小高い丘の斜面に貧しい民家が寄りそうように密集する集落――ネオジャコツ。 荒れた土地、小さいバイオワサビ畑、集落の脇にはバイオ水牛の死体が積み重ねられ異臭が放たれていた。 少年はそこで生まれた。 生まれながらの『マケグミ』として――。 1
2012-03-27 19:48:27丘を降り川を挟んだ平野部には巨大メガコーポのビル郡と大きなバイオバンブーが並ぶ別の国家コノハナ・リパブリックがあった。 川に橋は架けられていたが、ネオジャコツの者達がそれを渡る事が無いよう、橋の両端でクローンヤクザ達が目を光らせる。 2
2012-03-27 19:48:36ある時、コノハナから綺麗な格好をした親子連れが橋を渡ってエントリーした。 ジャコツの者は皆地面に頭をこすりつけるよう平伏し、彼らの顔を見ようともしなかった。 奥ゆかしきドゲザ・グリーティングスである。 コノハナの者はジャコツの長に何かを指図しているようであった。 3
2012-03-27 19:48:44痩せたバイオワサビ畑で農作業をしていた少年は、木陰から親に付き添う一人の少女を盗み見た。 見たこともない鮮やかなオイランドレスをまとい、とても綺麗で艶のある黒髪の少女――。 ムラでは見られない刺激的な姿に少年のニューロンはスパークし、無意識のうちに少女に近づいた。4
2012-03-27 19:48:54少女の父親はその様子を見て激怒した。 『カガチの分際で何をしておる!これ以上近寄るな!バカ!クズ!愚鈍すぎる!話にならない!ザッケンナコラーッ!』 ムラに恐ろしいヤクザスラングが響き渡り、皆の顔から一斉に血の気が引いた。そのとき!「イヤーッ!」 5
2012-03-27 19:49:02少年の父親が急いで駆け寄り、息子を勢いよく叩きはじめた!殺戮者のエントリーだ! 『お許し下せえ!こいつはオラからよく言い聞かせます!何卒お許し下せえ!』そういうとワンインチからのポン・パンチで少年の頭部を破壊!「サヨナラ!」少年は爆発四散! 6
2012-03-27 19:49:11「アイエエエエ!」凄惨な光景に少女が叫び声をあげる。 護衛のクローンヤクザ達が一斉にチャカ(ヤクザカスタム拳銃)を少年の父親に向ける! 「ドーモ、アポロジャイザーです。……何卒お許しくだせえ!イヤーッ!」とれたてのバイオワサビを投擲!7
2012-03-27 19:49:22「「「グワーッ!!」」」護衛のクローンヤクザが全員が一瞬で絶命!タツジン! 「お許しくだせえ!」「アバーッ!」アポロジャイザーのスモトリめいた突進で少女の父親は壁に叩きつけられ、内臓破裂! 「お許しくだせえ!」「アバーッ!」アポロジャイザーのチョップが少女の胴体を薙ぐ! 8
2012-03-27 19:49:39「お許しくだせえ!」「アバーッ!」父親が!「お許しくだせえ!」「アバーッ!」少女が! 「お許しくだせえ!」「アバーッ!」父親が!「お許しくだせえ!」「アバーッ!」村人が! 「お許しくだせえ!」「アバーッ!」少女が!「お許しくだせえ!」「アバーッ!」村人が! 9
2012-03-27 19:49:46おおブッダよ……寝ているのですか?ネオジャコツの集落は数分にしてネギトロめいた人々の破片が散乱するマッポーめいた地獄絵図と化していた。 「何卒……何卒お許しくだせえ……」少年の父親……アポロジャイザーは、決断的な視線をコノハナ・リパブリックに投げかけ、ムラを後にした。10
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