[4/1] 牛個体識別制度の、プライバシー上の重大な欠陥について
- TarCompress
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しばらく調査しなかった間に、牛個体識別制度がとんでもないことをやらかしていた。牛の個体識別情報検索サービス https://t.co/VTiH642j
2012-04-01 00:01:07この制度では、国内の全ての牛に一意の個体識別情報(以下、番号)が付与される。この番号は、牛の個体識別情報検索サービス(以下、照会サービス) https://t.co/VTiH642j に照会することで、消費者は牛肉の素性について知ることができる。
2012-04-01 00:02:19つまり本来の目的は、「ある番号の牛はいつどこで飼育され、肉はどこで加工されたか」といったトレーサビリティの確立と、消費者がその情報を照会することで食の安全・安心を確保できるものであった。
2012-04-01 00:02:28ところが近年、こうした情報(俗にいうビーフデータ)を、食肉業者が安易にマーケティングに利用する風潮になりつつある。たとえば、"牛個体識別制度 美味しい"などのキーワードで検索してみると、番号を軸として安心と美味しさをアピールするサイトが多数ヒットする。
2012-04-01 00:02:40この番号は、肉の購入者でなくても比較的容易に知ることができる点に注意。たとえば、牛肉パックの店頭表示を見るだけでよい。つまり、番号自体は秘密情報ではなく、公開された情報と言える。
2012-04-01 00:02:58にもかかわらず、照会サービスでは、番号だけで肉の素性について情報照会できてしまう。必要なのは公開情報のみで、肉の消費者に限定して与えられるパスワードの類は一切ない。
2012-04-01 00:03:08つまり、「ある番号の肉は○○牧場で飼育されたから脂が美味しい」といった、牛の行動履歴や肉の味といった牛のプライバシーに関する情報を、第三者でも容易に照会することができる。ヒドいダダ漏れ。
2012-04-01 00:03:17さらに、情報照会を拒否したい牛に対し、オプトアウトの手段も提供されていない。そもそも誰も、オプトアウトの必要性を予見できるような説明を牛にしていないようだ。(要確認)
2012-04-01 00:03:26食肉業者も照会サービスも、牛のプライバシーに全く配慮していないと考えざるを得ない。悪意があるというよりは、良心ある技術者とは価値観が全く異なるのではないか。
2012-04-01 00:03:35おそらく、牛を家畜か何かだとしか見ていない。人間が牛の歴史に関与しなければ、君たちは今でも裸で草原に住んでたんじゃないかな、とでも考えているのだろう。
2012-04-01 00:03:43さて、牛肉をハッシュドビーフに一方向に加工すれば元の牛肉との味の関連は見えなくなり、プライバシー上の問題は生じないとする主張がある。この点について検討。
2012-04-01 00:04:02例:番号に肉の美味しさに関する情報を紐付けて収集・記録するサービスが複数あり、それらが番号で名寄せされることを問題とする場合。ある料理店が牛肉をハッシュドビーフに調理したとしても、他の店が同様のレシピで作るのであれば、結局元と同じこととなる。
2012-04-01 00:04:24このことはビーフストロガノフにおいても議論されており、調理が「裏レシピ」化されないよう、調理法の目的外利用の禁止規定として検討されているはず。「ハッシュドビーフならOK」という人達は、ビーフシチューでも同じことをやりかねない人達。
2012-04-01 00:04:39saltを使うとしても、製塩業者が提供する赤穂の塩、伯方の塩といった固定のsaltが使われることになる。よってsaltは公知で、先の例のセキュリティ欠陥への解決にはならない。
2012-04-01 00:05:39複数の肉を混ぜた場合はどうか。この場合は個々の肉の情報は失われ、統計的なデータとなるのでプライバシーの問題はない、と主張する業者がいる。
2012-04-01 00:05:48新鮮で安心でおいしい国産牛肉Jビーフの健全な発展のためにも、現在のように欠陥のある照会サービスはただちに停止されるべき。良心ある技術者が声を上げていかないといけない。
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