ビガー・ケージズ、ロンガー・チェインズ #6

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
文学 書籍 ニンジャスレイヤー
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第二部「キョート殺伐都市」より:「ビガー・ケージズ、ロンガー・チェインズ」 #6
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「モーターガッデム!」モーティマー・オムラは叫びながら鼻血を噴射し、頭を抱えて仰け反った。「モーターツヨシが!負けた!こんなの!おかしい!」「ナニガ、オカシイモノカ!カハーッ」アルベルト・オムラがステッキでモーティマーを打擲!「グワーッ!?」「ロクナ作戦モ!用意セズ!」1
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「僕の作戦は何も間違ってない!ネブカドネザルがしくじったんグワーッ!」「バカメ!バカメ!バカメーッ!」「グワーッ!」「会長!お身体に障ります」「コフッ、ヒューコフッ……」ピポピポ、『緊急連絡ドスエ』合成マイコ音声が通話機から発せられた。「うるさいな!さっきから!」 2
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「……サッキカラ?」アルベルトが眉をぴくりと動かした。『本当に緊急連絡ドスエ』アラートが繰り返される。モーティマーは鼻血を拭い、「そうだよ!僕はこんなに頑張って作戦に集中しているってのに。繰り返し繰り返しうるさい!ケジメ……パパ!?やめろよ!」アルベルトが通話機を取ったのだ。 3
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「申セ!ワシダ!アルベルト、ダ!……何?第三コンビナート?……完全制圧サレタ!?グワーッ!」「会長!」オメガがアルベルトの身体を支えた。老人は胸を押さえ、顔色が紫めいた。「グワーッ!コフッ!ヒューコフッ……」「会長!……会長!」「何だよ!」モーティマーが通話機を拾い上げた。 4
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「僕だ!何だよ。第三コンビナートが……エ?」『完全制圧されました。社長。イッキ・ウチコワシと、おそらく対抗他社の新型ロボット……いえ、ロボニンジャによる大規模な襲撃が』「イッキ?だって僕はそのイッキの会合をメチャメチャにしてやったんだ……けど……え?」 5
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モーティマーは小さな目を瞬きさせた。「エ……どうしよう……」彼は床でオメガに介抱されるアルベルトを呆然として見た。「父さん……?誰に……助けてもらえば……え?あれ?父さん?」やがて、オメガが顔を上げた。「……お亡くなりに」 6
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「嘘だ」モーティマーは震え声で言った。その目から涙が溢れ出す。「嘘つくなよオメガ」「……」オメガは会長の傍で正座したまま、目を伏せる。「嘘をつくなって言ってるんだよォ!」パワードスーツを着た腕で殴りつける!オメガは抵抗せずそれを顔で受けた。「嘘だァ!」 7
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「……」「ニンジャだろ!すごいニンジャなんだろ!何とか言えよ!何とかしろよ!じょ、冗談は許さないぞ!」「……」二人の背後では、UNIX株価モニタが無慈悲な断崖めいた折れ線グラフを表示し続ける。「何とか……してよォ……」「……」 8
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「……そうか。君達一人一人の勝利だ」バスター・テツオは通信に答えた。そしてオナタカミ社・会議室の一同を見渡した。「報せが入りました。第三コンビナートを完全制圧」「ヤ、ヤッター!」ヤマミ鋼材の跡取りがバンザイし、ニッキキ役員とサブリ化学CEOが安堵と驚きの視線をかわした。 10
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キルゾーンを脱出したバスター・テツオと役員たちは、オナタカミ本社の屋上へリポートへ辿り着き、こうして、やや寛いだ姿勢でオーガニック・スシをつまみ、コブチャを飲んでいる。「今後も勝利体験を積み重ねてゆくことが必ずや出来ます。貴方がたのお力添えがあれば」テツオは満足げに言った。11
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「一生ついて行きます!」ヤマミ鋼材の跡取りが熱っぽく言った。「我が社を決断的闘争のお供にして頂きたい!」「いや、いや」テツオは笑いながらそれを嗜める。「独断はおやめなさい。まだ貴方はお若い。一時の熱狂が過ぎれば、より俯瞰した視点も持てましょう」彼はニッキキ、サブリ役員を見た。12
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「実際ハプニングも多かったが、貴方の実行力の程は十二分にわかり申した」サブリ化学CEOが言った。「力を貸そう」彼が手元の端末を操作すると、テツオの携帯UNIX端末が秘密口座への入金を報せた。キャバァーン!「私もです」ニッキキ役員が顔色を見ながら同様に操作する。キャバァーン!13
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スコープゴーグルと覆面の奥、テツオの表情は窺い知る事ができない。フスマを開け、オナタカミ専務が、彼よりもやや若い男を連れて戻って来た。「ドーモ皆さん。オナタカミCEOのギリダ・カンジです」「おお、これはドーモ」「ドーモ」役員達が立ち上がり、名刺の交換を始める。 14
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「ドーモ、バスター・テツオ=サン。お初に御目にかかれて大変光栄です」ギリダはテツオにオジギした。テツオも立ち上がり、これに応え、赤い名刺を渡した。ギリダは彼の手を握った。「我が社はイッキ・ウチコワシを全面的に支援させて頂く。今後とも宜しくお願いします」「大変喜ばしく光栄です」15
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キャバァーン!オナタカミからの入金音だ。「オムラという鈍重な巨象……否、肥え太り自ら動く事もかなわぬ豚が死して大地に倒れるのは、さほど遠い未来ではありません」バスター・テツオが言った。「それは貴方がたの純粋正義、純粋信念が引き寄せる輝かしい未来でありましょう。……時は来た」 16
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「……食うか」ブラックヘイズがイカジャーキーを裂き、アムニジアへ差し出した。彼女は首を振った。後ろ手に拘束されている。応急処置を施されたフェイタルは、ブラックヘイズの傍らで横になっている。痛々しい有様。意識は無い。休息を取る三人を、バイオ密林の光るタケノコが囲んでいる。 18
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ブラックヘイズは既にアンバサダーへの通信を済ませた。今はただ迎えを待つばかりだ。アムニジアには当初、自殺を恐れて猿轡を噛ませていたが、今の彼女は憔悴しきって、そんな事は到底実行できはすまい。彼はアムニジアの猿轡を外し、強壮剤を含ませた。「記憶が無いんだってな、お前」 19
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「……わからない」アムニジアは呟いた。「とはいえ、過去の事は……ドラゴン・ドージョーの事は知っているんだろう。知識としては」「……」アムニジアは頷いた。ブラックヘイズはイカジャーキーを噛んだ。「この世はジゴク……流されるままでは、永遠にな」「流されるままでは……」「そうだ」20
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ブラックヘイズはメンポを閉め、葉巻を差し込んだ。「……ま、俺はお前をザイバツに引き渡して、それきりだ。お前は死ぬのかもな。知った事じゃない。そう考えてみれば、こんな話は所詮うわっつらのセンチメント、女衒の説教よ」「……私は何だろう」アムニジアが呟いた。 21
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「あの人は……バスター・テツオは、からっぽの私に思想をくれた。生きる理由をくれた。闘いを」「ハッ」ブラックヘイズは煙を吐いた。「胡散臭い話さ、闘ってどうなる……」「自由」アムニジアはうつろな声で言った。ブラックヘイズは鼻で笑った。「信じるか、それを」「……」 22
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「より大きな檻、より長い鎖」ブラックヘイズが言った。「入れ子構造のジゴクさ、この世ってものは……檻を破れば、また少し大きい檻の中に自分を見出す。マジックモンキーもブッダの掌から出られはしない」「……」「思想、闘争、役割、与えられるまま流されれば、お前の世界はジゴクのままだ」 23
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アムニジアの頬を涙が伝った。ブラックヘイズは葉巻を地面に押し付けた。「どうしてこんなくだらん話をする気になったかね、俺は……これから売られる女にこんな話をする外道だ、実際」フェイタルが身じろぎした。彼はそれを見やった。彼女の呼吸は荒い。既に処置はした。今夜が峠かも知れない。24
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2012年3月25日
ビガー・ケージズ、ロンガー・チェインズ #1 http://togetter.com/li/271957
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