木谷明元裁判官 最終講義「強すぎる検察(「検察官司法」)と裁判員制度」
木谷「個別証拠開示請求は、最高裁が要件を厳格に絞りすぎた。これを笠に、検察は一切の請求を突っぱねるようになった。結果、弁護人は闇雲に反対尋問せざるをえない。」
2012-02-25 16:36:07木谷「裁判所が捜査の違法をなかなか判断しないのは、検察対裁判所という対立構造を避けようという意識が強いように思う。同僚を見てきての率直な実感である。」
2012-02-25 16:45:07木谷「321条1項2号後段の特信性判断について、現実は、証言と調書が食い違った時点で簡単に特信性を認め、調書を採用する。許されるべきはない。」
2012-02-25 16:56:01木谷「裁判官の客観的証拠軽視・科学的証拠軽信は看過できないほど重大。供述証拠に胡座をかかず客観的事実に毅然と向き合うべきであるし、科学に無知であることを謙虚に認めなければならない。」
2012-02-25 17:03:30木谷「虚偽の調書作成と証拠物の改竄は紙一重であるが、先に述べたように、裁判官が簡単に調書を採用すると思うや、検察官がこれらを常習的に行うようになることは、想像に難くない。検事からの威圧・圧迫を受けていると感じることも少なくない。」
2012-02-25 17:13:42木谷「知られているとおり、最高検は全国の地裁に通知を発した。取り調べメモは、検察の立証に役に立つ限りでのみ保管するように、というもの。検察組織ぐるみで証拠隠滅罪を構成しているものであると言うほかない。」
2012-02-25 17:18:45木谷「裁判員裁判は、検察官司法に風穴を空けたと評価できると思う。少なくとも、先の"有罪ボケ"――心証の雪崩現象、と言う者もいるが――の下にあった審理は、大きく転換したと言える。鹿児島の老夫婦殺害事件の無罪判決は極めて象徴的。」
2012-02-25 17:27:17木谷「裁判員制度が"検察官司法"を変えるための条件は、①取調べの完全可視化②証拠開示のさらなる拡大③上訴制度の適切な運用(最判H24.2.13の解釈が鍵を握る)。」
2012-02-25 17:32:53木谷「裁判員制度は検察官司法に楔を打ち込み風穴を開けつつある。これを大きな流れにできるかは実務家や裁判員の今後の努力次第。その意味で、LS出身の若い法曹の法意識、旧来の因習や古い慣行に囚われない率直・積極的かつフェアな行動は、事態の改善に不可欠。」
2012-02-25 18:15:19我々―法曹・研究者・メディア・一般国民含む―は、新たに導入された裁判員制度を『無実の不処罰の理想に奉仕するツール』に育て上げた上で次世代に引き継ぐ歴史的使命を負っている。どうか、全員このことを肝に銘じてほしい。」
2012-02-25 18:17:01