渡辺真也さん @curatorshinya の「Georg Simmel著 "Rembrandt" 覚え書き」

渡辺真也さん @curatorshinya の「Georg Simmel著 "Rembrandt" 覚え書き」まとめました。
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Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

連続ツイート「Georg Simmel著 "Rembrandt"覚え書き」

2012-02-25 18:10:46
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ1) イスラエルへの旅を終えた今、アムステルダムのマラーノ系ユダヤ人地域にて活躍した、レンブラントの旧約聖書をテーマとした作品の描写力に再度興味が湧いた。ユダヤ系ドイツ人であり、キリスト教徒の哲学者ジンメルがが書いた本書に何かヒントがあると思い、読んでみた。

2012-02-25 18:11:53
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ2)レンブラントと言えば自画像が有名だが、例えばレンブラントの『ペリシテ人に目を潰されるサムソン』は、当時のオランダ人アーティストの作風を、はるかに塗り替えるだけの圧倒的な表現力、そして文脈的な力を持っている。 http://t.co/OZj6uCYs

2012-02-25 18:15:11
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ3)レンブラントは、人間の内面を最高のレベルで描いているが、それは心理学的な内面ではない、オブジェクトとはアッサンブラージュであるが、究極的な心と「わたし」を、生命という概念の枠組みの中で扱ったのがレンブラントだ、とジンメルは述べている。以下に、ジンメルの言説を要約する。

2012-02-25 18:16:06
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ4)ルネサンスは汎神論的であり、個人主義を持ってプラトニズムを補完した。主観的なシンボリズムにてキャラクター化するのが絵画のマジックだが、レンブラントは生における例外的に固有のパワーを扱った画家ベラスケスとは作風が異なる。

2012-02-25 18:16:45
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ5)デカルトのコギトに代表される様に、イタリアのバロックは機械的な手法に依存して内面的なものを描けなくなった。また一方、ゴシックにおいて生命はさほど重要なものではなかった。

2012-02-25 18:17:06
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ6)物質の知覚と人間の内面という二元論をテーマをした偉大なアーティストとして、シェークスピアとレンブラントは別格だが、こういった偉大な人類のテーマに臨んだアーティストとして、ダンテ、ミケランジェロ、ゲーテとベートーベンがいる。

2012-02-25 18:17:27
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ7)レンブラントは、おのおのの魂の最も深い意志、客観的に重要ではない主観的な信心を扱っている。この主体的な行為の真逆に位置するのが、糸を[内面それ自体]と[物質性それ自体]へと引き延ばすことで完全な存在の表現を試みたスピノザの汎神論であり、彼はレンブラントのライバルだった。

2012-02-25 18:18:02
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ8)レンブラントは、スピノザの様に、形態を溶かしてしまう全体の生や、言わばそれらにとって外部のものを扱ったのではなく、もっと純粋に個人の生活を扱い、その個人の生が、その内部から形態を溶かしている。

2012-02-25 18:18:25
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ9)意識の中にある主体が「わたし」ではない「あなた」を表し、この「あなた」は木や雲と違い、主観的に近い存在である。結果、レンブラントの絵画では、「わたし」が「わたし」以上の存在になっている。

2012-02-25 18:18:45
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ10)レンブラントは神秘主義者ではない。プロティノスはエクスタシーに関して、神が身体の中に入るのではなく、元々常に身体の中に存在しているのだと述べた様に、信心とは、彼らの内部の存在にとっての最終的な価値の点であり、目的である。

2012-02-25 18:19:28
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ11)内的生と神性はおそらく区別のつかない一つの実体であり、この一つの実体が、内的生命としてではなく、神性ということで価値を持つ。究極的に形而上学的な形態化の要因と価値付けの権威における個人という点で、カルヴァン主義や、当時の厳しいユダヤ教の戒律や差別の構造の影響が強い。

2012-02-25 18:19:56
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ12)レンブラントは、個人の内面から出て来る形而上学的なもの、すなわち歴史的信心を、宗教における実際の「オブジェ」における超越論的なものへと結晶化している。彼の創作の手つきには、宗教的精神が溢れている。

2012-02-25 18:20:18
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ13)レンブラントは「誘惑」や「救済」といったオルタナティブを大きく超えている。なぜなら「誘惑」や「救済」は、客観的な宗教的内容に関する生命の宗教的強調の変遷においてのみ現れるからである。

2012-02-25 18:20:46
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

(ジメ14)「アートは、予期しない心理的な反応から逃れた本質的な意味を持つ存在として神性を持つ創造物や出来事などの客観的宗教を表すと言うより、より正確には、あの世的な世界を誇張することで引き起こされる、信心の中における主観的なプロセス - 救済に関する客観的な事実 - である。」

2012-02-25 18:22:12
Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya

以上、「Georg Simmel著"Rembrandt"覚え書き」でした。ゲオルグ・ジンメルの本は難関なこともあり、少し堅いツイートになってしまいましたが、最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。

2012-02-25 18:23:25