木下直之「文化資源学と日本古代学研究」基調講演

2012年3月3日、明治大学の古代学研究所主催のシンポジウム『文化資源学と日本古代学研究』において、東京大学文化資源学研究室の木下直之教授が行った基調講演「文化資源学の展望」の概要をまとめました。
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kind_hiko @Kind_hiko

本日は明治大学の古代学研究所主催のシンポジウム『文化資源学と日本古代学研究』へ。文化資源という言葉も人口に膾炙してきましたかね。基調講演はわれらが木下先生が。http://t.co/eb2ZlULf

2012-03-03 10:43:42
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シンポジウム「文化資源学と日本古代学研究」始まる。リバティタワーなる建物にはいるのは実は初めて。

2012-03-03 13:02:38
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開会挨拶:加藤友康(明治大学)「資源という概念には関心を持ってきたが、資源を含む資料、そのコンテンや資料の作り手、付加情報までを考える文化資源学と言う概念までは認識をしてこなかった。そこを今日補って行きたい。方法を見付け出す場としてシンポジウムをおきたい」

2012-03-03 13:07:36
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加藤「文化資源学の最先端を走っている方からのレクチャーとして木下直之先生から基調講演、東博の品川欣也先生からの報告をしてもらう。」

2012-03-03 13:09:00
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基調講演:木下直之(東京大学)「文化資源学の第一人者として依頼が来たが、そこは誤り。ただし「ひとりもの」とすると10年前の段階ではあっていた。その当時は世の中のどこにも文化資源学という言葉は存在していなかった。」

2012-03-03 13:11:35
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木下「4年前に芸術選奨をもらった時、肩書きを文化資源学者としたら何者かわからないと言うことで却下された。新聞においても美術史学者として記事にされた」

2012-03-03 13:12:47
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木下「文化資源学者は意味がわからないので美術史学者はOKと言うのは一見わかりやすいが、では何故美術史学者はよいのか?単なる時間と普及の問題なのか?」

2012-03-03 13:13:52
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木下「ある分野、学問領域を何と言う名前で呼ぶかと言う問題は、それは何なのかという本質的な問題につながる。」

2012-03-03 13:14:32
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木下「先日の朝日の映画評に「文化資源学」と言う言葉が自然に使われていたが、意味がよくわからない。そこには文化資源の貧困を…とあった。資源である以上貧困とは別の意味も持っている語義矛盾とは思うが、意味の問題は別としても、文化資源と言う言葉が人口に膾炙して来たことは事実。」

2012-03-03 13:16:30
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木下「朝日の記事の他にも、プロジェクトや団体で様々に文化資源が冠に使われる様になった。行政サービスにおいても、既存の文化財を超える意味を持たせる言葉として利用している。ただし何れも連携を持たずそれぞれの文化資源を語っている」

2012-03-03 13:17:53
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木下「我々は、文化資源学会も10年前に立ち上げている。次回は3月24日に実施。ここでそれぞれに語っている内容を共有し合う場を持つ予定。」

2012-03-03 13:19:01
kind_hiko @Kind_hiko

木下「科研費の中にも文化資源の名が入ることになった。肩書きとしての文化資源学者の誕生もまもなくか?」

2012-03-03 13:19:57
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木下「さて東京大学文化資源学研究室が何をして来たかを簡単に紹介する。3つのコースをもち、専任教官を持つ研究室。」

2012-03-03 13:21:04
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木下「実は文化資源学という専攻名を決める段階では関わっていなかったが、この言葉を聞いた時に魅力を感じた。文化と開発や発掘と結びつく資源がつながり、現代社会につながるダイナミズムを感じた。また資源と言う言葉を口にする時に常に裏にある「不足感・危機感」も感じ取れた」

2012-03-03 13:23:06
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木下「東京大学における設置の事情には、内的なものと外的なものがあったと思う。内的なものとして、研究室(この言葉は実は公的な文章には登場しない)と言う専門的である一方で蛸壺化しやすいものを繋ぐ、いわば学際的なものの一拠点となる様に設置されたと言える。」

2012-03-03 13:25:17
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木下「文学部人文社会系という中での蓄積、いわば手持ちのカードとしての教員を考えると文字研究の専門家が中心であった。今日には歴史学も文字以外にも拡大して来た。」

2012-03-03 13:26:29
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木下「外的要因として、文化施設や発掘現場で独自の経営学という言葉が求められた。この時代の要請に答えて、経営感覚を持った文化施設の職員を育てる必要があり、学芸員の職員だった自身も実感していたこと。潤沢な資金を自由に利用できる時代から、経営感覚がなければ閉鎖すらある時代への変化」

2012-03-03 13:28:59
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木下「この要請を文科省はリカレント教育と呼び、高度な専門教育は今日も求められ続けている。いわば10年間、内的と外的な要請をいかに結びつけて行くかの努力を行って来たと言える。」

2012-03-03 13:30:37
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木下「経営技術の習得のみではなく、かたちとことばに関する思考、研究の上に立脚しなくてはならないと言うのは、自身の考え方。以前は経営感覚がなかった学芸員は、いまや経営に振り回され研究に正対できない、またはするリテラシーが育っていないこともある。」

2012-03-03 13:33:10
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木下「設置当初の理念とのズレとして、かたちとことばの研究者よりも経営学の志願者が多いのも事実」

2012-03-03 13:33:26
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木下「文化財と文化資源を並べた時にはっきり違うのが財と資源。財はすでに価値が認められているものである一方、資源はこれから発掘、評価、活用して意味が込められる。しかし、実際は東大の研究室を含めてその利用に差があるのは事実。」

2012-03-03 13:36:22
kind_hiko @Kind_hiko

木下「国立民族学文化資源研究センター(民博)と協力してシンポジウムを行った際には、文化と資源を安易に結びつけることへの問題を指摘する研究者もいた。いわば先進国によるその他の地域への価値付、収奪と言ったものを見出すこともできると言うこと。」

2012-03-03 13:39:03
kind_hiko @Kind_hiko

木下「様々に使われているが、まとめていると、資源の活用に中心をおくのか?発見と価値評価を重要視するのか?と言うことに分けることができる。自身としては後者を重視している。少なくとも東大の研究室での修士課程では後者を徹底して考えて欲しいと思っている」

2012-03-03 13:43:02
kind_hiko @Kind_hiko

木下「文化財保護の歴史をみると、文化財の指定と登録という、トップダウンとボトムアップの考え方がある。今日の体制が出来る前史で最初に重要とされていたのは宝物であった。例えば古社寺保存法を読み込むとその動きがわかる。」

2012-03-03 13:45:35
kind_hiko @Kind_hiko

木下「文化財保護はいわば文化財概念範囲の拡大の歴史と見ることが出来る。(ただし縮小の歴史も存在するが)」

2012-03-03 13:47:17