ガントレット・ウィズ・フューリー #1

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「てめぇは俺と試合して一度も負けなしだったなぁ、ジャンタイ=サンよ!」「……」バトルボンズ両者はじりじりと間合いを調節する。取り囲む修行僧達も、隙あらばグノーケを取り押さえる構えだ。「22戦22敗……そのたび、偉そうにしやがって。ちょっと強えぇーぐらいでよ」 25

2012-02-24 20:25:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんなのだ、ニンジャとは」ジャンタイは呆然と呟いた。「お前を修行の道から引き摺り下ろして破戒せしめるほどのものか?お前の醜い物言いはボンノの極み。全てを無駄にしたか」「ああ無駄よ!」グノーケは獰猛に言った。「ニンジャになっちまえば、全部わかる!修行?くだらねえ!無駄だ!」 26

2012-02-24 20:56:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「全くのバカ!イヤーッ!」ジャンタイは素早く突きを繰り出す。ボンジャン・ポン・パンチだ!ジャンタイは中肉中背。一方グノーケは太く長い手脚を持つオニめいた長身だ。だがジャンタイは彼に負けたことが無い。ジャンタイはボンジャン・テンプルで最も鍛錬された男なのだ! 27

2012-02-24 21:02:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!?」稲妻めいた踏み込みから繰り出されたグノーケの掌打が、ジャンタイの側頭部を一撃した。ジャンタイの首は その衝撃でほとんど真後ろを向かされていた。「アバッ……」「俺の勝ちだ。アバヨ!イヤーッ!」さらに、回し蹴り!首を刎ね飛ばした!ナムアミダブツ! 28

2012-02-24 21:07:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

グノーケは立ったままのジャンタイの死体に近づき、彼のバトルカフタンの懐に手を挿し入れると、鍵束を盗み取った。「これよ、これ。悪いなァ、お当番さん。ずっと嫌いだったぜ」「アイエエ……」包囲修行僧の誰かが失禁!「さぁ小僧ども!暴れるぜ俺は!イヤーッ!」「アバーッ!?」29

2012-02-24 21:12:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……30分も経っておるまい。スミスは目を開いた。重いフートンをどかし、起き上がった。フートン?否! フートンと思えたそれは、ボンズの死体だ!「アイエエエ!?ワッザッ!?」彼は今バトルフィールドを見渡す。記憶が戻る。殺戮!ナムサン……折り重なる死体の山!「ア、アイエエエ!」 30

2012-02-24 21:17:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スミスを取り囲む死体!また死体!おお、なんたることか。彼自身は吹き飛ばされたボンズの死体の下敷きとなって気絶、どうやら難を逃れたようなのだ!全滅?ボンズが皆殺しというのか?そうだ、グノーケはテンプルの中から現れた。では、中で礼拝していた他のバトルボンズ達もあの時既に……。 31

2012-02-24 21:21:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「う……」「ワッザ?」スミスは声の方を振り返った。カンツァイだ。彼は駆け寄った。傷は浅い。「大丈夫です」カンツァイは自力で起き上がった。「グノーケ=サンが……」「や、奴は?」スミスは周囲を見渡す。カンツァイは言った「彼は鍵を奪っていました……きっと宝物殿を荒らして逃走……」32

2012-02-24 21:27:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワッザ……宝物殿」カンツァイは答えず、ウォッチタワーの対角にある似た形の塔めがけ、全力で駆け出した。スミスはわけもわからぬままに追おうとしたが、心が砕け、膝から力が抜けて、血に染まった白砂に座り込んだ。「アイエエ……ニンジャ……」 33

2012-02-24 21:34:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「ウオオーッ!」カンツァイは開け放たれた宝物殿に飛び込む!無残なエントロピーが彼を出迎えた。蹴り散らされ、散乱した壺や飾り皿。コケシ、フクスケ、ハニワ。カンツァイは息を呑んだ。そして震えた。(ああ。やはり)彼の視線は宝物殿の奥のブッダデーモン像に注がれていた。 34

2012-02-24 21:48:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ブッダデーモン像の手の中にあるべきマジックアイテムが、無い。6フィートの打擲棒が。失われている。テンプルの建設者であるボンジャン・シンイチが、鉄より硬い古木を削るボンズクエストの成果としてもたらした、ありがたい宝具が……! 35

2012-02-24 21:53:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんて事だ」カンツァイはうろたえ、震えた。キョートの人々の幸せと健康を祈り、ボンズに修練を促す、テンプルの象徴が失われた。なんと申し開きをすれば良いのか?彼は己の過失であるかのように畏れた。大僧正に、ジャンタイ=サンに、ケマ師に何と言えば。……そこまで考えて彼は思い至った。36

2012-02-24 22:03:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らはいない。もう、いない。死んだ。殺された。ニンジャに殺された。ニンジャはグノーケ=サンだ。グノーケ=サンが皆を殺した。「あああ」彼は床に崩れ落ちた。「ああああ」 37

2012-02-24 22:04:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『立ち止まるな』そのとき彼のニューロンをざわめかせた叱咤の正体は何であったろう?その声は?「え……」『求めるな』「グワーッ!?」カンツァイは突然の偏頭痛に悶え、床を転がった。「グワーッ!?ゲボーッ!?」『求めるな』そして、おお、ナムサン……にわかに大地が鳴動す! 38

2012-02-24 22:11:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああ……」頭痛は訪れた時と同様、急速に引いていった。「聖ボンジャン大師……?」カンツァイは口を拭い、震えながら立ち上がった。ブッダデーモン像が真っ二つに割れて床に倒れている。彼は駆け寄った。そして、彫像それぞれの断面に片方ずつ埋め込まれた物体を見出した。「これは……これは」39

2012-02-24 22:16:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は彫像の断面に埋め込まれたそれを……謎めいた意匠の鋼鉄のガントレット(篭手)を、取り出した。ガチャリ。ガチャリ。彼はそれを両手に装着した。痺れるような感触が全身を伝った。彼は両手で拳を作り、また開いた。「これを……これを使えと言うのですか」 40

2012-02-24 22:23:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

答える声は無い。だがカンツァイの心は決まった。「イヤーッ!」空中めがけ、正拳を繰り出す!「イヤーッ!」逆の手で再度、正拳を繰り出す!宝物殿の外から朝の光!彼は両足で床を踏みしめ、叫んだ!「イヤッサーボンジャン!セイヤッサーボンジャン!」 41

2012-02-24 22:29:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」アコライトの熾烈なガントレット左正拳がドレッドヤクザの顔面を一撃!鼻骨を粉砕!「イヤーッ!」「グワーッ!」アコライトの熾烈なガントレット右正拳がチョンマゲヤクザの顔面を一撃!鼻骨を粉砕!「まとめてかかって来なさい!」「ザ、ザッケンナコラー!」 43

2012-02-24 22:41:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

のたうち回る二人の部下ヤクザを前に、ヒゲヤクザはうろたえた。そして、アコライトと名乗った若いスキンヘッド男を見た。このボンズめいた若者は、まるでこうなる事を見越していたかのようだ。あえて因縁を吹っかけさせ、事務所へ連行されるがままにして、機が熟するや、たちまち返り討ちに……。44

2012-02-24 22:45:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ダッテメッコラー!?どこのヤクザクランッコラー?」「命は獲りません。ブーンズ洞という男のもとへ案内しなさい!」「アッコラー!?こちとらニンジャがバックにッコラー!」「ニンジャ?」アコライトの眉がぴくりと動いた。「ニンジャと言いましたか?」 45

2012-02-24 22:49:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ア?そうだテメエ」ヒゲヤクザは恫喝が効いたと考え、己の額から流れ落ちた汗を舐めると、不敵な笑みを浮かべてチャカを構え直した。「ニンジャだテメエ。ニンジャがもうすぐこっち来るぞ。ザイバツのニンジャがよ!」「ニンジャ?ザイバツ?」「へへへ!そうだ!ニンジャは怖えぞ?」 46

2012-02-24 22:53:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……そのニンジャとはまさか、ストームビートルとか言うサンシタか?」厳しい声が戸口の方向から発せられた。「エッ」ヒゲヤクザは間の抜けた声を出した。アコライトもそちらを見た。ドォン!鉄製ドアが蹴破られ、小肥りのニンジャの死体が投げ込まれた。そう、既に死んでいるのだ! 47

2012-02-24 23:00:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエエエ!?ストームビートル=サン!?ナンデ!?」ヒゲヤクザはあまりのことに絶叫するしかなかった。そして失禁した。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」ツカツカと戸口から現れたのは、やはりニンジャ!赤黒の装束を着、「忍」「殺」とレリーフされたメンポを着けている。 48

2012-02-24 23:05:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「取り込み中か」ニンジャスレイヤーと名乗った男は、無感動に、シュラバ・インシデントめいた事務所内を見渡した。泡を吹いて気絶する二人のヤクザと、悲鳴を上げ続けるヒゲヤクザ、窓ガラスに頭から突っ込んで気絶するヤクザ、そしてアコライトを。「悪いがニンジャの出番は無い。殺したぞ」 49

2012-02-24 23:09:45