被災地に在る多くの人が「話を聞いてもらいたがっている」。そして私たちは未だにそれを出来ていない。

早川由紀夫さんが福島県に放射線量を測りに行き、そこで現地の人に語りかけられた…というエピソードを聞いて考えたこと。 必要なのは、地震津波の被災者、福島原発核災害の被害者が「話を聞いてもらいたがっている」ことを、話を聞くべき者が理解することなのではないかと感じました。 自分の立場に照らすならば、3.11後に通用する「物語」が、語られ、書かれ、豊かになること。 続きを読む
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早川由紀夫さんが福島に放射線量を計測しに行った時に…という話を聞いての感想

一色登希彦 @ishikitokihiko

早川さんのツイは見れないので人から伝え聞くばかりだが印象的な話を聞いた。氏が福島に線量計測に出かけたと。計測していたら地元のおばちゃんに話しかけられ「この家はお医者さんで、どこかに行ってしまった」「私たちに何も言わずに行ってしまったんだよ」と4回も繰り返した…と。(←あってる?)

2012-03-17 00:39:30
(註:早川さんからはブロックされているようなのでマナー的にはグレーかもしれませんが、あとからツイートも拝見し、まとめには検索引用可能なようなので貼付けておきます。このポストです。↓)
早川由紀夫 @HayakawaYukio

調査中、年配のお母さんに会った。「この家のひとは医大の先生で、東京に逃げたんだよ。」のあと、「逃げるとき、ひとこともいわずに逃げたんだよ。」を4回繰り返した。猫が出入りする小窓を示し、「猫を置いてったんだよ。東京のマンションじゃ飼えないから。」 芝生で猫が居眠りしてた。

2012-03-16 19:32:42
一色登希彦 @ishikitokihiko

過日ブログ( http://t.co/mLPQOXtx )でも書いた「被災地では皆が話を聞いてもらいたがっている」という話を思いだした。そのおばちゃんは見ず知らずの線量計っている人(誰とは知るまい)に4回も話さざるを得ない程、「逃げたお医者さん」のことが頭を離れないのだろう。

2012-03-17 00:48:59
一色登希彦 @ishikitokihiko

4回も他人に同じ事を繰り返し話す。印象的なのは「逃げたんだよ」と「叙事」を繰り返している様子なこと。「腹が立つ」「許せない」「悲しい」といった「叙情」ではないことです。これはその人が現実をお腹に落とし切っていない、起きていることをどの箱に収めれば良いかも決めかねているのだと思う。

2012-03-17 00:57:33
一色登希彦 @ishikitokihiko

どれだけの人がそんな風に「ただ聞いて欲しいだけの話」を自分の中に溜め込んだままなのだろうか?村上春樹さんが「アンダーグラウンド」で話を詳しく聞いた人数は62人。オウムのサリンテロの被害者規模を考えるとものすごいカバー率だと思う。今回は誰かがどのようにか多くの人の話を聞けるのか?

2012-03-17 01:14:23
一色登希彦 @ishikitokihiko

形容不可の事態に呑まれた人は、言葉にして他者に話をすることで「あ、自分、悲しかったんだ」「あ、これ、怒って良いんだ」とわかってくる。僕の仮説は、多くの原発事故被害者や地震津波の被災者がそれさえ出来ていない、他者が話を聞いてくれる事にさえ与れていない…ということ。

2012-03-17 01:20:47
ねむりパンダ @SleepingPandaZ

@ishikitokihiko それは当たっています。語ることでの癒し、さらに進めば主体形成の効果は非常に大きいと思います。極端にいえば、そこに他者がずっといてくれて、黙ってうなずいてくれるだけでもいい。それが被災避難民の切実なニーズと感じています。

2012-03-17 12:38:49
一色登希彦 @ishikitokihiko

自身の職業的立場で述べることは、そんな事態に書き手が「物語」を作って語るのは大変な困難…というか何の意味があるのだという自問自答になる。てか、こうやってぎゃあぎゃあと言葉をつづり続けている自分が、「話を聞いてもらいたい人」の小さな囁きを聞こえなくしてしまっているのではとも思う。

2012-03-17 01:30:30
一色登希彦 @ishikitokihiko

早川さんに思う事は別にある。おそらく氏は福島の人に「怒れ」とメッセージしたいのだと思うし僕は大枠で意見を同じくする。でもきっと氏の理知と当地の混沌の間には幾層の断絶がある。それを奇しくも本人の当地レポートが物語る。「いやそれおばちゃん、怒って良いんだよ」と口説けないなら進まない。

2012-03-17 01:38:56
一色登希彦 @ishikitokihiko

「怒れ」とメッセージを内包して活動するのは学者の領分にどうにか入ると思う。けど、話を聞き、「ねえどんな風に感じてる?怒ってるの?怒って良いんだよ?」と語る事は「物語」を生業う者の仕事だと思う(詐欺師の仕事でも政治家の仕事でもない)。でも村上春樹の才能が100人分から必要な事態だ。

2012-03-17 01:48:07
一色登希彦 @ishikitokihiko

早川さんの職業的正義がどこで一度壁に当たるかというなら、僕はまさに当地で、氏がおばちゃんから4回も「黙ってここの先生いなくなっちゃったの」と只言われ、聞くばかりだった…と氏が自身の「物語」を語った今日だと思う。氏の正義を助けるにも阻むにも「物語屋」が無力でいるのは名折れだと思う。

2012-03-17 01:57:02
T. K. @LovinX1982

@ishikitokihiko 果たして話を聞くばかりだったのかは当事者の二人(+猫)にしか分かりませんが、やはりショックは多少なりともあったのでは。高線量地をランニングする女子中学生との遭遇。福島には経済的に関わらないよという本人の考え。淡々と事実を発信し続けてますね。

2012-03-17 05:12:28
@taisei36

同意です。疲弊しきっている中で、先に相手に色々言われる前に、まずは「現場の声を聞いて欲しい」とよく感じます。 RT @ishikitokihiko: (略)多くの原発事故被害者や地震津波の被災者がそれさえ出来ていない、他者が話を聞いてくれる事にさえ与れていない

2012-03-17 01:59:49
福島市で医療従事する @taisei36 さんの、続くツイート。「福島県民は怒らなくてはいけない…しかし」と。
@taisei36

エコカー補助金と、福島県一部地域への賠償金比較。エコカー補助金は①乗用車10万円②軽自動車7万円③トラック・バス〔小型〕20万円〔中型〕40万円〔大型〕90万円という内訳となる。一方、賠償金は大人8万円、18歳以下or妊婦40万円(避難+20万円)この国は命が車より安い。 #福島

2012-03-17 00:08:28
@taisei36

そう。だから、福島県民は賠償地域から外れる地域が存在することと併せ、怒らなくてはいけない。疲弊して消耗していることは私自身、身をもって体感してるけど、腹を括らないと人として扱われない。 RT @himawaripon2011: 改めてドーンときました…本当だ車の補助金より安いんだ

2012-03-17 05:39:43
@taisei36

ただし、怒りはエネルギーがいる。今の疲弊・消耗では肉体的、精神的にキツい。なので、周囲に力を借りなくては辛い。ただ、こちらがまず相応の覚悟を持ち腹を括らないと、人は力を貸してくれない。 RT @himawaripon2011: 改めてドーンときました…本当だ車の補助金より安いんだ

2012-03-17 05:50:14
@taisei36

そして最前線である福島が軽くあしらわれ、被害者も誰も皆これで仕方ないとしてしまえば、後方の他県にも国や東電等のふざけた姿勢は及ぶと思います。放射能に県境は関係ないのだから。 RT @himawaripon2011: 改めてドーンときました…本当だ車の補助金より安いんだ

2012-03-17 06:01:25

余談

一色登希彦 @ishikitokihiko

「現実が暗い時代には明るい物語を」「世が能天気な時代には闇の物語を」 数少ない、好きだった、物語論の先生の教えてくれたこと。

2012-03-17 02:31:20
一色登希彦 @ishikitokihiko

だから「暗い一切のこと」など何もないような明るい、能天気な、楽しい話で、今多くの人に受け入れられている物語を生み出せている人がもう一番奇跡というか、何も言う事はないわー。

2012-03-17 02:59:36
@nonomon7

@ishikitokihiko: はじめまして。「現実が暗い時代には明るい物語を」「世が能天気な時代には闇の物語を」これを読んで、伊坂幸太郎さんの「仙台ぐらし」を思い出しました。 その中で震災後に伊坂さんは「僕は楽しい話を書きたい」とおっしゃっています。

2012-03-17 07:21:20
@nonomon7

「僕は楽しい話を書きたい」と、震災後に伊坂幸太郎さんは「仙台ぐらし」の中で書いている。震災前にあれだけハッピーエンドから遠く離れた話を書いておきながら。

2012-03-17 07:24:33
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