ザックリお訊きします、人体に悪影響を与える被爆量とは?
@PKAnzug 先生、暇なときにお答えくださ~い!ザックリとした質問です。核医学では既に60年近い知見が蓄積されていると思いますが、人体に有意に悪影響(発ガン)を与える被爆量とは、一体いくらなんでしょうか?
2012-03-06 09:39:33@PKAnzug この問題は、素人が目にする文献や解説では、諸説ありまくりで良く解りません。(特にチェルノが絡むと特定バイアスがかかり全く何が正当か解らなくなる)
2012-03-06 09:40:36@PKAnzug ザックリ聞いてしまえば、一体どの期間で、局所&全身を例に、何ベクレル浴びたら統計上数字が動き出すものなんでしょうか
2012-03-06 09:41:51@PKAnzug 今は一人でも多く、精神的に安定した日々を送って欲しいなと、友人知人にPKA先生の纏めを送ったりしています。今回は、総論ともなりそうな、核医学60年の知見で、総論的な被爆量で解説を頂けたら、ダメだしになるのかなと考えました
2012-03-06 09:45:33.@kiirodebu 被曝って難しいところがあって、まず一瞬で100mSv浴びるのと1年で累積100mSv浴びるのでは全く生体影響が違うんですよ。生体は常にダメージの修復をしてるので、ゆっくり少しずつ浴びてもどんどん直してしまいあまり影響が出ないわけです。線量率効果と言います。
2012-03-07 11:11:47.@kiirodebu なので、そのザックリした質問にザックリ答えるわけにはいきません。線量率の高い場合の話を一般論としたら線量率の低い事例では嘘になりますし、逆もまた然りですから。
2012-03-07 11:11:58.@kiirodebu 実は現状の日本では線量率の高い被爆をする心配は、医療被曝か放射線取扱施設での事故以外ではほぼないんですが、低線量率の被曝って調査・研究が難しいので、「まあ低線量率より危ない高線量率の場合を基準に対策しとけば大丈夫」みたいな状況になっています。
2012-03-07 11:12:11.@kiirodebu では、まず高線量率の被曝の場合ですが、100mSvがひとつのポイント。短時間で100mSvの被曝では、ほとんど影響は出ませんが、体細胞の染色体を入念に調べると影響が見える場合があるとされます。また、僅かながら長期的な発癌は増えるとする報告もあります。
2012-03-07 11:12:40.@kiirodebu ただ、リスクとしてはどのみち微々たるものなので、仮に私が事故で浴びても「あー、浴びちゃったね、まあいいけど」と流すレベル(ただし放射線業務からは外されるので困る)。健康リスクとして本気で気に病むようなものではないです。
2012-03-07 11:12:49.@kiirodebu ただし、さっき書いた通り、これすらも一気に浴びた場合の話、低線量率でじわじわ浴びた場合には影響は何分の一にもなるとも言われていて(動物実験では1/10くらいになることもあるとか)、これまた正確なところは決着がついていません。
2012-03-07 11:13:46.@kiirodebu 実際問題として、自然放射線が非常に強い地域というのがイランやブラジルなどにあって、ある地域では大人も子供も妊婦も年間10mSvくらい浴びてるんですが、特に癌や奇形が多かったりはしません。10mSv/年なら10年で100いっちゃうんですけどね。
2012-03-07 11:14:00.@kiirodebu 短時間でもっと被曝した場合の話をしましょう。250〜500mSvくらい浴びると血球の減少が起こります。将来的な発癌増も統計的に明確化してきます。でも血球減少に自覚症状はなくすぐ回復しますし、発癌の増加もわずかです。
2012-03-07 11:14:14.@kiirodebu ここまでの話は、一部曖昧ですが全て事実の問題。「どこまで浴びていいか」はさらに価値判断が含まれます。外国の特定地域で10mSv/年浴びて大丈夫だとしても、もし10mSv/年の公衆被曝が継続的にあるなら、「まず影響ないけど何とかしなきゃダメ」です。
2012-03-07 11:14:56.@kiirodebu ただ、もし仕事で必要があって10mSv/年相当の被曝をしなければいけないなら、私は特に心配もせずその量の被曝をしながら仕事します。年間500mSvなら「それは多いから嫌」と断ります。つまり、どこまで浴びていいかは必要性・必然性とのバランスで決まるんです。
2012-03-07 11:15:38.@kiirodebu ということで、価値判断の含まれる「どこまで浴びても大丈夫か」という問いで、しかも高線量率より影響が小さいとは分かってるけど不明点の多い低線量率での持続的被曝の場合、なかなか「ここがリミット」って数字は出せないんですよ。
2012-03-07 11:15:54.@kiirodebu 医学的に大丈夫かどうかで言えば、高線量率の被曝なら100mSvあたりで影響が見え始めるので、そのへんがリミットと言っていいかもしれません。ただ、それはたとえば50mSvなら絶対無問題という意味ではなく、リスクとして相手にするには小さすぎるという意味です。
2012-03-07 11:16:18.@kiirodebu 低線量率でじわじわ浴びる場合、どこから影響が見え始めるのかはよくわかっていません。ただ、短時間で100mSv浴びるより年間で100mSv浴びる方が相当影響が小さいのは確かで、明確な影響として見えてくるのは数百mSv/年くらいなんじゃないかと思います。
2012-03-07 11:16:29.@kiirodebu ただ、これは飽くまでも医学的な影響の話。しかも低線量率の場合は推論の比率が高くなるので、漫然と「ここまでなら大丈夫」みたいにやらず、いわゆるALARAの原則に基づき、他に支障を来さない範囲で(ここ重要)極力被曝を抑える必要があります。君子危うきに近寄らず。
2012-03-07 11:16:55.@kiirodebu 特に、行政が基準などを決める場合には、何も知らず何も対策しない地域住民が普通に暮らしていても問題が出ないレベルでの対策が求められるので、必然的に厳しめの対応になります。ICRPの勧告ってのはその国際標準みたいなものと思ってもらえれば。
2012-03-07 11:17:04.@kiirodebu 個人的には、どっかが提言した「生涯100mSvまでに」というのはちょっと厳しく抑えすぎで、多少他に支障が出るレベルなんじゃないかなと思っています。被曝に無神経なのはダメだけど、現状はむしろ神経過敏の方がいろいろ支障を来し始めている印象です。
2012-03-07 11:17:19.@kiirodebu 余談ですが、低線量長期被曝の影響は、宇宙開発が進んだらもっとよく分かるようになるかもしれません。宇宙飛行士は1日1mSvくらい浴びるそうですから、サンプル数が増えたら影響が見えるかもしれないし、影響が見えないことが見えてくるかもしれない。
2012-03-07 11:17:31.@kiirodebu 低重力を利用して、筋力低下防止も兼ねた重たい放射線防護スーツを着るのが常識になるか、「350mSv/年くらいなら一生浴びても全く問題ない」っていう放射線防護の新常識ができるか。まあ、結論が出るのは我々の代ではないでしょうけどね。
2012-03-07 11:17:53