アスピリン喘息文献まとめ
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アスピリン喘息(AIA)は嗅覚低下や鼻閉などの鼻茸を伴う鼻副鼻腔炎症状で発症し,数年以内に頑固な咳や慢性喘息が発現する.NSAIDs過敏性は通常,喘息発症数年以内に獲得もしくは判明する(ERJ 2000;16:432-6)ちなみに一度発症したNSAIDs過敏性が消失するのは稀
2012-01-10 13:31:35
AIAではCOX1阻害作用の強いNSAIDsほど過敏症状が起こりやすく重篤となりやすい.近年の多くの報告では選択的COX2阻害薬であるセレコキシブなどを常用量やその数倍投与してもAIAの肺機能は悪化しない(Clin Exp Allergy 2002;32:339-42)
2012-01-10 13:39:26
アスピリン喘息でも比較的安全に使用できる発熱疼痛時の薬剤:セレコキシブ,アセトアミノフェン(300-400mgまでがbetter),塩基性NSAIDs(チアラミド,エピリゾール,ペントイル),葛根湯,地竜,ペンタゾシン,モルヒネ
2012-01-10 14:02:41
アスピリン喘息では原則内服ステロイドを用いる.コハク酸エステル型ステロイドは急速静注しなければ(20分以上かけるなどすれば)肺機能を悪化させにくいが,静注するならリン酸エステル型ステロイドを選択する
2012-01-10 14:09:07
アスピリン喘息はビソルボン吸入液によってアスピリン喘息は悪化しやすい(ビソルボン内服は安全に使用できる).原因は不明.
2012-01-10 14:11:31
アスピリン喘息でCOX1阻害型酸性NSAIDsを誤使用した際は激烈な鼻症状と喘息発作をまねきやすい.これに対してはアドレナリン0.1-0.2mLの筋注が第一選択となる.(日内会誌 2006;95:148-57)
2012-01-10 14:16:02
アスピリン喘息(AIA)は厚労省が全NSAIDsを対象としているため,セレコックスも添付文書上は禁忌となっている.ただAIAはCOX-1が関与しており、COX-2選択性のセレコックスは安全と海外で複数の研究で示されていることを以前ツイートしたが、もうちょっと詳しく調べた
2012-02-07 13:08:28
まず、国内ではセレコックスによるAIA誘発の報告例はないが、AIA確定症例に対するセレコックス投与の報告もないため、国内での安全性は不明確といえる。
2012-02-07 13:12:29
安定期AIAにcoxibを常用量~数倍投与しても悪化しないことが多くの研究で報告された(Clin Exp Allergy 2002;32:339-42)COX-2 likeのエトドラクやニメスリドもAIAを誘発しにくく,AIAはCOX-1阻害薬過敏喘息と考えられるようになった
2012-02-07 13:19:18
ただし,非常に不安定な重症AIAにおいてはcelecoxib(セレコックス)が喘息発作を誘発したという報告がある(J Allergy Clin Immunol 2006;117:215-7)
2012-02-07 13:23:36
アスピリン不耐症にはAIAに代表される気道型以外に皮膚型がある.皮膚型にはアスピリン蕁麻疹/血管浮腫があるが,AIAとは異なり単一病態でなく,選択的COX-2阻害薬で誘発されるケースがある(Ann Allergy Asthma Immunol 2002;89:63-9)
2012-02-07 13:27:31
COX阻害作用のない消炎薬ではAIAは生じない.アスピリン投与後の不応期には他のNSAIDsにも交叉耐性化する(ERJ 1990;3:588-93)
2012-02-07 13:36:32
COX阻害による過敏症状は,PGE2気管支吸入やPGE1全身投与で完全に抑制されることから,内因性のPGE2減少が誘発症状をよく引き起こす.しかし,どの臓器のどの細胞のCOX-1が阻害されると過敏症状が誘発されるのかはまだ未解明
2012-02-07 13:40:44
現状ではセレコックスは選択的COX-2阻害薬であるが,生体内で弱いながらもCOX-1阻害作用を示す可能性は否定できておらず,アスピリン喘息の有症状期や不安定重症例においてはまだ十分に安全とはいえない
2012-02-07 13:45:01
アスピリン喘息AIAの確定診断は内服負荷試験がスタンダードだが,検査に2-3日を要し,誘発症状が遷延しやすい(Int Rev Asthma 2000;2:56-9)
2012-02-13 18:37:16
AIAのもうひとつの診断法はスルピリンなどの吸入試験だが,吸入法は数%の偽陰性が生じ,気道刺激による非特異的反応(偽陽性)も起きやすい欠点がある
2012-02-13 18:43:57
AIAではコハク酸ステロイドでも誘発されるためリン酸ステロイドが推奨されるが,リン酸ステロイド静注薬もAIAを誘発しやすいパラベンや亜硫酸塩を添加物として含むため,使用の際には1時間以上かけて点滴する必要がある
2012-02-13 18:49:32
AIA患者でACSや脳梗塞のような血栓性疾患の予防・治療を行う場合,代替療法としてチクロピジンが挙げられ,アスピリンと同程度に有効かつ安全(BMJ 2002;324:71-86)
2012-02-13 18:55:23
様々な事情によりアスピリンをはじめとするNSAIDsの投与が避けられない場合,アスピリン減感作療法も考慮される(Clin Rev Allergy Immunol 2003;24:169-88/Am J Cardiol 2005;95:509-10)
2012-02-13 19:19:57
AIAにおいては好酸球性胃腸症,好酸球性中耳炎,好酸球性肺炎などの副鼻腔気管支外病変がが合併症としてみられること,これらの合併症がICSやLTRAにより喘息症状が改善した後に発症しやすいことが報告されており,AIAが全身性疾患である可能性が提唱されている.
2012-02-13 19:26:50
AIAでの好酸球性中耳炎合併率26%,好酸球性胃腸症合併率20%,好酸球性肺炎合併率9%(アレルギー 2003;52:347)
2012-02-13 19:29:17
AIAでは高率にChurg-Strauss症候群を発症するという報告もある(AJRCCM 1999;159:A125/Allergol Immunopathol 2001;29:185-90)好酸球性の胃腸症,中耳炎,肺炎などがChurg-Strauss症候群の一部かもしれない
2012-02-13 19:34:51
一方でChurg-Straussに高頻度にみられる心病変や皮疹,末梢神経障害がみられないことからChurg-Strauss症候群とは異なるAIA特有の合併症であると考察している報告もある(アレルギー 2003;52:347)
2012-02-13 19:36:27
ガイドラインでは,AIAではNSAIDs過敏性は生涯に渡って続くとされる.しかしICSを中心とした喘息の良好なコントロールにより気道過敏性の改善とともにNSAIDs過敏性が消失したAIA症例の報告も散見.喘息の重症化がNSAIDs過敏性を発現させる可能性も示唆される
2012-02-13 19:43:21