足立啓二新著から京大「中国史研究会」をめぐって (2012年3月)
2012年(平成24年)3月
福本勝清氏によるアジア的生産様式に関する一連の論考。http://t.co/vXcqnw6r ほとんどが明治大学の紀要に書かれたものだが、現代中国を理解する上で不可欠なものだと思う。早く単行本化してほしいものだ。
2012-03-17 01:36:02- 検索:"福本勝清 アジア的生産様式" | CiNii Research articles 検索 https://cir.nii.ac.jp/articles?q=福本勝清 アジア的生産様式&count=20&sortorder=0
※のちに、福本勝清『アジア的生産様式論争史──日本・中国・西欧における展開』(社会評論社, 2015)としてまとめられた。
足立啓二『明清中国の経済構造』(2012)
足立啓二さんの明清経済に関する専門書がついに出た。内容的にすごい研究であることは間違いないが、値段が誕生日にだれかにプレゼントしてほしいレベル。 http://t.co/kI0NFaCz
2012-03-18 00:22:42- 『明清中国の経済構造』〔足立啓二、汲古叢書99、2012年02月発行〕|汲古書院 http://www.kyuko.asia/book/b99769.html
足立啓二『専制国家史論』(1998)
足立啓二氏は「つくる会」が中国史の引用に関して好む『専制国家史論』の著者 @kaikaji 足立啓二さんの明清経済に関する専門書がついに出た。内容的にすごい研究であることは間違いないが、値段が誕生日にだれかにプレゼントしてほしいレベル。 http://t.co/vAPD4gO9
2012-03-20 13:26:15〔足立 啓二②〕でももともと京都大学の社会経済史のグループ、マルクス主義的歴史観から自由な東アジア経済史を研究しようとして結成された「中国史研究会」の一員。大学の先生にこの一員だった方がいたので少し話を聞いたのだがアジア的生産様式に関する実証的解明がもともとの目的
2012-03-20 13:29:22〔足立 啓二③〕その結果、「アジア的生産様式」というものが否定され、むしろ大土地所有から早期に東アジアは離脱して小農経営中心の経済を確立したことが分かった。足立啓二のほか、この小農経営と朱子学の結びつきに基づいて「儒教的近代化論」を掲げる宮嶋茂樹、東アジア近現代経済史の中村哲
2012-03-20 13:32:27〔足立 啓二④〕唐宋時代の社会経済史で世界的に有名な大澤正昭と多士済々。それになんと韓国での植民地近代化論を進めてきた安秉直とソウル大学の李栄薫もそのメンバー。実際李栄薫は著書でこの研究会に参加して植民地時代の農地測定を調べて従来の収奪一辺倒の歴史観に違和感を持ったと書いている
2012-03-20 13:35:58〔足立 啓二⑤〕一方では日本の「つくる会」等が喜ぶような中国像を描く人もいれば、他方では韓国にわたって「朱子学」の受容と小農社会の形成を指標とする「東アジアの独自な内在的近代化」論ずる人、韓国人で韓国で右翼の歴史家と叩かれ新聞を賑わせる人、そう考えると「中国史研究会」って結構重要
2012-03-20 13:39:52
吉本隆明『共同幻想論』 全著作集のための序
吉本隆明『共同幻想論』「前著作集のための序」より。「文化と文明は、わが初期国家の首長たちにとって、大陸からの輸入品であった。この輸入品を購ない、これを分布させるための財力と権力としてのみ、専制の力量は発揮された、といってもよい」
2012-03-21 23:06:38(続き)「この文化的あるいは文明的な格差と外来性こそが、わが初期国家の権力構成に、いわば<観念のアジア的専制>ともいうべき、独特の構造を与えた、といってよい。ここに経済外の強制力としての<アジア>的専制の構造を、あきらかにすべき根拠の一つがある。」
2012-03-21 23:10:39
「中国化する日本」4割で読書挫折。ちょっと読み通すのはきつい。「ネタ」とはわかるがそれでもここまでネタでも本質論を振り回されるときつい。「情報」はちりばめてあるけれど、何というか毛色のちょっと変わった日本人論・日本文化論がまた1冊積みあがっただけという感じ。
2012-03-21 22:29:51なぬっ!つうことはそこまで我慢して読まなければならないということか! RT @syakekan 日米開戦の記述は見事ですよ
2012-03-21 23:38:21@tomojiro 中国史研究会グループでは他に植民地工業化論の堀和生氏も重要なお仕事をされています。「団体性を持たない社会と、意志決定の集中化した巨大な政治的統合」という足立氏の専制国家論はむしろアジア的生産様式論を受け継いだウィットフォーゲルの議論に親和性が高いと思うのですが
2012-03-22 00:25:24@tomojiro 中国史研究会グループはマルクス主義的な段階論も、戦前支配的だった中国停滞論もともに批判する、微妙なバランスの上で成果を上げてきました。そのため停滞論の代名詞であったウィットフォーゲルの専制国家論とは距離を取る必要があったのかもしれません。
2012-03-22 00:30:23@tomojiro 足立氏の著作を坂本多加雄氏や西尾幹二氏が評価・利用し、一時期「つくる会」の中国像を形作ったのは事実ですが、その構図は、溝口雄三氏の言説(足立氏とは対照的に中国独自の「封建制」→近代化、という経路を評価)を汪暉氏などが「利用」したのと対になっている気がします。
2012-03-22 00:37:24@kaikaji 堀和生氏の著作は恥ずかしながらまだ読んでいなかったので触れなかったです。岸本美緒氏も批判していたように『先制国家史論』は欧米や日本にあるもの(封建制)がなかったから中国は遅れて特殊であるといっているのですが、宮嶋茂樹氏は逆にそれを内発的近代化の証左とする。
2012-03-22 21:49:07※参考。岸本美緒に「〈書評〉足立啓二『専制国家史論 ―中国史から世界史へ―』」(「歴史学研究」722 収載)がある。
- CiNii 論文|岸本美緒「(書評) 足立啓二『専制国家史論』」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1520853832150576512
@kaikaji その意味では足立氏と宮嶋氏はネガとポジですね。溝口氏はこことはまたちょっと違う気が。いずれにせよ足立氏、宮嶋氏、溝口氏それに最近の与那覇氏にしろ「中国」を自明に一国民国家としてその歴史を扱う態度に強烈な違和感が。それこそ19世紀日本シナ学の悪しき遺産と思うのだが
2012-03-22 21:54:12