茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの「アカデミー賞は確かに派手だけど、やるべきことはちゃんとしているね」の連続ツイート(第518回)

脳科学者・茂木健一郎さんの2月28日の連続ツイート。 今朝は、昨日こちらのABCを見ながら考えていたことについて!
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茂木健一郎 @kenichiromogi

カリフォルニア州ロングビーチから、「連続ツイート」第518回をお届けします。現在こちらは12時10分です。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、昨日こちらのABCを見ながら考えていたことについて!

2012-02-28 05:26:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(1)こう見えても、青春時代はアカデミー賞なんてクソクラエだった。タルコフスキーやヴィスコンティが好きで、アカデミー賞の作品賞なんて、くだらねえと思っていた。ハリウッド映画全体が、軽薄で薄っぺらだと思って、あんなものに騙されるなよと、息巻いていた。

2012-02-28 05:13:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(2)決定的な転機は、意外にもフロリダで訪れた。ユニヴァーサル・スタジオ(だったかな?)に行ったら、映画撮影の現場をそのまま見せるようなテーマパークだった。衣裳を縫っている工場の横を通っていったりした。なるほど、特殊効果というのはこうやって作っているのか! と思った。

2012-02-28 05:14:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(3)圧巻だったのは、インディアナ・ジョーンズの展示で、有名な大きな石がごろごろ出て来る場面から、あっという間に西部劇っぽいところに場面転換して撃ち合いが始まった。そうか、撮影の時もこうやっているんだなと思ったら、その努力に頭が下がる思いがした。

2012-02-28 05:15:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(4)ハリウッド映画がなかなかいいじゃないかと思い始めたのは、製作者側の苦労の視点から見るようになったかもしれない。月日が流れ、私は、昨日、ロングビーチのホテルの部屋でサミュエル・アダムズを飲みながら、ABCテレビが生中継しているアカデミー賞の式典を見ていた。

2012-02-28 05:17:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(5)レッド・カーペットをセレブが歩く、みたいなところが強調されがちなアカデミー賞だが、見ていて、これは映画が好きな人たちの一年に一回の祭典なのだな、と思った。役者や監督、技術者、そして作品に対する尊敬と愛情に満ち溢れている。いいものを見たように思った。

2012-02-28 05:18:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(6)アカデミー作品賞が米国映画を対象にしたものではないということは、スラム・ドッグ・ミリオネアで初めて知ったことである。つまり英語の映画だったら、どこで作れたものでもいい。それ以外が「外国語映画賞」になるのであって、日本映画でも、英語で作られていればチャンスがある。

2012-02-28 05:19:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(7)今年は、フランス制作の「アーティスト」という無声映画が作品賞や主演男優賞に輝いた。フランス語なまりの英語でスピーチする彼らと、それを見つめる観客たちの作り出す空気は感動的。ハリウッドを背景としつつも、映画という芸術の普遍性を志向していることを十分に示していた。

2012-02-28 05:21:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(8)ABCの番組の最後に、選考過程についての詳細な文章が提示された。アカデミー会員数千人が投票するが、その結果は、集計を専門に行う会社によって厳重に管理され、本番でプレゼンターのよって封筒が開かれるまで、会社関係者以外は本当に誰も知らないのであると。

2012-02-28 05:23:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

あや(9)賞が有力者の合議でなく、数千人の会員の投票によって決まる。アメリカの「草の根民主主義」の理念が貫かれている。もちろん賞としての派手な演出はしているが、アカデミー賞としてちゃんとやるべきことをしている。そのことの真っ直ぐさと質実剛健が、かえって印象に残った夜だった。

2012-02-28 05:24:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート518回、「アカデミー賞は演出は確かに派手だけど、やるべきことはちゃんとしているね」でした。

2012-02-28 05:26:58