文春記事「子ども2人が甲状腺がんの疑い」に対する杉澤医師抗議会見で配布された資料の文字おこし(杉澤医師と避難者の方のメール部分)
【伏字について】
**=杉澤医師と取材記者との間を取り持つ形となった避難者の方のお名前。
++=(このメールの宛先となる)避難者の方達が現在住んでいる地区名。
~**さんのメール~
++の皆様へ
******です。
2月23日発売(北海道は24日or25日)の週刊文春3月1日号に、
甲状腺エコー検査の記事が載ります。
それはこちらの意図していた内容とはだいぶ異なり、事実誤認やあおりの言葉も多数含まれておりました。
先日、何とか記事の修正ができないか、掲載を見送ることはできないかと文春様とお話をさせていただきましたが、止めることができず今日に至りました。
結果、杉澤先生他関係者の皆様に大変なご迷惑をおかけしてしまったこと++の皆様を不安にさせてしまったこと、深くお詫びいたします。
本日、リカバリとして、北海道新聞に事実のみの小さな記事が掲載されます。また、杉澤先生ご本人が、記者会見をしてくださることになりました。
以後、ひょっとしたら取材の申し込み等、一時ではありますが殺到することが考えられます。
本日、報道関係者の皆様へとして、++への個別訪問を遠慮していただく旨の貼り紙をいたしました。
越権であることは重々承知しておりますが、皆様のご理解をいただければと思います。
ですが、震災一年を前に、取材の依頼は殺到しております。
顔出し実名で取材に応じてもよいという方がいらっしゃいましたら、よろしければ私にご連絡ください。
ただその際は他者について知りえた情報はお話にならないことをお約束ください。また取材を受けたくないのに、しつこい依頼がありましたらお答えになる必要は全くございません。「貼紙に電話番号が記載されております。そちらにおかけください。」とおっしゃってください。
原発の事故はいまだ収束しておりません。社会的な関心を維持していくことが必要です。**そして私も、福島ならびに汚染された地域の子どもたちの早期エコー検査を望んでいます。**
勝手なお願いばかりでごさいますが、皆様のご協力をお願いいたします。
****
~杉澤医師のメール~
杉澤先生より
++の皆様、こんばんは。
もう**さんからのご連絡でお知りになった方々もいらっしゃると思いますが、本日「週刊文春」から極めて遺憾な記事が出ます。内容は、事実と違うこと、私が話していない内容を私が話したように書いてあるところなどが多数ありました。当時この検査結果が出た頃にどこからか情報を得た新聞記者が皆様のお住まいに取材をしはじめて、スキャンダラスな報道になりそうだったことを懸念したため、**さんと相談し、報道関係者を同時に複数名当院にお呼びした日がありました。取材した記者とは面識がありませんでしたが、信頼する方の紹介であったこと、集まった目的が、この検診の目的と意義を正しく報道し、スキャンダラスな記事にならないようにするためにどうすべきかを相談するためだったため、信用しておりました。
2月19日、皆様に説明会をした最後に、「早く体制をとって18歳以下の子供に甲状腺エコーを今きちんととることが大切で、それは広く継続的に、国の責任でやれるようにしていくことが必要であること、そのためにその主旨で発信してもらえるマスコミにはお話しをすること、医学的な点については7月の甲状腺学会で発表することをお話ししたと思います。その場での発言や拍手、その後にいただいた感想文をみて、あの瞬間に「ボランティアをした医師と被災した方々」との関係から、私自身も皆様と同じ「当事者」になったと思っておりました。そんな中での文春記事です。
怒りとともに、自分自身の今後の医師人生についての不安、皆様への申し訳ない気持ちで一杯になりました。
本当に申し訳ありませんでした。
弁護士と相談し、本日、記者会見します。この検診を始めた気持ち、文春の記事の事実と反するところの指摘、そして、早く広く継続的に子供遣の甲状腺エコー検査ができることとなるよう、報道機関の方々にこの視点での報道をお願いしたいと考えております。
今一度信頼をいただけるのであれば、私自身も皆様と一緒に頑張っていきたいと思います。
よろしくお願い申し上げます。
さっぽろ厚別通内科 杉澤 憲 拝
~**さんのメール~
札幌で杉澤先生にエコー検査をしていただいた1人です。
杉澤先生の今回の取り組みは大変ありがたいものでした。
私たちの不安を少しでも取り除いてあげたい。
その思いからしてくださったことです。
今回、杉澤先生はじめ、関係者の皆様にこのような形でご迷惑をかけることになってしまったことが残念で為りません。
私たちは原発事故による避難者は、自分の子どもたちの健康の不安ももちろんですが、福島の、そして他の地域の子どもたちについても心配をしています。
福島県の検診をまたずに、今すぐでも検査を受けたい。
そう考えていらっしゃる方の声が私のところにも届いております。
無知ゆえの不安と笑われるかもしれません。
しかしながら、その漠然とした不安を解消しようと動いてくださること。
それも医療ではないかとおもうのです。
今回の記事は、私たち検査をうけたものにとっても不本意なものです。
決して不安をあおるつもりはございませんでした。
私たちは今、必死で新しい生活を立ち上げているところです。
少しでも前を向いていけるように。
エコー検査はそのための一石でした。
私たちはこのような機会を与えていただいたこと、先生には心から感謝しています。
また、マスコミの皆様におかれましては、どうか福島、および原発事故で様々な思いを抱えて生きている私たちを、できましたらそっと見守って欲しいと思います。
そして、煽るのでもない隠すのでもない、確かな事実と情報を私たちに伝えてくださいますよう、切にお願いいたします。
エコー検査受信者 ****