山本七平botまとめ/『当時の日本軍が一番嫌ったタイプとは?』

山本七平著「私の中の日本軍(上)」/扇動記事と専門家の義務/214頁より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①当時の社会には、前に述べた様に軍人以上の軍国主義者もいたし、軍人などが足元にも寄れないほど熱狂的・神がかり的超国家主義者もいた。ところが軍隊が内心最も嫌いかつ警戒したのが実はこの人達だったのである。この事は恐らく今ではもう誰にもわからなくなっているであろう。<私の中の日本軍

2012-03-24 17:26:09
山本七平bot @yamamoto7hei

②これは心情的に見れば、左翼が極左を最も敵視するのと同じかもしれないし、確かにそういう面もあったと思う。しかし何より困るのが実際問題である。「中隊長の命令は天皇の命令」だといわれても、熱狂的・神がかり的超国家主義者にとっては天皇とは九重の雲の上にいる至尊であり現人神であって(続

2012-03-24 17:55:59
山本七平bot @yamamoto7hei

③続>月給百十四円の残飯大尉ではない。いかに彼が「命令!」といった時は「天皇の命令と同じ」だといっても、これは感覚的に無理がある。だがこういう場合、軍隊には「奥の手」がある。いわゆる「死の転属」である。

2012-03-24 18:26:04
山本七平bot @yamamoto7hei

④時代の風潮は恐ろしいもので、私の同級生の中にも「葉隠」マニアがいたが、その全てが、幹部候補生に採用されず(これは特に危険視したらしい)、一兵卒のままで死地に送られ、ほぼ全員が生きていない

2012-03-24 18:55:59
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤皮肉な事だが、当時の日本軍が一番嫌ったタイプが実は #三島由紀夫 氏のようなタイプなのである。「極左」ならぬ「極天皇主義者」だが、確かにこのタイプはタテ社会の中のタテ社会、タテのタテのタテともいうべき組織の末端の「歯車」に使うことは無理であったろう

2012-03-24 19:26:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥従って軍部に圧迫されたという事を、まるで勲章のようにしている人の中には、少し事情が違うのではないかと思われる人もいる。極左がシベリアに送られ、極毛沢東主義者が粛清されたのと同じように、極天皇主義者も死地へとばされたわけである。

2012-03-24 19:55:58
山本七平bot @yamamoto7hei

これはあらゆる独裁的組織に起こる事であろう、以上がいわば「外部の目」に映った軍隊と「内部の目」で見た軍隊の差である。

2012-03-24 20:26:15