【エヴァ】ブラック特務機関ネルフ

何日間かに渡ったshinkai32のエヴァ論をまとめました。旧エヴァのネルフがどのくらいブラック企業的で、それが新劇場版でどう変わったのか、など。
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@shinkai32

よし決めた!申し訳ないが今からエヴァについて語る。

2010-05-31 01:52:53
@shinkai32

以前@goito氏も指摘していたが、そもそもシンジがうじうじしてるとかダメ人間だとかいうのは誤解だ。TV版第一話について考えてみよう。

2010-05-31 02:01:24
@shinkai32

ネルフに呼ばれたシンジは、エヴァに乗れという親父の要求を、ミサトとリツコの圧迫にもめげず拒否する。その理由も「これまで見捨ててきたくせに、今さら協力しろなんて身勝手すぎる」という、しごく妥当なものだ。年齢を考えれば、シンジはむしろしっかり自分なりの意見を持った少年なのである。

2010-05-31 02:10:14
@shinkai32

この場面のリツコとミサトのやりとりは繊細かつ秀逸。シンジをエヴァに乗せるというリツコに対し、ミサトは「マジなの…」と動揺。私人としての彼女は、リツコの要求が無茶であることを知っている。だが数カット後、助けを求めるようにミサトの顔を見上げるシンジに、彼女は「乗りなさい」と冷たく指示

2010-05-31 02:16:01
@shinkai32

ミサトは私情を押し殺して、集団の論理に基づき、あたかも当然のようにシンジにエヴァへの搭乗という無茶を要求する。何の権利に基づいているのか、すでに命令口調だ。ここですでにネルフのブラック性は充分に描かれている。

2010-05-31 02:22:12
@shinkai32

しかしシンジは、ネルフ側の圧迫に「やっぱり僕はいらない人間なんだ…」と傷つけられながらも、不当な要求を断固として拒否。最終的に彼がエヴァ搭乗を決意するのは、自分が乗らなければ他の少女(綾波)が傷つく、と知ったからである。なんて立派なんだ碇シンジ。

2010-05-31 02:28:49
@shinkai32

ところがシンジの人格は、後半になるにつれて不安定になっていく。なぜか。まずは第三話。戦闘で傷ついたシンジは再びエヴァ搭乗を承諾。マヤ「シンジくん、よく納得してくれましたね」リツコ「人の言うことには素直に従う、それがあの子の処世術じゃないの」ここ、よく考えるとリツコの発言は変だ。

2010-05-31 02:42:26
@shinkai32

シンジくんは第一話で、エヴァ搭乗を積極的に拒否していた。しかもリツコの目前で。彼女はあたかもそれをなかったかのように、そしてシンジくんが自発性を欠いた頼りない人間であるかのようにいう。

2010-05-31 02:46:04
@shinkai32

この発言は、むしろリツコの、そしてネルフの願望を表わしている。自発的にネルフを拒絶するシンジより、ネルフに依存してくれるシンジのほうが彼女にとって都合がいいわけだ。ようするにネルフは、シンジをむしろ退行させたいのである。このために利用されるのが、他の職員との「絆」だ。

2010-05-31 03:00:17
@shinkai32

昨日のまとめ。シンジは第一話では意外と主体性のある子。だんだんと不安定にされていく。そして、彼が不安定で周囲に依存する人間であればあるほど、ネルフにとっては好都合。自分たちに従順になるからだ。

2010-06-01 00:18:18
@shinkai32

【エヴァ論】ある種の独占欲の強いタイプは、恋人に幼児的なタイプを望む。自分に依存させて支配したいからだ。ブラック企業が社員に望むことも、けっきょくはこれと同じ。ただし最初から幼児的なタイプを選ぶのではなく、社員の主体性を破壊して自分に都合のよい存在につくりかえようとする

2010-06-01 00:40:55
@shinkai32

【エヴァ論】「ブラック企業」自体に人格があるとすれば、最悪なタイプの恋人に近いものになるだろう。「四六時中おれのことを考えていろ」「おれの気を損ねるな」「おれに感謝しろ」別れようと言えば「この裏切り者!」。

2010-06-01 00:58:34
@shinkai32

【エヴァ論】しかしブラック企業の場合、やってることはストーカーと変わらないのだが、行為の主体がはっきりしない、という問題がある。責任を問われるべきは経営陣だろうが、いったんシステムが成立すると、個々の職員も「会社のため」を理由に他の職員にストーカー的にふるまうようになる。

2010-06-01 01:17:21
@shinkai32

【エヴァ論】そうしないと自分が潰れるからだ。他人を圧迫するよう周囲から圧迫される、こうした負の連鎖がそこにはある。こういう会社では、いい人だなあと思える人ほど不幸そうだったりする。

2010-06-01 01:23:54
@shinkai32

しかし書いてて思うんだけど、ぼくは社会学や経営学の人がこういう問題をどう論じてるかまったく知らんのだよなあ。規律訓練権力がどう、みたいなこと言ってる人たちは、ホーソン実験以降の企業のありかたをどう見てるのか、それすら知らない

2010-06-01 01:31:16
@shinkai32

人生経験にしか基づかない議論って、本来すべきじゃないと思うんだけどしょうがないや。無知はそのままにエヴァ論の続き。ああ、稲葉先生がエヴァ論を書いてくださっていれば…。

2010-06-01 02:56:41
@shinkai32

【エヴァ論】TV版エヴァでは、シンジとミサトの関係にそれが現れている。ミサトは悪人ではないが、シンジがネルフに従えば本来の人懐っこい性格で接し、シンジが造反すれば組織人として冷淡に接する、といったふるまいを余儀なくされている。そのためシンジとミサトが親密になるにつれて、

2010-06-01 03:08:29
@shinkai32

【エヴァ論】ネルフがシンジの内面を掌握する力はかえって増大する。

2010-06-01 03:09:59
@shinkai32

【エヴァ論】ぼくはアニメをよく知らないので、これがアニメ史的に斬新な描写なのかどうかはわからないのだが、エンタメがあまり描かない関係性を扱っているとは思う。ふつうエンタメでは、周囲の、とくにミサトのような善人との関係が親密になるに従って、主人公は自己実現に近づいて行くからだ

2010-06-01 03:16:05
@shinkai32

【エヴァ論】こうしたテーマは、いまにしてみればTV版の時点でかなり意識的に追及されていた。エヴァ搭乗員たちはみな「エヴァから降りれば見捨てられる」と感じていることは何度も強調されている。しかし、彼らが依存的であるほどネルフが得をする、という点への注目は弱かったように思う。

2010-06-01 03:31:57
@shinkai32

【エヴァ論】エヴァのキャラの多くはなんらかのトラウマを抱えているが、その設定自体は陳腐でしかない(例えばアスカのトラウマは、マンガ版ナウシカのクシャナから丸パクリしたものだ)しかしここでも、重要なのは彼らのトラウマをネルフが利用している、という点だ。

2010-06-01 03:39:21
@shinkai32

【エヴァ論】母親の愛情に飢えた子であるアスカが、母の魂を宿したエヴァ弐号機で戦うことに執着する、という設定は、そのあからさまな暗喩。(だから、24話で弐号機と戦うシンジが「ごめん、アスカ」というシーンは泣ける。弐号機こそ彼女のすべてだったことに、シンジは気付いていたのだ)

2010-06-01 03:50:52
@shinkai32

【エヴァ論】さらに大人たちが、ネルフという組織を大義名分に自分の個人的な目的(ミサト「父の仇討」ゲンドウ「妻の復活?」など)を果たそうとし、そのために子供たちを利用してしまうことも執拗に描かれる。彼らはいわばネルフと共依存関係にあるわけだ。

2010-06-01 03:58:02
@shinkai32

【エヴァ論】大人たちは自分の行為の責任を組織に押しつけているのだが、その代償として彼らもまた主体性を失い、ネルフという外殻のなかでどろどろと癒着しあっていく。エヴァに漂う性的な濃密さは、ここに起因している。

2010-06-01 04:13:16
@shinkai32

今、Jホラーとエヴァでぐぐってみたけど大したものはヒットしなかった。まえから思ってたけど、あの両者って影響関係ないの?とくに演出面で。

2010-06-01 19:45:44
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