第6話 「 放課後の先生 」

光野 水栄（Yukue_Hikarino） @Hika_Rarala

#HQ_hikarino_youko 【第6話の1】　「泊り‥ですか！？」「はい。土日にご自宅へ帰っていただくことにすれば、世間様の目も、大丈夫でしょうから」 「それは‥そうですが」静かな2つの声。一方はキッパリ。もう一方は、たじろいだ声。（？？‥眠っ‥寝てたいよぉ‥！）むくり。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の2】　未咲は、しかたなく昼寝から起きました。「えっと？ たじたじ声が ささのみことで、キッパリ声が？？」「こちらが、‥え？」――いませんでした。紹介しかけた ささのみことも、きょろきょろと困惑顔です。そして、腕組みして言いました。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の3】　「あの方は、必ず戻られます。そのときご紹介しますので、ご了承ください」「うん。わかった」未咲は、寝ぼけた顔のまま返事をしました。「起こしてしまって、申し訳ありませんね‥」「‥ま、いっか。顔‥洗ってくる‥」パタン。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の4】　大助が、床からむくりと起きて、言いました。「その、お泊まり会みてぇのは、本当にやるのか？」「―やると‥思います。はい」ささのみことは、係の人にきいてから、というような自信のない表情から、確信した表情へと変わりながら言いました。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の5】　「一つ、訊いていいか？」大助が言ったとたん、トントン。ノックの音。「どうぞ」大助が言うと、未咲と琴子と、いつかの少年が入ってきました。その後ろ姿を、階段をのぼってきた未咲のパパが見ていました。「何くんだっけ？」未咲が尋ねると、

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の6】　「今度、名乗るから。今は」パタン。ドアが閉ざされ、パパはママに、そのことを話しました。――パパとママは、別の部屋で話し合うことにしました。「その子、なにか困ってるのかしら？」「警察に相談‥なんて言えばいいのかな？」「そうねえ」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の7】　「じゃあ、なんて呼べばいいの？」琴子が尋ね、「いいよ。べつに」と本人が言うので、大助が、ひらめきました。「いいこと考えたぞ！」「何？」「あだなを決めようぜ。ハンドルネームとしても使えて、末永く愛用できるやつをな」考える、一同。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の8】　皆でしばらく考えてから、琴子が尋ねました。「じゃあ、好きなキャラは？」「なんで？」未咲と少年が、同時に言いました。「ハンドルにも使うんでしょ？」と琴子。大助が、血相を変えて言いました。「著作権、平気か？ ネットは公だろ！？」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の9】　琴子が、「ちょこっと変えるの。あと、合体させたり、」言いかけた瞬間です。ノックの音。未咲が「どぞ」と言い終わるのと同時に、物部さっちゃんが駆け込んできて、窓の向こうを睨むように見ました。「なに？」未咲も窓のほうを見かけたとき、

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の10】　「空がピンクだ！」少年が言いました。琴子が驚いて窓に駆け寄ると、ガタ‥「地震か？ つ、机っ」「きゃー」「止まった？」琴子がそう言った瞬間には揺れもおさまり、窓を開けると、空も青く、いつもの風景がありました。「今のは、一体‥」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の11】　「秋本くん、いつのまに！」未咲は、ドキンとしながら言いました。（びっくりしたぁ‥）「ラファエルさんが、不思議な方法で連れてきてくれたんだ」「ラファエルさんが？ 超能力で？」未咲は、仰天した瞳をキラキラさせながら、尋ねました。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の12】　その瞳の先には、ラファエルと、もう一人、不思議な人が立っています。不思議な紳士は、静寂に満ちて、言いました。「無神論者から見れば、神や天使が使う≪聖なる力≫と、≪超能力≫とは、同じものでした」「え？」「うそ！」「同じ‥力？」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の13】　未咲はハッとしました。（秋本くん。いつも まじめだけど、こんな真剣な顔、初めて！）不思議な人は言いました。「しかし≪同じ力≫でありながら、人間が使う場合と神様が使う場合とでは、2つだけ、大きな違いがあります。分かりますか？」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の14】　「‥2つも？」「何だ？」少年と大助が、考え込んで言いました。琴子は思わず≪神≫本人である、ささのみことを見つめました――が、「2つ？ 何でしょうか‥？」と、幼い子どものように真剣に腕組みして、やはり考え込んでいます。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の15】　秋本くんが、迷いながら手を挙げました。「速っ！」「もう、わかったの？？」大助と未咲は、目が点です。秋本くんは、答えました。「≪品位≫と≪責任≫ですか？ 人間の超能力者は≪天地創造≫をしていませんよね？」「正解です。続けて」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の16】　秋本くんは、ラファエルをチラッと見て、言葉を継ぎました。「聖なる人は、ラファエルさんのように、人間の紳士淑女とは違うタイプの≪品のよさ≫を持っています」頷く、一同。「おそらく、人間には≪頭の輪≫や≪後光≫が無いために、」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の17】　「せ、責任は？」未咲は、急にコワくなって尋ねました。不思議な人も、「では、≪責任≫について」と促すので、秋本くんは言いました。「超能力を手に入れた人間が≪天地創造≫に踏み切れないのは、創った後、責任を取る自信がないからです。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の18】　どんなに素晴らしい会社をつくっても、経営が失敗したらつぶれます。もし自分が創った世界が、失敗してつぶれたら？ でも、神様が創ったとされる この地球は、環境破壊の中で、今からやりなおそうと思えるくらいに、輝いて生きています！」

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の19】　拍手が起こり、和やかな空気に包まれました。「すごぉい！」「すばらしい！」未咲と琴子が言うと、ママがノックをして入ってきました。「蕾（つぼみ）から電話よ」「え？ もしもし？」未咲は、子機を受け取り、話しながら廊下へ出ました。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の20】　「じゃ、ごゆっくり」と、ママも部屋を出ました。「あれ？」大助と琴子は、未咲の机の上の携帯電話をチラリと見ました。ささのみことが、ふいに言いました。「実は‥ですね、未来のお友達をお呼びしました」「ええっ！？」琴子が叫びました。

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#HQ_hikarino_youko 【第6話の21】　「ごめんなさいっ。つい」「大丈夫ですよ」ラファエルが、にこやかに言いました。「そんな、ドラえもんみてぇなことが？」大助も不思議そうです。「なるほど」頭上からの声。「彼らです！」ささのみことが言うと、全員バッと上を見ました。

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【第6話の22】　未咲は、トイレにいきたくなったので、歩きながら尋ねました。「どうしたの？」「塾に‥ヘンな人が襲ってきて、今、先生のとこに、かくまってもらってる‥」妹のおびえた声。聞くのがコワいけれど、未咲は、意を決して訊いてみました。「さっ、殺人犯？ それとも超ヘンタイ！？」

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【第6話の23】　「それは解らないけど、魔王がどうとか‥怖い人‥」「へ？」パタン。カチャ。未咲は、便座に腰かけました。「お姉ちゃん、正義の味方さんとお友達なんでしょ？ 場所を送るから、速く呼んで！」「え？‥っと、琴子に聞いたの？」「うん。呼んでね？」「了解♪」電話が切れました。

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【第6話の24】　ささのみことの2人のお友達――ハルルとユリア。彼らの紹介と全員の自己紹介が済んだところで、テンポのいいメロディが響きました。未咲の机からです。「あ。この曲」「着メロか？」それは、琴子と大助がYouTubeで何度も再生した、アニメの曲でした。「パソコンからですね」

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【第6話の25】　「きょう‥不思議な展開だな」「‥うん」大助と、秋本くんが言いました。ささのみことが机のノート型パソコンをパカッと開くと、1件の新着メール。「では、本人の許可を得ているので、確認します」ささのみことが件名をクリックすると、メールの文章が画面に表示されました。