シュペーアの回想録文庫版が『第三帝国の神殿にて』という題名になったわけ
アルベルト・シュペーアの回想録文庫版タイトルがかっこいいものになった経緯を、赤城毅先生がつぶやいてらっしゃったので、まとめました。
赤城毅/大木毅
@akagitsuyoshi
シュペーア回想録の和訳文庫版タイトルは『第三帝国の神殿にて』という。これは、日本だけのもので、よそで通じるものではない。なぜ断言できるかというと、私が付けたからである。
2011-04-19 21:26:25
赤城毅/大木毅
@akagitsuyoshi
当時、中公の企画にかかわっていた私は、今度シュペーアの回想録を文庫にするのだが、何かいいタイトルはないかといわれ(親本は『ナチス狂気の内幕』だったし、現題に至っては、ただ『回想録』なのだ)、ほんじゃまあ雰囲気重視でと、ノリでつけた。まさか、こんなに広まるとは思わなんだ。
2011-04-19 21:28:21
赤城毅/大木毅
@akagitsuyoshi
その後、学術論文の註に『第三帝国の神殿にて』で引かれたり、果てはエンゲルの回想録が『第三帝国の中枢にて』という邦題で出版されたときには、頭がクラクラした。まあ、だから何だというわけではないのだが、あれは日本でしか通用しないタイトルなのだということは忘れないでいただきたい。
2011-04-19 21:30:35
赤城毅/大木毅
@akagitsuyoshi
しかし、読者にアピールする文庫版タイトルを考えろといわれて、軽い気持でやったことがおよそ十年のちまで響くとは夢にも思わなかった。
2011-04-19 21:31:50
赤城毅/大木毅
@akagitsuyoshi
もっとも、グデーリアンの回想録だって、もとは"Erinnerungen eines Soldaten"、つまり『一軍人の回想』である。あれを『電撃戦』とした本郷健や"Panzer Leader"とした英訳者のセンスがなければ、こんなにポピュラーにならなかったかもしれない。
2011-04-19 21:39:35
赤城毅/大木毅
@akagitsuyoshi
ちなみに、中公版のマンシュタインやグデーリアンの回想録の帯コピーも、私が書きました。ああいう煽り文句を考えるのが好きだったのです。実は、他人さまの小説のリードやコピーもやったことがあります。もし編集者の道を選んでいたら、コシマキ大賞を狙っていたでしょう(笑)。
2011-04-19 21:44:25