ像」と、写すという過程2回を経たものなのです。
2012-02-21 21:35:28「ブロンズ鋳造彫刻について」(その6):「ブロンズ鋳造作品」が複数作られる場合(ロダンの場合は現在は12体という限定)、その都度、この石膏原型からの型取りと鋳造、着色が繰り返されることになります。つまりブロンズ鋳造作品は、等しく「石膏原型」の子、いわば兄弟ということになります。
2012-02-21 21:39:40「ブロンズ鋳造彫刻について」(その7):ところで、その「石膏原型」から型取りして鋳造のための鋳型を作る方法が主なものでも数種類あります。「砂型(焼型)」「蝋型」「ガス型」「樹脂型」などです。そして、この型取り方法の違いが、できあがった「ブロンズ鋳造作品」の質感にも影響します。
2012-02-21 21:44:57「ブロンズ鋳造彫刻について」(その8):ブロンズ鋳造のための各種の型取り方法ついては、また改めて。今日のポイントは「石膏原型」が作られる過程。そこから、その都度型取りして鋳造されるものが「ブロンズ作品」ということ。これを一般に「オリジナル・ブロンズ」「オリジナル作品」と呼びます。
2012-02-21 21:50:06「ブロンズ鋳造彫刻について」(終わり):ところが「ブロンズ鋳造」は、その「石膏原型」から直接型取りをしないで、例えば、既にある「ブロンズ鋳造作品」から型取りして「ブロンズ複製」を作ることもできるわけです。こういうものが市場に出回ってブロンズ彫刻の世界に混乱をもたらしています。
2012-02-21 21:57:42お詫び:「ブロンズ鋳造彫刻について」:二つの連続する異なるツイートに(その4)というおなじ番号を付けてしまいました。あしからず<m(__)m>
2012-02-21 22:01:39「ブロンズ鋳造彫刻について」(おまけ):「石膏原型」と「ブロンズ鋳造作品」の比較。「うつし、うつくし」展@愛知県美術館では、戸張孤雁の代表作《煌めく嫉妬》の石膏原型と、2体のブロンズ鋳造作品を同時に展示しています。貴重な機会です。ぜひご来場ください!!
2012-02-21 22:14:12