ドゥルーズ&ガタリは、精神医学からみて何を語ったのか - @schizoophrenie さん

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schizoophrenie @schizoophrenie

「スキゾ分析」が成立するための論点はどこか? http://t.co/ixkbWW5I ラカンがシニフィアンで捉えようとした(とD&Gが誤読する)ものをD&Gは強度とスタイルによって捉えようとしたという話。以前私が書いた http://t.co/72yn7qAn に通じる論点。

2012-03-08 13:24:40
schizoophrenie @schizoophrenie

F・ガタリカオスモーズ http://t.co/cAR7H3b1 では、スキゾと「出来事」の話もしているんですね。↓のブログ記事の引用箇所を拝見する限り、訳はこれも例に漏れず微妙なようなので(緊縮症=緊張病?)、原書買って検討してみましょう。

2012-03-08 13:27:02
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schizoophrenie @schizoophrenie

D&Gの分裂病理解は、良い意味でも悪い意味でもかなり旧態以前のもの。それは、彼らが分裂病プロセスをヤスパースから直接引いていることや、引用文献からも分かる。いずれにせよ独仏古典精神医学に忠実。彼らの革新的なところは、それを経済学や主体の生産様式の問題に結びつけたところだろう。

2012-03-08 13:37:36
schizoophrenie @schizoophrenie

高橋俊彦分裂病の精神病理〈15〉 http://t.co/RnKjK2N8 いちおう傍証を。ファントム理論の安永浩先生は、ここに収録された論文で「(D&GのAO)は,破壊的面では快感さえおぼえるが,分裂病そのものの把握は旧態依然たるものである.」と語っている。

2012-03-08 13:41:18
schizoophrenie @schizoophrenie

いずれにせよ、「D&Gは精神医学からみて何を語ったのか」というテーマは日仏哲学会あたりでは需要が有りそう。暇をみてやりますかね。

2012-03-08 13:46:28
schizoophrenie @schizoophrenie

Encyclopédie Universalis http://t.co/nSDdubGj にドゥルーズが単独で「分裂病と欲望の肯定性」を寄稿したのは1972年で、AOに前後する。この一文はAOの核心となるものだが、大きな「分裂病」という記事の第2章となっている。

2012-03-08 14:06:19
schizoophrenie @schizoophrenie

第1章はMaurice Bazot(アルコール中毒などの著作で有名な精神科医)がごく一般的な分裂病の話をしてるのに、第2章から突然ドゥルーズ節でかなり異様。

2012-03-08 14:08:09
schizoophrenie @schizoophrenie

G・ドゥルーズ狂人の二つの体制 1975-1982 http://t.co/w8bPXjNv 後にこの寄稿文は「分裂病と社会」と改題されている。「欲望は欠如ではない」という彼らの主張どおりなら「欲望の肯定性」という原題の方がよかったのではないかとも思う。

2012-03-08 14:10:52
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schizoophrenie @schizoophrenie

ただなんというか、この一文で語られていることは「欲望の肯定性」というよりは、「妄想の肯定性」なんですね。妄想は知的機能の障害によっておこるのではなく、それ自体が創造的なプロセスとなるという話ですから。ひょっとするとそういう含みでの改題だったのかもしれませんが事情はよく知りません。

2012-03-08 14:13:28
schizoophrenie @schizoophrenie

いずれにせよ、D&Gが言いたいことが「妄想の肯定性」ならば、それはフロイト(「妄想形成は回復の試み」)やラカン(妄想的隠喩の形成による「治癒」)という考え方と同じ方向を向いているし、それはそもそも分裂病の創造性=真理の非覆蔵性に注目したヤスパース=ハイデガーに由来する。

2012-03-08 15:38:48
schizoophrenie @schizoophrenie

しかし、実際にD&Gが武器として使ったのは「欲望の肯定性」である。ここに転倒(かつ秘密の戦略)があるだろう。それは彼らが、ラカン派で重視された神経症と精神病の絶対的差異(父の名の隠喩の在/不在)を脱構築することとおそらく関係しているだろう。これは現代的な普通精神病の問題と繋がる。

2012-03-08 15:41:43
schizoophrenie @schizoophrenie

「妄想は取り去るべき悪い物ではなく、むしろポジティヴなものである」がヤスパース=フロイト=ラカン。一方、D&Gは「欲望に欠如をみつのはけしからん。むしろポジティヴだ」という話を分裂病論の水準でしている。欲望はふつう神経症水準での話なのに。あれ?話の水準かわってるよ?というお話。

2012-03-08 15:50:59
schizoophrenie @schizoophrenie

精神病の水準で欲望の問題を扱うなら、それは「主体が欲望すること」より、むしろ「他者から意味もわからずに(性的に)欲望され、さらには享楽されること」が問題となる。シュレーバーが主治医や神から性奴隷扱いされたように。

2012-03-08 15:57:04
schizoophrenie @schizoophrenie

ところが、反精神医学の流れが入ってくると、分裂病に典型的なこういった妄想は「人工的構築物」だということになる。だからこそ、その根源にスキゾプロセスを見出すことができるし、シニフィアン化(社会化、人工的構築化)される前の強度に注目する、という話が可能になるのだろう。

2012-03-08 15:59:13
schizoophrenie @schizoophrenie

D&Gの翻訳で、いつまでも「délire(妄想)」「錯乱」と訳し続けていると、こういった臨床的水準の論点はまったく見えてこないままにとどまる。それは本邦におけるD&G受容の大いなる不幸である。ということを、(いい加減くどいけれども)強く主張したい。

2012-03-08 16:19:08
schizoophrenie @schizoophrenie

今そこでおこっていることが「錯乱」なのか「妄想」なのか、という判断は精神科医の臨床実践においては日常風景ですらある。つまり、器質性疾患によっておこった錯乱=意識障害なのか、分裂病によって生じた妄想なのか、という鑑別診断がなくしては、治療は開始できない。

2012-03-08 16:33:18
schizoophrenie @schizoophrenie

http://t.co/6danGy2e は私が去年書いた論文だが、いっけん分裂病(妄想)にみえた症例が、実は器質性疾患(脳炎の原発性精神”錯乱”)であり、その二つをいかに精神病理学的に鑑別するか、という話。その点で、↓に書いたD&Gの話とも繋がっている。

2012-03-08 16:36:47