リブート、レイヴン #8

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは、電子基盤めいたキョートの夜景を睨みつけながら、ネオサイタマで受けた謎の情報提供者からの二度目のIRC通話を回想する……『ドーモ』「ドーモ。またおぬしか?一体何者だ?ガンドー=サンか?」『……違う。だが、ガンドーは無事だ。そんな事よりお前には時間が無い』 23

2012-03-04 22:48:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「正体を明かさぬならば切る」『私の名は便宜的にディープスロートとでもしておこう。それよりお前には時間が無い。ドラゴン・ユカノを救い出したくはないのか?』「……続けろ」『彼女はキョートへと護送中だ』「何のために?」『何らかの陰謀のためにだ。危険だが、先回りする方法が一つある』 24

2012-03-04 22:54:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……手短に答えろ」『アンバサダーとディプロマットというザイバツ・ニンジャを探せ。片方がネオサイタマに潜伏している。危険だが、お前を一瞬でキョートに運ぶだろう』「その後は?」『アンダーガイオン第八階層、イーグル区画の廃工場地帯にある、壊れた赤いコケシ電話ボックスを探せ……』 25

2012-03-04 23:10:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その後の経緯は、述べるまでもない。ニンジャスレイヤーは双子ニンジャにポータルを開かせてキョートへと一瞬でジャンプした後、廃工場街でディープスロートと三度目のIRC通話を行った。そしてシャドー・コンとモミジ・ヤンガの名を伝えられ、あの地下トーナメントへと出場したのだ……。 26

2012-03-04 23:13:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そして……そしてこの有様だ!とフジキドは己の力不足を嘆いた。彼は一度ならず二度までも、後一歩の所でユカノを救い出すことに失敗したのだ。それだけではない。ガンドーは無事だと伝えられていたが、隠れ処は徹底的に破壊されていた。ディープスロートの正体も解らずじまいだ。 27

2012-03-04 23:23:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

かくなる上は正面突破あるのみ。三度目の通話から、ザイバツの本拠地が重要文化財キョート城であることを、彼は知りえていた。……逆に言うならば、残された手掛かりはそれしかない。フジキドは自らの魂を、再び復讐という名の炉にくべた。トコロザワ・ピラーへ単身乗り込んだ、あの夜のように。 28

2012-03-04 23:33:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

心臓が、ニューロンが、復讐の黒い炎で塗りつぶされる!(((フジキドよ、ようやく悟ったか!それで良い!)))ナラク・ニンジャの不吉な哄笑が聞こえる!「……黙れナラク」(((ニンジャと馴れ合うなど言語道断!儂がおらぬ間に、腑抜けおってからに!それゆえに敗北を重ねたのだ!))) 29

2012-03-04 23:43:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……黙れナラク。ウシミツ・アワーにはまだ早い!」フジキドが抗う。ナラク・ニンジャはニューロンの奥底へと引き下がった。「……これは私の決断だ……ソウカイヤを滅ぼしたときと同じく、ザイバツを一晩で滅ぼす。蛇の頭を一撃で叩き潰す……!」ニンジャスレイヤーが立ち上がった。その時! 30

2012-03-04 23:57:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

黒いコートを羽織り、口元をスカーフで隠した一人のニンジャが、五重塔の上へと跳躍してきたのだ!ニンジャスレイヤーは生首を屋根を突起に突き刺し、敵の方向を振り向く。アンブッシュの様子は無い。「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」電撃的アイサツ!「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン…」 31

2012-03-05 00:03:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……俺の名はいくつもある……」そのニンジャは灰色のスカーフを外しながら名乗った。掌には緊張の余り汗が滲む。下手をすればこの男は一瞬で俺を爆発四散させるだろうと、彼は知りえていたからだ。「俺はディテクティヴ、ディープスロート、カラス・ニンジャ……そしてタカギ・ガンドーです」 32

2012-03-05 00:07:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スマキにされ、額を撃たれて琵琶湖に沈んだと聞いたが……」間合いを徐々に詰め、フジキドは問うた。その手にはスリケン!「頭が固かったのさ」ディテクティヴは笑い、額を指差した。……塞がってはいるが、弾痕はまだ残り、その周囲の皮膚は、緩やかに渦を巻くように、固く黒く変形していた。 33

2012-03-05 00:15:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……キョート城に乗り込む気だな?」「いかにも」「まあ、これを見ろ」ディテクティヴは胸元から小さな浮遊型ドロイドを取り出す「オムラ社の試作品、モーター……チイサイだ」その正十二面体ドロイドは、立体ホログラフ映像を足元に投射する!その姿は……ユカノ!?ナムサン!これは一体! 34

2012-03-05 00:26:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺は虚無僧笠で変装し、キョート城に潜入した。数日後、ユカノ=サンの監禁場所を突き止め、見張りとして同型のドロイドが置かれていることも解った。俺はこいつを遠隔操作して接近させ、LAN直結して設定を書き換えた。要するに……向こうのドロイドの映像はこっちに筒抜けだ。さらに……」 35

2012-03-05 00:35:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ホログラフ映像の中のユカノは、何かに気付いたように辺りの様子を窺った。その胸は豊満であった。それからモーターチビに向かって、声を押し殺しつつ言った「ニンジャスレイヤー=サン、ガンドー=サン、私は大丈夫です」「ユカノ=サン!?」ニンジャスレイヤーがホログラフ映像に話しかける! 36

2012-03-05 00:38:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何故私がさらされたのかは不明です。何か恐ろしいことが……ジゴクめいた陰謀が起ころうとしていることは確かですが……」ユカノは見張りニンジャが戻ってくることを警戒しているのか、殆ど一方的に語りかけた。「しかし私の身はまだ大丈夫です。焦らないでください、虻蜂取らずです……」 37

2012-03-05 00:45:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ここでユカノの3D映像は横を向き、回線切断の合図を送る。ブゥーンと鈍い音がして、3D映像はモーターチイサイの中へと消えていく。「ザイバツ上層部はハイテクやネットに疎い」ガンドーが続けた「連中はニンジャの力を過信し、人間の力を軽視しているからだ。おそらく、そこが突破点になる」 38

2012-03-05 00:49:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そして畳み掛けるように言う「な、解ったろ?ニンジャスレイヤー=サン。時期尚早なんだ。それに、ロード・オブ・ザイバツの力は底知れねえ。キョジツテンカンホー・ジツという、大規模マインドコントロールめいた力を使う。無策で突っ込んでも犬死するだけだ。もう少し待つんだ、そうしたら…」 39

2012-03-05 00:52:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうすると、どうなる?」ニンジャスレイヤーは既にスリケンを収めていた。目の前に居るのがタカギ・ガンドーであることを認めていたからだ。「……何か策が見つかるはずだ。そうしたら、キョート城に乗り込もうぜ。ああ、俺も行く。助手の仇だ。まだ話してなかったと思うが……」 40

2012-03-05 00:56:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「策を練ろう」フジキドは掌を前に突き出し制止した。細かい話はいい、というサインだ。眼光の鋭さは失わないまま、少しリラックスした調子で、ガンドーに語りかける。「ニンジャになった気分はどうだ?」「……一度死んで、生き返った気分だな。残りの人生はオマケだ。粗末にできねえオマケだ」 41

2012-03-05 01:01:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……ガンドーは突然のインタビューに驚き、何の小細工も考えも無いまま、咄嗟にそう答えていた。我ながら、文才の無い言葉だと思いながら。「そうか……」ニンジャスレイヤーは頷く「……私はオヌシを殺すだろう。内なるニンジャソウルがオヌシの魂を屈服させた時、躊躇なくオヌシを殺すだろう」 42

2012-03-05 01:04:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああ」ガンドーは返した「だがもし、あんたと殺し合うことになったとしたら……その時は俺も、ただじゃあ死なねえだろう。何しろ俺の頭は」「……強情だからな」フジキドが返した。ガンドーは小さく笑い、ズバリ煙草を吹かした「少し変わったな…?」。ニンジャスレイヤーも返す「そちらもな」 43

2012-03-05 01:10:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺が変わったって?」ガンドーが意外そうに問うた「性格がか?ニンジャソウルの影響って奴か?」「いや……アトモスフィアだ……」フジキドは自分でも答えが解らぬといった顔で続けた「オヌシの性格ではない……カラス・ニンジャとやらのソウルでもない……後ろに誰か、隠しているのか?」 44

2012-03-05 01:12:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「後ろに?オイオイ、まだ何か俺を疑ってるのか?」ガンドーは振り向き、ニンジャスレイヤーに背中を見せ、横に歩き、そこには誰もいないことを確認させた。「何でもない、気のせいだろう。忘れてくれ」フジキドは言葉を収めた「……誰か、オヌシの側で、嬉しそうに笑ったような気がしただけだ」 45

2012-03-05 01:18:52