FATCAに関する国際協定 ~ 日本が被る不利益は無視出来ない!

アメリカで2013年から施行される予定の外国口座税務コンプライアンス法、 FATCA=Foreign Account Tax Compliance Act …米国外の金融機関(FFI)が米国内国歳入庁(IRS)米国人・米国法人が保有する口座情報の報告等に関する契約(FFI契約)を締結し、 米国人口座の有無の確認を行い、米国人口座に関する一定の情報をIRSに年1回報告することを求めるもの 続きを読む
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梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

FATCAに関する国際協定。既に欧州の5カ国(France, Germany, Italy, Spain and the United Kingdom)は米国と共同声明を公表し、国際協定を締結することを公表済み。 http://t.co/TyMo3opC

2012-03-05 03:01:05
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

(続き)日本では国際協定について議論も始まっていない。全銀協・日証協などの業界団体による要望書が出され、これに対し、一部の要望を受け入れた米国財務省規則案が公表されただけである。形の上では一部受け入れたように見えても居住者98%要件など、実際に緩和になっているか怪しいものもある。

2012-03-05 03:05:31
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

FATCAは、米国人が外国の金融機関に口座を持って租税回避を行うことを防止することを目的とする、IRSによる租税上の措置(米国国内法)である。しかし、日本の銀行、証券会社、信用金庫、保険会社、ファンド等に対して、システム構築のコストを負担させ、スクリーニングを要請している。

2012-03-05 03:08:58
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

これに応じない場合には、当該金融機関の自己勘定および顧客勘定における、米国源泉の利子、配当、不動産収入等に30%の源泉徴収がなされる。しかも、これらの収入をもたらす資産を売買した場合、その売却総額の30%に対し、損益にかかわらず源泉徴収する。潜脱防止規定は強力である。

2012-03-05 03:11:49
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

ちなみに、日本における米国人口座の割合は、0.04%と推測されている(全銀協要望書より)。このわずかな割合のスクリーニングのために、言い換えれば米国の財政のために、どれほどのコストと手数を日本の金融機関が負担することとなるのか。

2012-03-05 03:16:42
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

国際協定ともなれば、既に業界団体の手に負える範囲を超えている。財務省規則案公表まで、音なしの構えをとっていた政府は、結局規則案でも何も問題が解決していないことを見てから動くのかもしれない。しかし、欧州各国は既に米国の本気を見て動いている。2013年1月1日の施行までもう間はない。

2012-03-05 03:19:30
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

おそらく、圧倒的多数の中小・地域金融機関は、みなし遵守FFIというステータスを取ることになるだろう。(今回の規則案では地域FFIとしてカテゴリが追加された)その結果、日本国外での拠点はもてないこととなるほか、宣誓書を3年ごとにIRSに提出することとなる等の負担が生じる。

2012-03-05 03:23:56
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

なお、参加FFIは、FFI契約上、米国人口座に関する情報をIRSに報告することや追加の情報提供要求に応じることを義務付けられる。この情報提供には、個人情報保護法上の問題があり、同意がない場合、法令に基づく場合の第三者提供の例外に該当しない(=違法となる)。

2012-03-05 03:27:54
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

このようにFATCAに関しては、法律上も実務上も、相当の問題が存在する。地銀で問題意識を持つ方々と、実務について議論を詰め、働きかけていきたい。

2012-03-05 03:30:32
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

なお、全銀協要望書はこちら。米国財務省規則案の公表後の2011年6月7日に出されたもの。 http://t.co/mV0INxHI

2012-03-05 03:33:17
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

EYによる国際協定に関する6カ国共同声明の和訳です。これを見れば一目瞭然ですが、日本には出遅れ感がありありですね。 http://t.co/IA41kQDS

2012-03-05 04:25:56
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

おはようございます。自転車通勤が楽しい季節になりました。明日は新日本監査法人主催のFATCAセミナーで「FATCA - 我が国における法務上の論点-」と題した講演を行います。2/8公表の財務省規則案と最近の動きを踏まえ、金融機関やファンドが受ける影響と法令上の論点を解説します。

2012-03-28 08:35:52
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)は、米国の法律ですが、日本の金融機関に対し、米国口座(新規・既存)の特定や、米国内国歳入庁への情報提供を行う内容の契約を締結するか、一定の要件に充足しない場合には、米国源泉利益に30%の源泉徴収を行うというものです。

2012-03-28 08:41:30
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

この情報提供や源泉徴収について、日本の法律上の問題点が指摘されているところです。欧州5カ国では既に米国との共同声明を出しており、要件・義務を緩和する方向を打ち出しています。このまま2013年1月1日の施行を迎えると、日本の金融機関は多大な負担を受けることとなります。

2012-03-28 08:45:13
梅澤拓 Taku Umezawa @tkuTokyo

FATCAは、弁護士に関わるものは余りないと考えていましたが、実務が確立するまではお役に立てそうなことも結構出てきました。他方、弁護士側でも、FATCAについて十分な知識がなければ、分野によってはマルプラクティスの危険もあるように思います。

2012-03-28 09:09:45