百田尚樹氏(@hyakutanaoki)の小説の興味深いお話のまとめ
実は・・・小説を読むという行為は、ある程度、技術が必要。私自身しばらく小説を読むのを遠ざかっていた時期があったが、久しぶりに読むと、なかなか物語が頭に入ってこなかった覚えがある。ああ、この技術は使わないと衰えるんやなと、その時思った。
2011-10-03 05:06:51ただ今日のミステリーの中には、現実の事件を題材にして、よりリアルに残虐性を描いて読者の感情を刺激する悪趣味な作品も増えている。子供が残酷に殺されたり女が猟奇的に殺されたり、指を切断したり目をえぐったりする話は、私は読む気もしないが、喜んで読む読者もいる。
2011-10-06 00:46:47『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を読み直している。優れたノンフィクションは、なまじの文芸作品よりもはるかに優れた文学やと思うが、これもその一つ。
2011-10-20 14:17:55繊細な小説、味わいのある小説、ほのぼのとした小説みたいなものは、もうどうでもいい。力のある小説、心から感動する小説を書きたい。それでないと小説の存在価値なんてない。
2011-12-23 13:26:41本屋大賞ノミネート10冊にも、キノベスの30冊にも、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」が入っていない。あの本は歴史に残る本。まさに10年に一度出るかどうかの本なのに。
2012-01-23 17:58:1810年売れ続けたら、「その時代の」一流作家。20年売れ続けたら、「その時代の」超一流作家。死んでから20年経っても売れ続けたら、本物の作家。ちなみに99.9%の作家は、死んだら10年以内に本が絶版になる。
2012-02-02 03:18:15小説家を引退したら、カスみたいな作家とクソみたいな小説を毎日twitter で、呟こう。で、一割くらいは、名作を誉め称えよう!
2012-02-14 21:30:53「心から感動させる小説」「寝食を忘れさせる小説」「人生観を変えてしまうほどの小説」「一番好きな人に読んでほしいと思わせる小説」…価値ある小説というのは上記のような小説ではないか。それ以外の小説は、存在価値はないとまでは言わないが、なくてもいい小説。もちろん僕の小説はなくてもいい。
2012-03-12 01:57:45その100冊に1冊の至福を味わうために読んでるんや!と言う人はすごいと思うが、100冊読んで、90冊以上楽しめる人は、単に面白いと感じる基準値が低い人やと思う。しかし、もしかしたら、ある意味で、すごく幸せな人かもしれない。皮肉ではなく。
2012-03-16 11:26:54ぼくはどんな本読んでもたいてい面白くない。年を取れば取るほど、本を読めば読むほど、そうなってきた。感性が鈍ってきたんやろうけど、「クリエイターというのは、面白がる許容範囲が狭くて高いのだ」と思うようにする。まあ、三流クリエイターのたわごと。
2012-03-16 11:32:47もし、君の友人が「俺の小説を読んでくれ」と言って何百枚もの原稿用紙を持ってきたら、とんでもなく迷惑に思うだろう。読んでやってもいいがメシでも奢れと思うのは人情だ。ところがプロの小説家というのは、「俺の小説を読んでくれ。その代わり金をくれ」と言ってる人種だ。完全に頭がおかしい。
2012-03-17 21:45:14新刊が10万部以上売れない小説家は、社会的な影響力をほとんど持っていない。1万部も売れない小説家は、社会的には存在していないのと同じ。もちろん、ぼくもその一人である。
2012-03-18 16:07:45コミケでも同人誌を手売りで数千部以上売る素人(と言えるのかな?)はいくらでもいる。中には一万部以上売る人も珍しくない。つまり数千部しか売れない小説は、コミケで売っている同人誌とたいして変わらない。もちろん、ぼくの作品もそう。
2012-03-18 16:14:51小説家は素敵な職業と思っている人がいるかもしれないが、こんな商売も少し素敵じゃない!まず「儲からない!」「しんどい」。中には、素敵で、儲けている小説家もいるが、そんなのは1%もいない。いや、本当はその1%だけが「小説家」なのかもしれん。あとは「小説家もどき」。もちろん僕もモドキ。
2012-03-18 16:22:08世間の人の小説家に対する誤解の一つに、「夢の印税生活」というのがある。印税は平均して、定価の10%である。つまり1500円の本が1万部売れたら、印税は150万円。しかし今、1万部売れる小説は数%もない。出版社に言わせれば、現在では1万部売れたらベストセラーらしい。
2012-03-18 16:27:001年かけた書いた小説が1万部売れたら年収150万円。5千部だったら75万円。もっとも、それが文庫になれば、また印税が入るが、文庫は定価が半分以下なので、単行本の倍売れても同じ額にはならない。ぼくみたいに基本的に連載しない者にとっては、「夢の」ではなく「過酷な印税生活」である^^
2012-03-18 16:36:17もちろんベストセラー作家は、凄まじく稼いでいるが、99%の作家は極貧生活である。まあ極貧は言い過ぎかもしれないが、決して裕福ではないし、生活は苦しい。そして大半が兼業作家である。もちろん僕もテレビの仕事を兼業している。
2012-03-18 16:41:39世間の小説家の収入に対する誤解を解こうと書いてきたが、ふと気付いたことがある。世間の人のイメージする小説とは、ベストセラー作家なのかもしれない、と。なるほど、それなら「夢の印税生活」も的外れではない。しかし99%の小説家は、学生バイト以下の労働単価で執筆しているのは間違いない。
2012-03-18 16:46:01それでも僕が小説をしこしこ書いているのは、他に出来ることがないから。執筆のモチベーションが上がるのは収入が少なくなった時。本が売れないと「しゃあない、また書くか」となる。だから、あれだけ売れ続けてなお量産出来る東野圭吾さんとか佐伯泰英さんは本当に凄いと思う。生まれながらの作家。
2012-03-18 16:54:15天才は多作する。手塚治虫しかり司馬遼太郎しかりモーツァルトしかり。つまり才能の埋蔵量が凄くて石油が噴き出すように作品を生み出すのだ。僕みたいな才能の無い人間は穴を必死で掘って、ポンプで必死で吸い上げ、泥と水の中にわずかに含まれている油分を必死に抽出して、やっと1作が出来る。
2012-03-18 17:03:36ネットで自著のレビューを目にすることが多い。「嫌い」とか「肌に合わん」と書かれる分には何とも思わないが、「○○の部分は不要」とか「△△はこう書くべきだった」とか言われると当惑する。君は編集者かと言いたくもなる。著者は読者の何倍も考えて書いている。だから「嫌い」とだけ言ってくれ。
2012-03-20 17:56:04ネットの読書ブロガーのレビューを見ていると、「なかなかよく書けている」とか「(この作家は)上手くなってきた」とか「これさえなければ名作だったのに」とかいう上から目線のレビューを書く御仁がたまにいる。あなたはどこの大先生ですか?と思わず尋ねたくなる。
2012-03-20 18:02:54