「大長編ドラえもん のび太の北海護送船団」

北海の激闘を生き延びた勇者に、ロンドンの風は冷たかった。
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JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

ひらりマントを片時も離さず構え続けて2週間、飛んでくる魚雷や爆弾を逸らし続けるのび太、不断の緊張と飢えにより精神を壊してしまった艦隊司令ドラえもん、病を押して乗艦した艦長ジャイアン、飄々としつつ本音は全乗組員を気にかけるスネ夫 護送船団は無事にムルマンスクへ到達できるのか!

2012-03-16 21:59:27
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

ドラえもん「嵐の中を歩むときも……闇を……恐れては……いけない!嵐が過ぎ去れば……空には黄金の太陽が輝き…… ヒバリが快い銀色の声を響かせる……」 静「弾着予想時刻を修正、あと十五秒です……」 ドラえもん「風が吹いても歩き続けよう……」

2012-03-16 22:01:42
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

スネ夫「今時の補給物資豊かな軍艦で、飢えなどありえない―そうお考えでしょうか。しかし、ありえないことではないのです。いえ、飢えは必然なのです。食えるわけないじゃありませんか。我々はコンビーフ・サンドイッチで生きているのですから。何週間もですよ!コンビーフ・サンドイッチでですよ!」

2012-03-16 22:03:50
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

スネ夫「そのうえに不断の飢えと、恐ろしい緊張。一切のものが、他の一切のものとからみあい、一つの要素は他の全ての要素と結託して、人を押しつぶし、精神的にも肉体的にも打ちのめし、彼を病原菌の前にさらすのです。そうです、閣下、そのつぎは病気です」

2012-03-16 22:04:16
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

スネ夫「睡眠がすくないほど疲れがまし、疲れが大きいほど寒さが堪え、きりのない悪循環です。その上に不断の飢えと、恐ろしい緊張。一切のものが、他の一切のものとからみあい、一つの要素は他の全ての要素と結託して、人を押しつぶし、精神的にも肉体的にも打ちのめし、彼を病原菌の前に晒すのです」

2012-03-16 22:04:57
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

スネ夫「閣下、貴方に想像できますか 主砲を一斉射撃つ為に、只そのためだけに甲板下の弾薬庫では5人からの溌剌とした若者が周りを火薬に埋め尽くされた暗い密室に閉じ込められ、湿気と、足首まで溜まった凍えるような海水と、終わることのない重労働からくる全身の疲労とに塗れて喘いでいるのです」

2012-03-16 22:07:29
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

スネ夫「それだけではありません もし艦が被弾、又は被雷し沈没の危機にある際でも、彼らはその持ち場を放棄することは認められていないのです 彼らは弾薬庫扉を内側から硬く閉ざし楔を打ち、自らの居室を艦全体の浮力空間とするべく訓練を受けていますし、彼らは見事その仕事をやり遂げるでしょう」

2012-03-16 22:08:51
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

スネ夫「しかし しかしです そうして失われる若者たちの命と勇気はこの戦時下に於いて何より、何よりですよ、何にも増して換えがたく得がたい資源なのです それこそ海軍の、国家の損失です 護送船団の極限の航海に耐え得る若い船乗り一人に、どれだけ価値があるか、失われることが損失であるか!」

2012-03-16 22:10:13